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米4月NFIB中小企業楽観度指数、約2年ぶり低水準から回復

by • May 11, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1981

NFIB Small Business Optimism Rebounds From 2-Year Low.

米連邦準備制度理事会(FRB)の労働市場情勢指数に含まれる米4月NFIB中小企業楽観度指数は93.6となり、市場予想の93を上回った。2014年2月以来の低水準だった前月の92.6から、改善している。4ヵ月ぶりに前月値を超えただけでなく、リセッション後の平均値92.6も上抜けた。米株相場が年初来リターンをプラスに反転させ原油先物も40ドル台を回復したものの、上半期での利上げ観測が圧迫したためかセンチメントは小幅ながら低下を続けた。

発表元である全米独立企業盟(NFIB)のウィリアム・ダンケルベルグ主席エコノミストは、4ヵ月ぶりに上昇した結果を受けながら「中小企業のオーナーは米経済に非常に悲観的で、納得がいく」とのコメントを寄せた。政治の指導力不足を挙げており「明るい将来へのビジョンに欠け、経済成長と雇用拡大に焦点を置いた政策が欠如している」と指摘。米大統領選に対しても「選挙後に力強い団結した指導力を発揮できる政権が発足するか不透明」と結ぶ。

NFIB中小企業楽観度指数、年初来で初めて上昇に反転。

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(作成:My Big Apple NY)

内訳をみると、12項目中プラス圏にのせた項目は前月と変わらず6項目だった。プラス圏のトップ項目が「設備投資を拡大した」に代わり「求人件数」が浮上し、米3月雇用動態調査と整合的である。その他、3月にマイナス圏だった「在庫を拡大する見通し」が0%と分岐点を回復。マイナス圏では「経済がより良くなる」が下げ幅を広げつつ、前月に続きワースト1位の座は「黒字トレンドにある」のままだ。以下は、項目ごとの変化。

「求人件数」29%→前月の25%から上昇、6ヵ月平均は28%
「設備投資を拡大した」25%→前月の25%と変わらず、6ヵ月平均は25%
「賃金を引き上げる計画」15%→前月の16%から低下、6ヵ月平均は16%
「雇用を増加させる」11%→前月の9%から上昇、6ヵ月平均は11%
「事業拡大に良いタイミング」8%→前月の6%から上昇、6ヵ月平均は9%
「売上が拡大する」1%→前月の1%と変わらず、6ヵ月平均は2%

「在庫を拡大する見通し」−0%→前月の−2%から改善、6ヵ月平均は−2%

「販売価格の上昇」−1%→前月の−4%から改善、6ヵ月平均は−2%
「在庫満足度」−5%→前月の−5%と変わらず、6ヵ月平均は−4%
「信用状況が緩和する」−6%→前月の−6%と変わらず、6ヵ月平均は−6%
「経済がより良くなる」−18%→前月の−17%から悪化、6ヵ月平均は−17%
「黒字トレンドにある」−19%→前月の−22%から改善、6ヵ月平均は−19%

▽米3月卸売在庫、市場予想通りも前月分が下方修正

米3月卸売在庫は前月比0.1%増となり、市場予想に並んだ。前月の0.6%減(0.5%減から下方修正)から転じ、6ヵ月ぶりに増加している。石油を除いた場合は±0%となり、前月の0.7%減(0.5%減から下方修正)から横ばいに転じ、減少を2ヵ月で止めた。内訳をみると非耐久財が0.5%増と前月の0.8%減から改善し、特に薬品が2.0%増と6ヵ月ぶりにマイナスへ落ち込んだ前月から好転した。一方で食品は0.7%減と、4ヵ月ぶりに減少した。耐久財は0.1%減と減少トレンドを維持した。もっとも、主要項目は改善。自動車が1.0%増と4ヵ月ぶりに減少した前月からプラスに転じたほか、コンピューターも0.8%増と減少トレンドに歯止めを掛けている。機械も0.1%増と、4ヵ月ぶりに増加した。

卸売売上高は0.7%増と、市場予想の0.5%増より強い結果となった。前月の0.2%減から転じ、5ヵ月ぶりに増加。石油を除く場合は0.2%減と前月の0.6%増からマイナスへ反転したが、これは耐久財のうち自動車が足を引っ張ったため。耐久財は0.2%減と減少に転じ、自動車が0.7%減と3ヵ月連続で下押ししていた。逆にコンピューターは1.2%増と2ヵ月連続で増加し、機械も1.4%減と4ヵ月ぶりに減少に転じた。非耐久財は1.6%増となり、5ヵ月ぶりに増加へ反転した。石油関連が原油先物価格の戻りを受け13.5%増と5ヵ月ぶりに増加したほか、薬品も0.4%増と2ヵ月連続でプラスに。食品のみ、1.3%減と2ヵ月連続で減少した。在庫相当は前月に続き1.36ヵ月で、1月の1.37ヵ月以下を保つ。前年同期は1.32ヵ月だった。

バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、結果を受け「過去分が下方修正されたが、予想通り在庫が増加したほか非耐久財受注が持ち直した」と指摘。米1-3月期GDP改定値の予想を「0.9%増」で据え置いた。

アトランタ地区連銀は、GDPナウで4-6月期GDP予想を従来の1.7%増から2.2%増へ大幅に上方修正させた。本日の米3月卸売在庫で上方修正されたというより、米3月貿易収支米3月製造業受注によって支えられたとみられる。

――NFIB楽観度指数は米株が過去最高値まで一時1%台に届くまで回復し、原油先物の45ドル台まで切り返すなかで漸く低下にブレーキを掛けました。雇用の項目も上向き、GDPの46%を担う中小企業が労働市場を下支えする期待が募ります。米3月卸売在庫までの米経済指標は1-3月期GDP改定値の上方修正を示唆し、米4-6月期GDP予想値が上方修正されている点は、心強い。米4月小売売上高が発表される13日に、もう少し方向性がはっきりしてくることでしょう。

(カバー写真:G Morel/Flickr)

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