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米6月輸入物価、ドル高一服でも伸びは限定的

by • July 14, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1822

Import Price Softens. Even After Strong Dollar Effect Wanes.

米6月輸入物価指数、MBA住宅ローン申請件数指数、米6月財政収支をおさらいしていきます。

米6月輸入物価指数は前月比0.2%上昇し、市場予想の0.5%を下回った。4ヵ月連続で上昇したが、2011年2月以来の水準へ加速した前月の1.4%にも届かず。原油先物が50ドル台を回復する過程で石油が6.4%上昇も、前月の16.3%以下にとdまり、4ヵ月ぶりに2桁の伸びから失速した。燃料を除く輸入物価指数はドル高が一服したとはいえ、0.3%の低下へ反転。3ヵ月ぶりにマイナスを示した。以下は、項目別動向。

・産業財 2.1%、4ヵ月連続で上昇<前月は6.2%
・自動車 ±0%、3ヵ月で上昇にブレーキ<前月は0.4%
・消費財 0.2%の低下、前月から反転>前月は0.2%
・資本財 0.3%の低下、前月から反転>前月は±0%
・食品 1.3%の低下、3ヵ月ぶりにマイナス<前月は0.5%

輸入物価は前年比では4.8%低下し、市場予想の4.6%より下げ幅を広げた。前月の5.0%の低下ほど悪化せず。予想よりゆるやかなペースながら2014年8月に突入した低下トレンドから改善歩調をたどる。

▽MBA住宅ローン申請件数指数、低金利の恩恵から続伸。

全米抵当貸付銀行協会(MBA)住宅ローン申請件数指数は、7月8日週に前週比7.2%上昇し622.4だった。前週の14.2%の上昇と合わせ、過去5週間で3回目の上昇を示す。借換が11.2%も急伸し2869.8と、前週に続いて全体を押し上げた。新規は±0%の234.7と、横ばいに転じた。英国民投票後に世界同時株安の様相を呈したが、米10年債利回りが過去最低へ向かうなか、金利低下に反応した格好だ。MBA住宅ローン申請件数指数の前年比(季節調整前)は33.8%上昇し、前週の66.2%から鈍化。新規が4.5%の低下(前週は22.6%の上昇)とマイナスに転じたほか、借換も64.9%の上昇(前週は113.5%の上昇)となった。

30年固定金利型の住宅ローン金利(平均)は前週の3.66%から3.60%へ低下した。1年前の4.23%以下にとどまり、過去3年間で最低近くを保つ。15年固定金利型(平均)は前週の2.96%から2.88%へ低下。FHAのローン金利も、前週の3.56%から3.53%へ低下した。

MBA住宅ローン申請件数指数、低金利を支えとし連休明けに大幅反発。

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(作成:My Big Apple NY)

申請全体に占める借換の割合(件数ベース)は64.0%と、前週の61.6%から上昇した。2009年6月以来の低水準である2015年7月3日週の48.0%から切り返した水準を維持。ただし2013年5月以来の高水準となった2015年1月16日週の73.9%からは、大きく遠ざかったままだ。

▽米6月財政黒字は予想以下、歳入が増加も歳出が減少

米6月財政収支は62.5億ドルの黒字と、市場予想の190億ドルの黒字を下回った。前年同月の505億ドルの黒字からは、87.6%減少している。歳入が3.9%減の2392.57億ドルだったところ、歳出が10.6%増の3233.20億ドルとなり黒字幅拡大につながった。

年度初来(2015年10月~2016年6月)までの財政赤字は前年同期比26.7%増4000.85億ドルと、4ヵ月連続で増加を示す。CBOの予想では、2016年度(2015年10月~2016年9月)の財政赤字は5440億ドル。2015年度の財政赤字は9%減の4390億ドルと2007年以来で最低だったが、7年ぶりに増加する見通しだ。2015年12月に企業向け優遇税制法案が通過したほか、2015年11月に合意した2017年度までの予算案で強制削減を上回る支出を承認し、裁量支出も2016年度に500億ドル、2017年度に300億ドル増額することを盛り込んだため、赤字拡大が見込まれている。

――米6月輸入物価からは、インフレ圧力は認識できません。BREXITを受けてイングランド銀行、欧州中央銀行(ECB)、さらにバーナンキ前FRB議長の訪日で俄然信憑性が出てきた日銀まで追加緩和に踏み切れば、一段とディスインフレ圧力が高まりFedに追加利上げの口実を与えづらくなりそうです。

MBA住宅ローン申請件数指数は、米10年債利回りが過去最低を更新するなかでも新規の住宅ローン需要を喚起できていません。景気鈍化を後目に米株は史上最高値をつける一方、価格の上昇が意識されているのでしょう。またBREXITに係る不透明感を伴い、米6月雇用統計の結果にも関わらず労働市場への慎重な見方もくすぶっているもよう。住宅市場は上半期の勢いを維持できるのか、微妙な雲行きになってきました。

米6月財政収支は、裁量歳出の増額もあって事前予想通り7年ぶりに赤字が拡大する見通しです。赤字が増加するものの米成長率を支えるエンジンでもあり、2016~17年度は特に民主党と共和党の米大統領候補ともにインフラ投資での成長支援策を公約に掲げるなかでは、今年度だけでなく来年度も赤字縮小にブレーキが掛かる見通しです。

(カバー写真:Mike Mozart/Flickr)

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