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米6月ダラス連銀製造業景況指数、原油反発局面でも分岐点割れ継続

by • June 28, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1739

Dallas Manufacturing Index Stays Negative Despite Of Oil Rebound.

米6月ダラス連銀製造業景況指数と米6月マークイット・サービス業PMI・速報値、米5月貿易収支・速報値をおさらいしていきます。

米6月ダラス連銀製造業景況指数はマイナス18.3となり、市場予想のマイナス15より下げ幅を拡大した。原油先物が50ドル台を回復した後で伸び悩むなか、前月のマイナス20.8から悪化。1月に2009年4月以来で最低となる前月のマイナス34.6 まで沈んだ後、最悪期を脱するものの18ヵ月連続でマイナス圏をたどる。項目別では生産をはじめ稼働率、出荷、新規受注が下げ幅を縮小しつつ、受注伸び率のほか在庫、雇用は下げ幅を広げた。詳細は、以下の通り。

・生産 マイナス7.0、2ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス13.1、6ヵ月平均はマイナス5.0
・出荷 マイナス8.6、2ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス11.5、6ヵ月平均はマイナス4.1
・稼働率 マイナス9.3、2ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス11.0、6ヵ月平均はマイナス13.4

・新規受注 マイナス14.2、2ヵ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス14.9、6ヵ月平均はマイナス9.1
・受注伸び率 マイナス18.6、2ヵ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス14.7、6ヵ月平均はマイナス13.4
・設備投資 マイナス2.1、2ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス6.6、6ヵ月平均はマイナス1.0
・在庫 マイナス6.0、分岐点割れを継続<前月はマイナス2.5、6ヵ月平均はマイナス6.9

・雇用 マイナス11.5、2009年11月以来の最低で6ヵ月連続の分岐連割れ<前月はマイナス6.7、6ヵ月平均はマイナス7.9
・平均労働時間 マイナス12.8、2015年9月以来で最低で6ヵ月連続の分岐点割れ<前月はマイナス11.8、6ヵ月平均はマイナス8.4
・賃金 21.6<前月は21.8と2014年12月以来で最高、6ヵ月平均は17.3

・仕入れ価格 12.6>前月は12.4、6ヵ月平均は1.6
・販売価格 マイナス5.2、18ヵ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス3.3、6ヵ月平均はマイナス7.6

6ヵ月見通しは2.6と、前月のマイナス1.8からプラスに転じた。項目別でも改善が目立ち、特に雇用や受注伸び率は10ポイント以上も改善した。そのほか平均労働時間がプラス圏を回復したほか生産、新規受注、出荷、設備投資、賃金、販売価格も前月から上昇。反対に稼働率、仕入れ価格、在庫は前月を下回った。

▽米6月マークイット製造業PMI速報値、小幅改善も雇用は軟調

米6月マークイット・サービス業PMI速報値は51.3となり、市場予想の52を下回った。前月と変わらず。2月に49.7と債務上限引き上げ及び暫定予算交渉の行き詰まりで政府機関が閉鎖された2013年以来の分岐点割れを意識した後は、辛うじて分岐点乗せを維持している。ただ、注目の雇用は1年半ぶりの低水準となり3ヵ月連続で鈍化した。総合PMIは51.2となり、前月の50.9を上回った。2013年10月以来の50割れを回避している。

マークイット、分岐点割れ手前の状況は変わらず。

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(作成:My Big Apple NY)

クリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受けて「米1~3月期国内総生産(GDP)は失望を誘う内容だったが、6月マークイット・サービス業PMIを振り返ると米4~6月期GDPも1%程度にとどまる」と慎重な見解を寄せた。ビジネス見通しも金融危機以来の低水準を示し、「企業も家計も支出に躊躇している様子」と指摘。米大統領選にBREXITという不安要因が重なるなか「Fedは利上げに急ぐことはない」と予想した。

▽米5月貿易赤字・速報版は、予想以上の赤字

米5月貿易収支・速報版は605.94億ドルの赤字となり、市場予想の595億ドルを上回った。前月の575.47億ドルも上回り、3ヵ月ぶりの高水準。輸出が前月比0.5%減(前年比6.5%減)の1190.37億ドルだった半面、輸入が同1.4%増(前年比1.1%減)の1796.30億ドルとなり、赤字が拡大した。もっとも輸入の増加は原油価格の上昇を反映したもので、原油を含む産業財を除く場合は0.5%増にとどまった。

――米6月ダラス連銀製造業景況指数は分岐点割れを維持し、米6月フィラデルフィア連銀景況指数など分岐点を回復した3地区連銀と一線を画し弱いままです。原油先物が50ドル台を回復した後でも分岐点は遠いなかでは、英国の欧州連合(EU)離脱に伴う原油安再燃で悪化しかねません。

米6月マークイット・サービス業PMIは改善しましたが、BREXITを受けて再び分岐点を割り込む場合もあり得るでしょう。米株安で資産効果が低下するため、住宅や自動車など高額商品の売れ行きにも注意したいところです。

米5月貿易収支・速報版は赤字拡大を示したものの、バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストによれば「原油先物など価格面を除けば、輸入の伸びは当社従来予想より小さい」といいます。従って米4~6月期国内総生産(GDP)予想も、2.4%増から「2.5%増」へ引き上げました。少なくとも米4~6月期GDPは潜在成長率を上回りそうです。

(カバー写真:Nicolas Henderson/Flickr)

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