Markit Service PMI Points To A Slower Hiring.
米4月マークイット・サービス業速報値と米2月S&P/ケースシラー住宅価格指数をおさらいしていきます。
米4月マークイット・サービス業PMI速報値は52.1となり、市場予想の52には及ばなかった。ただ前月の51.3は上回り、債務上限引き上げ及び暫定予算交渉の行き詰まりで政府機関の閉鎖を余儀なくされて以来の分岐点割れを迎えた2月の49.7からも改善をたどる。総合PMIは51.7で、前月の51.3を超えた。2月の50.0から上昇し、2013年10月以来の50割れを回避し続けている。
サービス業PMI、何とか分岐点の50を超える程度。
(出所:Markit)
クリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受けて「4月にサービス業PMIの改善と新規受注の伸びを踏まえれば、米4-6月期もプラス成長が期待できる」と振り返った。とはいえ「成長の伸びは、依然として脆弱」と指摘。2009年10月以来の低水準だった製造業PMIと合わせ「米4-6月期国内総生産(GDP)は前期比年率0.8%増が見込まれ、米1-3月期GDP予想値をわずかに上回る程度」と切り捨てる。サービス業PMIも雇用も下振れしており「米4月雇用統計・非農業部門就労者数は前月比15万人増」を予想、春到来にも関わらず、2~3月から鈍化する見通しだ。
▽米2月S&P/ケースシラー住宅価格指数、前月・予想以下で値ごろ感増す?
米2月S&P/ケースシラー住宅価格指数(季節調整前、20都市別)は前年同月比5.38%上昇の182.79となり、市場予想の5.50%を下回った。前月の5.68%(5.75%から下方修正)にも届いていない。2年9ヵ月連続でプラス圏を保ちつつ、2013年2月以来の10%割れは維持した。季節調整済み・20都市別の前月比は0.66%の上昇と、市場予想の0.80%以下に。前月の0.47%(0.52%から下方修正)に届かなかったものの、6ヵ月連続で上昇した。
季節調整済みでは、前月に続き20都市で上昇。上昇率トップはカリフォルニア州サンフランシスコで1.54%と、前月のトップ3圏外から躍り出た。2位はコロラド州デンバーで1.53%となり、こちらも圏外からのランクイン。3位はワシントン州シアトルで1.25%と、前月の2位から3位に転落した。最下位は前月に2位だったニューヨーク州NYで0.05%、2位はワースト3圏外からワシントンD.C,が入り、3位はカリフォルニア州サンディエゴが西海岸としては珍しく滑り込んだ。
発表元のS&Pダウ・ジョーンズ・インデシーズのデビッド・ビルザー会長は、結果に対し「前年比では20都市中13都市が上昇したものの、伸び率は鈍化した」と振り返る。ただし住宅市場の悪化を示すものではなく「むしろ、在庫ひっ迫が問題」と指摘。住宅価格がインフレ率を2倍以上に及ぶ理由になっていると説いた。
――米4月マークイット・サービス業PMIは個人消費の拡大を示唆しなかったどころか、雇用に鈍化の兆しが現れてしまいました。製造業が弱含むなかでサービス業まで失速すれば、米4-6月期GDPの1%割れ見通しに信憑性を与えかねない。米3月雇用統計で確認した食品サービスや派遣の雇用鈍化、米3月小売売上高における外食の減少は、やはりサービス産業が鈍化する前兆だったようです。
今回の決算シーズンで、リストラが相次いで発表されているのも懸念材料。26~27日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では6月利上げの選択肢を残すのでしょうが、可能性はどんどん後退しているように見えます。米2月S&P/ケースシラー住宅価格指数も、ますます鈍化しそうです。
(カバー写真:Dave Dugdale/Flickr)
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