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米4月求人数は過去最高も、採用者数は2ヵ月連続で減少

by • June 9, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off987

Job Openings Matches Historic High, While Hires Continue To Fall.

米労働省が発表した米4月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は578.8万人と、市場予想の567.5万人を上回った。前月の567.0万人(575.7万人から下方修正)から2.7%増加。2015年7月に並び、2000年の統計開始以来で最高を記録している。なお米4月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は、改定値で従来の16.0万人増から12.3万人増へ引き下げられた。2015年の平均22万人増にも届かず、米5月雇用統計では3.8万人増とNFPが最後に減少を示した2010年9月以降で最低に落ち込んだ。

新規採用人数は前月比4.0%減の529.2万人と、2ヵ月連続で減少した。2006年11月以来の高水準を遂げた2月から鈍化しつつ、リセッションが開始した2007年12月時点の500万人という大台を19ヵ月連続で超えた。

離職者数は2.1%減の498.8万人となり、2ヵ月連続で減少し3ヵ月ぶりに500万人割れを迎えた。定年や自己都合による退職者は1.2%減の291.2万人となり、統計開始以来で最高だった2015年12月の308.8万人から遠ざかっている。解雇者数は7.6%減の164.6万人と、2ヵ月連続で減少し2015年7月以来の低水準だった。

求人数は過去最高も、新規採用者数や離職者数は鈍化。

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(作成:My Big Apple NY)

求人率は前月まで3ヵ月連続で3.8%を経て3.9%へ上昇、統計開始以来で最高となる2015年7月の水準に並んだ。民間が3ヵ月連続での4.1%から4.2%へ上昇し、統計開始以来の最高である2001年1月に等しい。民間のうちサービスが支え、情報が前月の2.5%から3.6%へ跳ね上がったほか、貿易・輸送も前月の3.5から3.9%、教育・ヘルスケアも前月の4.4%から4.7%と大きく上昇している。貿易・輸送・公益が3.2%から3.8%、専門・サービスが5.2%から5.8%へ急伸した。一方で、娯楽・宿泊は前月の4.8%から4.7%へ低下した。財生産業のうち、鉱業・伐採は前月の1.3%増から2.1%増へ大幅上昇した。製造業も、前月の2.7%から3.3%へ上振れしている。政府は2.2%で変わらずだった。

就業者に対する新規採用率は3.5%と2014年7月以来の低いレベルを示し、2007年10月以来の高水準に並んだ2月の3.8%が遠のいた。民間が前月の3.7%から3.5%へ鈍化、2014年6月以来の最低だった。サービスでは娯楽・宿泊をはじめ専門・サービス、輸送・倉庫・公益が低下した。財生産業では鉱業・伐採を含め製造業など軒並み下振れ。政府は1.7%と前月の1.6%から上向いた。

自発的および引退、解雇などを含めた離職率は3.5%と、前月と変わらず。ただ民間は前月の3.9%から3.8%へ低下しており、政府が6ヵ月連続で1.6%だった。自発的離職率は2ヵ月連続で2007年5月以来の高水準となる2.1%を経て、今回は2.0%へ低下した。解雇率は1.1%と前月の1.2%から低下、2000年12月に統計が開始してからの最低に並んだ

解雇者数の減少は心強いながら、離職者数も弱い。

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(作成:My Big Apple NY)

――以上の結果を踏まえ、イエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。今回、採用率と非農業部門就労者数が合格点から外れたため、達成項目は9項目中3項目へ減少しました。6項目を達成した2月、5項目だった3月から減少しています。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字です。

1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 3.9%

2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.1%

3)自発的離職率 ×
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.0%

4)採用率—×
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.5%

5)非農業部門就労者数—×
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 11.6万人増

6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 4.7%

7)不完全失業率—×
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 9.7%

8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 25.7%

9)労働参加率—×
2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.6%

――米4月雇用動態調査は求人数が増加した一方で、新規採用数は減少するなど前月に続きまちまちな状況です。米4月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の下方修正と、整合的でした。離職者数は解雇者数が改善したものの、労働市場に疑問を投げかけます。

フィラデルフィアで6日に講演を行った米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は、単月の数字を過大評価しないと断りつつ「最近の労働指標から、経済見通しに新たな疑問が浮上している(New questions about the economic outlook have been raised by recent labor market data)」と発言。米5月雇用統計が経済全般の鈍化を表すのか、堅調なペースへ切り返すか確認する必要があるとの見解を表明したものです。さらに、追加利上げをめぐっては「いずれ(over time)」と表現するにとどめ「数ヵ月内に(coming months)」との文言を削除しました。米4月雇用動態調査は、少なくとも新規採用数で伸び悩みを見せ労働市場が過熱していない様子を物語っています。

(カバー写真:AFGE /Flickr)

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