Empire Manufacturing Index Shows Ray Of Light.
米12月NY連銀製造業景況指数(エンパイア)はマイナス4.59となり、市場予想のマイナス7から下げ幅を縮小した。金融危機の衝撃が冷めやらぬ2009年8月以来の水準へ沈んだ8月のマイナス14.92で底打ちしたようで、前月のマイナス10.74からも改善。ただ、6ヵ月連続でマイナスをたどる。項目別では出荷が5ヵ月ぶりに分岐点を回復したほか、新規受注や在庫など下げ幅を縮めた。もっとも、雇用をはじめ平均賃金など労働市場関連は弱含んだ。項目別動向は、以下の通り。
・新規受注 マイナス5.07、5ヵ月ぶりの水準へ改善>前月はマイナス11.82、2010年11月以来で最低
・出荷 5.51、5ヵ月ぶりに分岐点を回復>前月はマイナス4.10
・在庫 マイナス12.12、6ヵ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス17.27
・雇用 マイナス16.16、3ヵ月連続の分岐点割れ、2009年7月以来で最低<前月はマイナス7.27
・平均労働時間 マイナス27.27、5ヵ月連続の分岐点割れ、2009年6月以来で最低<前月はマイナス14.55
・仕入れ価格 4.04<前月は4.55、4ヵ月ぶり高水準
・販売価格 マイナス4.04、4ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス4.55
・入荷時間 マイナス8.08、5ヵ月連続の分岐点割れで2009年12月以来の低水準<前月はマイナス10.91
・受注残 マイナス16.16>前月はマイナス18.18、年初来で最低
現況指数は分岐点割れを維持、見通し指数も下振れ。
(出所:Federal Reserve Bank Of New York)
6ヵ月先見通し指数は38.51となり、2012年12月以来の水準へ沈んだ前月の20.33を上回った。年初来で最高を遂げている。内訳をみると、現況指数と同じく出荷(34.11>前月は21.07)の伸びが著しい。そのほか新規受注(27.83>前月は20.82)、設備投資(16.16>前月は12.73)、平均労働時間(10.10>前月は5.45)、販売価格(20.20>前月は11.82)が前月から上向いた。受注残と入荷時間も、それぞれ前月から上昇している。一方で、原油先物が2009年2月以来の35ドル割れを示すなど商品先物が弱い影響か雇用(15.15<前月は16.36)のほか、在庫(マイナス1.01<前月は1.82)、仕入れ価格(27.27<前月は29.09)が鈍化した。
BNPパリバのブリックリン・ドワイヤー米エコノミストは、結果を受けて「ISM製造業景況指数換算では前月から1.5ポイント上昇し46.4となり、分岐点の50を割り込みながら改善した」と指摘。さらに、見通し指数の急伸で「12ヵ月平均の30.29を大きく上回った」。見通しには、楽観度合いが強まりつつある。
――今まで改善が出遅れていた米NY連銀製造業景況指数にも、ようやく一筋の光が見えてきました。ドル高、原油安の耐性をみせつけつつあります。しかしながら、現況指数では雇用や平均賃金が金融危機まもない2009年以来の水準へ落ち込んでしまいました。ホリデー商戦の恩恵が剥落するほか、気温低下など天候要因で建設など好調だったセクターの伸びがペースダウンする見通しで、労働市場は年明けに鈍化するリスクに留意しておきたいところです。
(カバー写真:Bob Henry/Flickr)
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