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製造業センチメント、1月はISMとマークイットともに低迷続く

by • February 2, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1805

Manufacturing Sentiment Stays Low In January.

ISMやマークイットが発表した1月の製造業景況指数をおさらいしていきます。

米1月ISM製造業景況指数は48.2となり、市場予想の48.4を下回った。前月の48.0から小幅改善しつつ、2009年6月以来の低水準近くを保つ。分岐点割れは4ヵ月連続で、6ヵ月平均は49.2と前月の50.2から低下しこちらも分岐点割れを迎えた。内訳は以下の通りで、新規受注や生産が3ヵ月ぶりに分岐点を回復。一方で雇用が2ヵ月連続で分岐点割れだった上に2009年6月以来の低水準だったほか、新規受注も50割れへ戻した。詳細は、以下の通り。

・新規受注 51.5、3ヵ月ぶりに分岐点を回復し2015年5月以来の高水準>前月は48.8と約3年ぶり低水準、6ヵ月平均は50.3
・生産 502>前月は49.9、6ヵ月平均は51.3
・雇用 45.9、2ヵ月連続で分岐点を割り込み2009年6月以来の低水準<前月は48.0、6ヵ月平均は48.9

・在庫 43.5、7ヵ月連続で分岐点割れ=前月は43.5、6ヵ月平均は48.9
・新規輸出受注 47.0、分岐点割れに回帰<前月は51.0、6ヵ月平均は47.7
・仕入れ価格 33.5、2009年4月以来の最低で分岐点割れを継続=は33.5、6ヵ月平均は36.4

・入荷時間 50.0、分岐点を回復>前月は49.8、6ヵ月平均は49.9
・受注残 43.0、8ヵ月連続で分岐点割れ>前月は41.0、6ヵ月平均は42.9

ISM製造業景況指数と各連銀景況指数、1月の結果はご覧の通り。
ISM
(作成:My Big Apple NY)

ISMのブラッドリー・ホルコム会長は、結果に対し「強弱混合ながら経済は鈍化しており、回復を試そうとしている」と振り返った。新規受注が2015年5月以来の水準へ上向いたことは「ターニングポイントにある可能誌をちらつかせる」としつつ、「判断するのは時期尚早」と締め括った。

▽米1月マークイット製造業PMI・確報値、

米1月マークイット製造業PMI・確報値は52.7となり、市場予想の52.6を下回った。速報値の52.7から、下方修正。2012年10月以来の水準へ落ち込んだ前月の51.2からは、改善した。

マークイット製造業PMI、約3年ぶり低水準から回復。
markit
(出所:Markit)

マークイットのクリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受け「1月に小幅改善したとはいえ、過去2年間で2番目に低い水準」と指摘した。明るい材料としては新規受注が回復を挙げつつ、「雇用が低迷を続けており、見通し及び稼働率拡大に慎重であり続けていることを示す」と分析。製造業活動は「世界需要の低下、エネルギー関連企業での投資落ち込み、金融市場の不確実性の高まりにより、1-3月期は経済押し下げ要因となりうる」と結んだ

▽米12月建設支出、民間・公共ともに非住宅が押し下げ予想以下

米12月建設支出は前月比0.1%増の1兆1166億ドルとなり、市場予想の0.6%増を下回った。約1年半ぶりのマイナスに落ち込んだ前月の0.4%減(0.6%減から下方修正)から増加しつつ、小幅にとどまる。内訳をみると住宅が0.7%増と9ヵ月連続で増加したものの、非住宅が0.4%減と2ヵ月連続でマイナスに。建設支出の前年比は8.2%増と、前月の10.5%増(速報値ベース)から伸びを縮小した。

民間は0.6%減と、2ヵ月連続で減少した。住宅が0.9%増と9ヵ月連続でプラスをたどり金額ベースで約8年ぶりの高水準に達したものの、非住宅が2.1%減と前月の0.7%減と合わせ2ヵ月連続で減少した。非住宅の内訳をみると16項目中、前月に続き12項目がマイナスに振れた。保存・開発が9.9%減と最も落ち込みが目立ち、次いで製造業が7.2%減、前月も弱かった公共安全が4.6%減と続いた。一方で高速・道路が9.6%増と大きく伸び、通信も4.0%増と好調。水道、輸送はそれぞれ1.3%増、0.5%増だった。

公共は0.6%減と、前月の1.0%減と合わせ4ヵ月連続で減少した。住宅が0.9%増と4ヵ月連続で増加したが、非住宅が2.1%減と4ヵ月連続でマイナスに落ち込んだ。

バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、結果を受け「民間の非住宅投資と政府支出の下方修正を余儀なくされる」と総括した。その上で、米10-12月期GDP改定値を「速報値の0.7%増を下回る0.5%増」と見込む。

——米ISM製造業景況指数は景気後退の終焉を迎えた2009年6月以来の水準近くを這い、米1月マークイット製造業PMI・確報値も下方修正され、挙句の果てに米12月建設支出も弱含むなど、企業の設備投資をめぐる投資の失速は明らかです。アトランタ地区連銀の試算で、1-3月期GDPは1.2%増と、2.0~2.5%とするエコノミスト予想平均を大幅に下回っています。アトランタ地区連銀は米10-12月期予想が1.0%増で同速報値の結果を0.3%上回る程度で、2015年の米1-3月期GDPでは速報値0.2%減で的中させたケースもあり、今回も低い数字を弾きだした同連銀が当ててくるか注目されます。

(カバー写真:Kazue Asano/Flickr)

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