New Car Sales Slow Down In March.
オートデータが発表した米3月新車販売台数は、前年同月比3.2%増の159万5483台だった。前月の134万4,225台からも、加速。ただし年率換算では5.5%減の1657万台となり、2015年4月以来の1700万台割れを示す。営業日は2015年3月より2日長かったものの、年率は鈍化の兆しをみせる。米10-12月期のシニア融資担当者調査では自動車ローンの融資条件の緩和を確認するものの、需要の追い風となっていない。なお2015年9~11月に2000年以来となる1800万台を突破したため、2015年は前年比5.7%増の1,747万台と2000年に樹立した1,735万台を突破し過去最高を塗り替えた。
メーカー別では、ビッグ3全てが市場予想以下にとどまった。日系メーカーも、日産以外が市場予想に及ばず。車種では、引き続きトラックをはじめスポーツ多目的車(SUV)が売上に寄与。もっとも、ガソリン価格は2月に一時1.724ドルと2004年3月以来の安値をつけた後、一時2.066ドルまで上昇したため鈍化の可能性を残した。
ケリー・ブルー・ブックによると、3月の平均販売価格は前年同月比2.0%上昇の3万3666ドル(約377万円)だった。2月の2.2%には届かず。前月比では±0%で、2月と変わっていない。メーカー別の平均価格を前月比でみると、排ガス不正問題に揺れるVWが1.2%下落し2ヵ月連続で落ち込んだ。同メーカーは2015年9~11月の下落を経て、同年12月と2016年1月に3%近い上昇を示し、合わせて販売台数も2桁減を記録していた。次いでヒュンダイ・キアが1.0%下落し、そのほかではGMとフィアット・クライスラーで小幅下落している。前年比では同じくVWが4.6%下落し、主要メーカーでただ一社のマイナスを示した。
2016年の新車販売台数につき、自動車価格情報サイトのトゥルーカーは「1800万台」を予想する。ただし、伸び率は3%台とし、2015年の5.7%を下回る見通しだ。以下、ビッグ3をはじめメーカー別動向。
GMは前年同月比0.9%増の25万2128台となり、市場予想の6.4%増を下回った。6ヵ月ぶりに減少した前月からは、増加に反転した。小売販売台数では5.9%増の19万3524台で、小売部門シェアは1−3月期に1%上昇し、16.4%となる。4大ブランド別では、1−2月に続き2ブランドで増加した。詳細は、以下の通り。
・GMC 6.9%増の4万4585台、前月から増加に反転
→小売販売台数では12.8%増の4万318万台と、2005年以来で最高を達成。SUVの「ユーコン」が27.5%増の3394万台、「ユーコンXL」も22.8%増の2427万台となり、小売販売台数では2008年以来で最高を遂げた。
・シボレー 1.4%増の17万6283台、3ヵ月ぶりに増加に反転
→小売販売台数は6.8%増の12万5920台で、11ヵ月連続で増加した。新型の小型車「マリブ」が33.3%増の2万2058台で、小売販売台数では1−3月期に1980年以来で最高を遂げている。また「サバーバン」も小売販売台数で2008年以来で最高を達成。ピックアップ・トラックの「シエラ」も23.9%増の2万1258台と、2桁増へ切り返した。
・ビュイック 11.3%減の1万18207台、4ヵ月ぶりに減少に反転
→SUVの「アンコール」が13.7%増だった程度で、「エンクレーブ」の10.0%減など減少が目立つ。ただ1−3月期の小売販売台数は9%増で、2004年以来で最高に至った。
・キャデラック 5.1%減の1万3053台、前月から減少に反転
→SUVで売れ筋の「SRX」が18.6%減の4071台となり、その他の増加を打ち消した。
日本とインド市場からの撤退を決定したフォードは前年同月比8.0%増の25万4711台となり、市場予想の9.4%増から減速した。10年ぶりの高水準に達し、1−3月期では9%増の64万5626台と2006年以来の高水準となる。2大ブランド別では、前月に続きそろって増加した。詳細は、以下の通り。
・フォード 7.8%増の24万5022台、前月から増加に反転
→アルミ製ボディのトラック「Fシリーズ」が9.1%増の7万3844台と、2ヵ月連続で増加し単月では2007年以来で最高を果たした。そのほか、トラック・SUVが好調で「エスケープ」が2万8521台、「エクスプローラー」も4.0%増の2万1605台だった。一方で、小型車の「フォーカス」が9.2%減の1万8618台とその他の車種では軟調だった。
・リンカーン 11.4%増の9689台、4ヵ月連続で増加
→新型「MKX」が87.9%増の2771台と、4ヵ月連続で大幅増を迎えた。
フィアット・クライスラー・オートモビルは前年同月比8.1%増の21万3187台となり、市場予想の14%増に届かなかった。ただ前年比プラスは72ヵ月連続で、単月ベースでは2006年以来の高水準。5大ブランド別では、1−2月に続き3ブランドが増加している。詳細は、以下の通り。
・ジープ 15%増の8万2337台、30ヵ月連続で増加
→単月ベースでは、2013年11月以来続く過去最高をたどる。新しく投入された「レネゲード」を含め6車種中、5車種が増加しつつ、前月の全て増加から後退した。「チェロキー」、「ラングラー」、「レネゲード」が過去最高に達し、特に「レネゲード」は837%増の8832台と飛び抜けて高い伸び率を示した。
・ドッジ 11%増の5万1149台、6ヵ月連続で増加
→単月では、2年ぶり高水準。主力の「キャラバン」が117%増の1万2925万台と勢いづいたほか、「デュランゴ」も25%増の7651台と支え、「ダート」(44%減の5349台)、「チャレンジャー」(12%減の5369台)の減少を打ち消した。
・ラム 11%増の4万9900台、4ヵ月連続で増加
→単月では、2004年以来で最高を達成した。「プロマスター」、「プロマスター・シティ」がそれぞれ過去最高を遂げ全体を押し上げている。
・クライスラー 26%減の2万1,056台、2ヵ月連続で減少
→ミニバン「タウン・アンド・カウンティ」が148%増の1万3586台だったものの、セダン「200」が68%減の6176台へ沈んでいた。
・フィアット 24%減の3422台、3ヵ月連続で減少
→新型「500X」が伸びたものの、「500」や「500L」がそれぞれ55%減、56%減だった。
・クライスラー 13%減の2万6236台、2ヵ月連続で減少
→ミニバン「タウン・アンド・カウンティ」が39%増と2008年以来で最高だったものの、セダン「200」が63%減と全体を抑えた。
日本車では、トヨタが2.7%減の21万9842台と市場予想の5.6%増を下回り減少に転じている。ブランド別では、トヨタとレクサスがそろって減少した。営業日ベースでは、全体で9.9%減だったという。詳細は、以下の通り。
・トヨタ 2.7%減の18万9644台、前月から減少に反転
→引き続きSUVやトラックが牽引し、日本では来春に販売・生産を打ち切る計画のSUV「RAV4」が15.1%増の2万9045台と5ヵ月連続で単月での記録を塗り替えた。もっとも、主力のセダンが弱く「カローラ」が8.4%減の3万2556台、「カムリ」も9.3%減の3万6991台だった。
・レクサスは2.8%減の3万198台となり、前月から減少に反転
→SUVやトラックは底堅く、4車種中2車種で2桁増を果たす。乗用車部門は軒並み減少しており、7車種中6車種が減少。そのうち4車種が2桁減だった。
ホンダは前年同月比9.4%増の13万8221台となり、市場予想の17%増より上げ幅を狭めた。ブランド別では、1−2月に続きホンダと増加しつつ、アキュラも増加に転じている。詳細は、以下の通り。
・ホンダ 10.5%増の12万3369台、3ヵ月連続で増加
→単月で最高を達成。セダンが好調を維持しており、新型「シビック」が21.8%増の3万2855台と4ヵ月連続で2桁増と全体を支えた。「アコード」も17.3%増の3万523台と好調、ただしミニバン「オデッセイ」が0.1%増の1万1224台と減速し、SUVの「CR-V」に至っては3.2%減の2万6730台と減少に転じた。
・アキュラ 1.7%減の1万4852台、前月から増加に反転
→「RDX」が34%増の5310台と加速したものの、2月に続き「ILX」以外セダンとトラックともに減少が目立つ。
日産は12.7%増の16万3559台となり、市場予想の11%増を追い越していった。2大ブランドは、そろって増加。詳細は、以下の通り。
・日産 13.0%増の14万9784台、6ヵ月連続で増加
→単月で過去最高に。SUV・トラックで主力の「ローグ」が1.1%増の2万7713台と小幅ながら堅調なペースを保ったほか、「ムラノ」が56.1%増の8657台と支えた。「フロンティア」も15.0%増の8198台と、好調。新型のセダン「マキシマ」は138.7%増の6588台と前月に続き3桁増を記録し、主力の「アルティマ」も3万4856台と加速している。
・インフィニティ 10.0%増の1万3775台、3ヵ月ぶりに増加
→SUVの「QX60」が20.4%増の3905台と増加に転じたほか、セダン「Q50」も43.3%増の5590台と大幅増を遂げた。
その他の海外メーカーでは、フォルクスワーゲン(VW)が10.4%減の2万6914台だった。排ガス不正が発覚した2015年9月、および同年10月は値下げ効果もあって小幅な増加にとどまったが、同年11月にガソリン車にも火種が及んだ影響からか4ヵ月連続で減少。また前月比で価格が大幅に下落したものの、2桁減が続く。ただしアウディが7.5%増と増加トレンドをたどり、グループ全体では4.1%減へ下げ幅を縮めた。ヒュンダイは0.4%増の7万5130台と2ヵ月連続で増加したが、キアは0.8%減の5万8279台だった。
自動車メーカーからディーラーへの1台当たりインセンティブは、前年同期比284ドル上昇(10.4%上昇)した。販売価格に対する割合では、平均で9.1%と前月の8.4%から上昇しつつ、前年同月の9.3%には届いていない。今回は日産のほかキアが12%台で最も高く、逆に最も低かったメーカーはスバル、ホンダだった。高級車ではダイムラーが最も低く、逆にBMWの高水準が際立つ。
(出所:Truecar)
高級車部門別ランキングは、以下の通り(%は全て前年比)。今回、高級車御三家のメルセデス・ベンツ、レクサス、BMWがトップ3を維持した。1月にBMWが陥落し3位の座をビュイックに譲ったものの、インセンティブを引き上げ販売台の維持に努めた効果を発揮したと言えよう。
1位 メルセデス・ベンツ 3.3%減の3万1236台
→1−2月に続き、首位を堅持した。年初来でも0.8%減ながら、8万3009台でトップに君臨している。2015年は、4.7%増の37万2,977台でトップ。2013年は1位だったが、2014年ではBMWに1位を明け渡していた。
2位 レクサス 1.0%増の2万3,234台
→1−2月に続き2位と、好発進を続けている。年初来では3.8%減の7万4221台で2位を維持した。2015年は10.7%増の34万4,601台で3位。2011年まで11年間連続で首位を飾ったが、東日本大震災後に順位を落とし2014年、2013年、2012年に続き3位にとどまる。
3位 BMW 10.7%減の2万2,498台
→1月はまさかのトップ3圏外だったが、2月に続き3位に食い込んだ。年初来では10.0%減の7万613台で、引き続き3位。2015年は1.8%増の34万6,023台で、首位の座を宿敵メルセデス・ベンツに明け渡していた。2014年では1位、2013年は2位だった。
4位 アウディ(VW)7.5%増の1万8392台
→VWショックに揺れるなか、前月の7位から4位へ急伸。年初来では4.6%増の4万1960台で、5位につけている。2015年は11.1%増の20万2,202台で、5位だった。
5位 ビュイック(GM)11.3%減の1万8207台
→BMWのインセンティブ拡大に加え、アウディの猛追に遭い5位に陥落した。年初来では7.5%増の5万4287台 で4位となる。2015年は2.6%減の22万3,055台で4位だった。
6位 アキュラ 1.2%増の3万7875台
→前月は5位だったものの、アウディに追い越され6位へランクダウンした。年初来では4.5%減の3万7875台で6位。2015年は5.6%増の17万7,165台で6位に収まっていた。
7位 インフィニティ 10.0%増の1万3775台
→前月まで8ヵ月連続で8位を経て、遂に7位へ浮上した。年初来では、3.5%減の3万2660台で8位となる。2015年も13.8%増の13万3,498台で8位だった。
8位 キャデラック 5.1%減の1万3053台
→インフィニティやアウディに押され、前月の6位から8位に陥落した。年初来では4.1%減の3万5663台で7位を堅持している。2015年は2.6%増の17万5,262台で、7位だった。
7位 アウディ(VW)%増の1万1,580台
→VWショックに揺れるなか、前月の5位から7位へ転落。アキュラとキャデラックの追撃に屈した。2015年は11.1%増の20万2,202台で、5位だった。
8位 インフィニティ 11.0%減の1万371台
→8ヵ月連続で8位。2015年も13.8%増の13万3,498台で8位だった。
最新版:自動車メーカー別のシェアの1位はGM、2位フォード、3位トヨタで変わらず。1位と2位の左は、わずか0.1%へ縮小しており、フォードが4月に1位を奪取するのか注目。VWは1−2月こそスバルに8位の座を明け渡したが、今回はスバルと同率の8位ヘ浮上した。
(出所:Good Car Bad Car)
新車販売台数:モデル別ランキング(%は前年同月比)
1位 Fシリーズ(フォード)9.1%増の7万3844台
2位 シルバラード(GM)6.1%増の4万7966台
3位 アルティマ(日産)7.9%増の4万4874台
4位 カムリ(トヨタ)9.3%減の3万6991台
5位 アルティマ(日産)8.9%増の3万4856台
6位 シビック(ホンダ)21.8%増の3万2855台
7位 カローラ(トヨタ)8.4%減の3万2556台
8位 アコード(ホンダ)17.3%増の3万523台
9位 フュージョン(フォード)2.2%増の2万9675台
10位 Rav 4(トヨタ)15.1%増の2万9045台
SUV版:新車販売台数、ブランド別ランキング(%は前年同月比)
1位 RAV 4(トヨタ)15.1%増の2万9045台 前月も1位
2位 エスケープ(フォード)8.4%増の2万8521台、前月は3位
3位 ローグ(日産)1.1%増の2万7713台、前月は5位
4位 CR−V(ホンダ)3.2%減の2万6730台、前月は2位
5位 エクスプローラー(フォード)5.9%増の2万4412台、前月は4位
6位 エクィノックス(シボレー)11.7%減の2万1480台、前月も6位
7位 ジープ・チェロキー(フィアット・クライスラー)0.7%増の1万9170台、前月は8位
8位 ジープ・グランドチェロキー(フィアット・クライスラー)10.1%増の1万8506台、前月は7位
9位 ジープ・ラングラー(フィアット・クライスラー)1.1%増の1万7710台、前月も9位
10位 ハイランダー(トヨタ)14.6%増の1万4949台、前月も10位
(カバー写真:Ford)
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