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米5月人員削減予定数は年初来で最低、採用動向は昨年9月以来で最高

by • June 2, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1886

Job Cuts Fall To Five-Month Low In May.

米4月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比27%減の3万157人だった。増加トレンドを4ヵ月連続で止め、削減予定数自体は5ヵ月ぶりの低水準。前月比では53%減となり、過去4ヵ月間で3回目の減少を示す。産業別では引き続きエネルギー産業の人員削減が押し上げた一方、全体のうち25.1%と年初来で最悪だった前月の30.3%から改善した。原油価格が50ドルへ回復する過程で、2015年12月の7.1%が遠い状況だ。

雇用統計と相関関係が今回も継続すれば、米5月雇用統計は好転へ。

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(作成:My Big Apple NY)

4大地域別では、前月比ベースにて全て減少。4月の1地域から増加した。今回は、中西部が58.8%減4434人32ヵ月連続で減少した。石油産業が集まる南部は45%減の1万1811人、IT企業が多い西部も58%減の1万3718人と前月の増加分を相殺。北東部は53.7%減の5391人と、3ヵ月ぶりに減少した。

1-5月期では、前年同期比13%増の27万5218人だった。原油安の影響で、エネルギー関連が25%増の7万5232人と全体の27%を占める。次いで小売が40%増の3万8264人と全体の14%、コンピューターも231%増の3万3925人と全体の13%を占めた。

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「大幅な人員削減の流れが一時停止した」と指摘した。背景として「原油価格の反発」を挙げ、エネルギー関連を中心に「雇用削減を押しとどめる上で有効だった」と説明。今後は「夏にかけ採用担当者が休暇を取る」ため、人員削減が減少する可能性を示唆した。

年初来の州別では、原油安を背景に石油生産地を抱えるテキサス州が1〜4月に続きトップに立った。2位も前月と変わらず、カリフォルニア州が入っている。1〜2月や4月と同じく、シェール関連産業が並ぶアーカンソー州も上位に。4位、5位も変わらずイリノイ州とニューヨーク州がランクインした。

1位 テキサス州 7万1787人>前月は7万1186人、前月も1位
2位 カリフォルニア州 3万7558人>前月は3万4160人、前月も2位
3位 アーカンソー州 1万7284人>前月は1万6995人、前月も3位
4位 イリノイ州 1万1515人>前月は1万1073人、前月も4位
5位 ニューヨーク州 1万155人>9094人、前月は5位

年初来で人員削減が多かったセクターのランキングは以下の通りで、%は前年同期比を示す。1位は前月に続きエネルギーで、2位も前月と変わらず小売が入っている。3位は1〜4月に続きコンピューターがランクイン。4位も原油安とドル高の打撃から、産業財で変わらない。5位のみ前月娯楽・レジャーから、ヘルスケアがその座を取り戻した。5月の主な人員削減発表はIT大手シマンテックが1200人と目立った程度で、他は3桁以下にとどまった。

1位 エネルギー 25%増の7万5232人
2位 小売 40%増の3万8264人
3位 コンピューター 231%増の3万3925人
4位 産業財 27%減の1万8406人
5位 ヘルスケア 25%減の9642人

5月の人員削減数ワースト5は、こちら。今回は3月に2位だったエネルギーが4月に続き1位だった。2位は前月5位だった産業財、3位は前月2位だったコンピューターが並んだ。以下はそれぞれ圏外からのランクインとなる。

1位 エネルギー 7572人(全体の26%)
2位 産業財 3650人(全体の12%)
3位 教育 3359人(全体の11%)
4位 コンピューター 2836人(全体の10%)
5位 製薬 1348人(全体の4%)

リストラ実施の理由、5月のランキングは以下の通り。

1位 再編 7704人(全体の26%、前月も1位)
2位 コスト削減 6890人(全体の23%、前月は4位)
3位 原油安 6330人(全体の21%、前月は2位)
4位 閉鎖 5994人(全体の20%、前月は5位)
5位 契約終了 658人(全体の2%、前月は需要低下)

セクター別の採用動向は、以下の通り。全体では2万4732人となり、前月の1万1557人を2015年9月以来で最高を示した。

1位 小売 1万4100人、前月は自動車
2位 コンピューター 2579人、前月は小売
3位 通信 2067人、前月は産業財
4位 自動車 1900人、前月はヘルスケア
5位 産業財 967人、前月は電化製品

――エネルギー関連の人員削減が引き続き全体を押し上げた一方で、4月に急増した反動から増加幅は前月から大きく縮小しています。何より注目は採用予定数で、2015年9月以来で最高を記録。米新規失業保険申請件数では通信大手ベライゾンのストライキが影響し米5月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)を3.5万人押し下げる可能性が取り沙汰された半面、その他の分野での雇用増やベライゾンの穴埋め要員などで、むしろ増加する可能性が残ります。

(カバー写真:DC Cowboys Dance Troupe/Flickr)

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