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シニア融資担当者調査、消費者ローン厳格化の兆し見せず

by • February 2, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2036

Lenders Didn’t Tighten Lending Standards For Consumers.

米連邦準備制度理事会(FRB)が四半期に一度のシニア融資担当者調査を発表した。2015年10-12月期分の対象は米国の国内銀行73行と、外銀の24行。商業・産業向け融資は幾分需要が低下した一方、商業不動産向け需要は高まった。融資基準は商業・産業、商業不動産ともに厳格化が目立つ。特に商業不動産は、複合住宅の需要を反映し数年ぶりの水準へ高まったという。反対に、消費者向け融資は概して緩和した。12月利上げ開始が意識されたにも関わらず、特に住宅ローンと自動車ローンなどで緩和した銀行がみられた。以下は、カテゴリー別の詳細。

▽商業・産業向け融資(年間売上5000万ドル以上)
・大幅に引き締め 1行 1.4%
・幾分引き締め 8行 11.0%
・概して変わらず 61行 83.6%
・幾分緩和 2行 2.7%
・大幅に緩和 1行 1.4%

▽商業・産業向け融資(年間売上5000万ドル以下)
・大幅に引き締め 0行 0%
・幾分引き締め 5行 7.0%
・概して変わらず 64行 90.1%
・幾分緩和 2行 2.8%
・大幅に緩和 0行 0%

商業・産業向け需要は原油安・ドル高圧力に屈し低迷(黒字が大企業、赤字点線が中小企業)。
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(出所:FRB)

▽政府機関保証を受けた住宅ローン
・大幅に引き締め 0行 0%
・幾分引き締め 2行 3.2%
・概して変わらず 50行 79.4%
・幾分緩和11行 17.5%
・大幅に緩和 0行 0%

▽消費者向け自動車ローン
・大幅に引き締め 0行 0%
・幾分引き締め 1行 1.5%
・概して変わらず 64行 94.1%
・幾分緩和 3行 4.4%
・大幅に緩和 0行 0%

消費者向け融資、厳格化の兆しは見えず。
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(出所:FRB)

――利上げ開始間際とあって、商業・産業向け融資基準が厳格化されつつある兆しがみられました。ただ大変は原油安を受けたエネルギー企業向けとみられ、需要も低下しています。商業不動産の需要は、住宅保有率が約30年ぶりの低水準を這うなかで、賃貸向け住宅の増加トレンドを確認しました。商業・産業向け融資において「強い需要を確認した」との回答はネットで11.1%低下し、2012年1-3月期以来のマイナスに反転。2015年の米10-12月期GDP速報値が鈍化したところ、企業の設備投資を指す機器投資や構造物投資などを含む民間投資の落ち込みが目立ったことが思い出されます。米1月ISM製造業景況指数も4ヵ月連続で分岐点を割り込む状況で、明るい兆候はみられません。銀行の融資が拡大せず、収益の鈍化につながりそうです。

希望の光は、住宅ローンや自動車ローンの貸出基準を緩和していたことでしょう。住宅ローンについてはそもそもの基準が厳しいと言われていますが、消費の下支え役として期待が残ります。

(カバー写真:USDA/Flikr)

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