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米9月新築住宅販売件数、上振れした価格を一因に予想外の減少

by • October 27, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1471

New Home Sales Decrease More Than Expected, As Prices Keep Going Up.

米9月新築住宅販売件数は前月比11.5%減の46.9万件となり、市場予想の54.9万件より弱い結果となった。前月の52.9万件(55.2万件から下方修正)に届かず3ヵ月ぶりに減少。2カ月連続で強い伸びを達成した反動で、大幅に減速した。過去12ヵ月平均の49.6万件にも届いていない。

4大地域別では、全て減少した。8月は1地域から、増加している。今回は北東部が61.8%減の1.3万件と前月の36.0%増から急減したほか、テキサス州などエネルギー関連が集中する南部が8.7%減の27.4万件と3ヵ月ぶりに減少した。中西部も8.3%減の5.5万件で、2ヵ月連続で減少。西部は6.7%減の12.6万件と、3ヵ月ぶりに減少した。

在庫総数は前月比4.2%増の22万5000件。景気回復サイクルで最高の水準を示す。販売件数が減少したため在庫相当は5.8ヵ月となり、前月の4.9ヵ月を超え2014年6月以来で最長を迎えた。

中央価格は29.69万ドルとなり、前年比では13.5%の上昇と5ヵ月連続でプラスだった。前月比では2.7%上昇し、過去6ヵ月間で4回目のプラスをたどる。

新築住宅販売件数の価格、中古住宅価格より変動幅は小さめ。
newhome
(出所:Bloombergを元にMy Big Apple NYが作成)

JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受け「予想外に弱含んだほか6-8月の3ヵ月分が下方修正された」と指摘する。その上で「7-9月期の住宅投資の予想を従来の8.1%増から7.8%増」へ下方修正した。米7-9月期国内総生産(GDP)の予想は、「0.8%増」で据え置いている。ただし、同氏は住宅市場が回復基調をたどるとの予想を変更しておらず「米10月NAHB住宅市場指数が10年ぶりで最高だったほか、中古住宅販売件数と合わせた販売件数は9月に3.2%増で堅調だった」と結んだ。

——米9月住宅着工件数の一戸建て住宅のうち75%が注文物件ではなく販売向けのところ55.5万件が対象となります。米9月新築住宅販売件数が46.9万件であるため、8.6万件相当が市場に流入する計算。在庫ひっ迫状況を緩和する期待が広がります。新築住宅価格も、上昇ペースが鈍化するでしょう。

今回、米9月新築住宅販売件数が大幅に減速した裏側で、米9月中古住宅販売件数は2007年2月以来で2番目の高水準でした。明暗が分かれた背景として、住宅価格が挙げられます。新築住宅価格は前年同月比13.5%上昇の29.69万ドルだった一方、中古住宅価格は前年同月比で6.1%上昇の22.19万ドルでした。しかも新規購入者の割合が低下し、現金での購入者や投資目的の層が拡大。つまり、マイホーム購入者が減っていた可能性を示します。例えば9月の新築住宅価格の前年比伸び率は、米9月雇用統計での時間当たり賃金における前年比2.2%の4倍以上です。潜在的な買い手にとって、新築住宅は高嶺の花と化してきました。

(カバー写真;Lee Ruk/Flickr)

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