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米2月ISM非製造業景況指数はほぼ変わらずも、雇用は2年ぶりの分岐点割れ

by • March 4, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2610

ISM Service Sector Sentiment Edged Down, Employment Declines.

米ISM非製造業景況指数やマークイットが発表した景況感指数をおさらいしていきます。

米2月ISM非製造業景況指数は53.4と、市場予想の53.1を上回った。1月の53.5とほぼ変わらず、2014年2月以来の低水準を示す。ISM製造業景況指数は2月に改善したとはいえ5ヵ月連続で2009年以来の分岐点割れをたどるなか、サービス活動も伸び悩みが続く。

内訳をみると、ヘッドラインを押し下げたのは雇用で2014年2月以来の分岐点割れに陥った。新規輸出受注も、直近で最低に。仕入れ価格も前月から低下している。一方で、ビジネス活動や在庫は上昇した。詳細は、以下の通り。

・ビジネス活動 57.8>前月は53.9で2010年3月以来の低水準、6ヵ月平均は58.8
・新規受注 55.5、直近で最低<前月は56.5、6ヵ月平均は57.7
・雇用 49.7、2014年2月以来の分岐点割れ<前月は52.1、6ヵ月平均は55.1

・新規輸出受注 53.5>前月は45.5、6ヵ月平均は51.5
・在庫変化 52.5>前月は51.2、6ヵ月平均は52.5
・仕入れ価格 45.5、2ヵ月連続の分岐点割れで2009年7月以来の低水準<前月は46.5、6ヵ月平均は48.6

BNPパリバのデレク・リンゼー米エコノミストは、結果を受け「15業種のうち14業種が拡大を報告し、前月の10業種から増加した」と指摘。それにも関わらず、雇用がまさかの分岐点割れを迎え「少なからず衝撃を与えた」と振り返る。その上で、米2月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)をめぐって「当方の予想であるNFP 21.5万人増、失業率4.8%より弱くなる可能性が出てきた」と結んだ。

▽米2月マークイット製造業PMI確報値は下方修正、約2年ぶり低水準

米2月マークイット・サービス業PMI確報値は49.7と、市場予想の53.1を下回った。速報値の49.8から下方修正されただけでなく、前月の53.2からも低下。債務上限引き上げ及び暫定予算交渉が煮詰まり米政府機関が閉鎖に追い込まれた2013年10月以来の分岐点割れを迎えている。統計が開始した2009年から、2番目に弱い。製造業と合わせた総合PMIは50.0で、速報値の50.1から下方修正。前月の53.2から低下し、2013年10月以来の50割れが接近した。

マークイット総合PMIも、分岐点割れへ肉薄。

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(出所:Markit)

クリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受けて「製造業セクターの下振れが波及し、2月はサービス活動の低迷を示し成長自体も昨年から悪化した可能性を示す」との見解を寄せた。さらに「仕入れ価格が需要低下を反映し弱含み、新規受注や受注残はともに2008~09年に直撃した金融危機以来の水準に落ち込んだ」と指摘。一段の景気減速に直面する可能性を挙げている。ビジネス見通しも「楽観度が最低を更新しているため、企業は採用活動に一層慎重になりうる」と結んだ。

――米2月ISM非製造業景況指数、米2月マークイット・サービス業PMI確報値そろって弱い数字に終わりました。米国の現地時間で3日にはバンク・オブ・アメリカがトレーディング部門と投資銀行部門で約150人の人員削減を行う可能性が報じられ、ゴールドマン・サックスも債券部門でトレーダーやセールスなど5%強を削る見通しと伝えられています。前者は定期的な経費削減による動きで実績の振るわない従業員が対称となり、後者も新規採用の枠を確保するため実績で下位5%の人員を毎年この時期に削減させているといいます。ただしGSは、業績見通し次第ではこれを上回る可能性も払拭できないのだとか。少なくとも金融セクターからは、労働市場の鈍化を示すサインが点灯しつつあるようです。

(カバー写真:x1klimaBy: x1klima/Flickr)

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