10216333034_48188c3734_z

米6月中古住宅成約件数指数は予想以下、住宅保有率は約50年ぶり低水準

by • July 29, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1552

Pending Home Sales Rise Less Than Expected.

米6月中古住宅販売成約件数指数、MBA住宅ローン申請件数指数をおさらいしていきます。

米6月中古住宅販売成約件数指数は前月比0.2%上昇の111.0となり、市場予想の1.2%に届かなかった。4ヵ月ぶりに低下した前月のマイナス3.7%からは、反発している。季節調整前の前年比では0.3%上昇し、市場予想の3.0%に及ばず。前月の2.4%以下となったが、22ヵ月連続でプラスを示す。

4大地域別では、3 地域で上昇し前月の2地域から増えた。今回は中西部が前月から反発し1.6%上昇、北東部も前月の横ばいから1.7%の上昇に転じている。石油生産地が集まる南部は1.8%上昇し、3ヵ月連続でプラス。IT産業を多く抱える西部のみ1.8%低下し、2ヵ月連続でマイナスだった。

発表元である全米リアルター協会(NAR)のローレンス・ユン主席エコノミストは、結果を受け「北東部のみ在庫が適正水準にある程度で、在庫ひっ迫が住宅価格の上昇を生むというジレンマを招いている」と説明した。過去最低付近にある金利を活用しようにも、6月は「住宅在庫は前年比で6%減少した」と指摘。在庫の問題が解消しない限り、「買い手にとって手が届かない状況が続き手頃な住宅をめぐる競争が増すだろう」と見込む。

なお中古住宅販売成約件数指数は、中古の一戸建ておよびコンドミニアムにおける契約が仮契約から最終契約にいたった件数を指数化したもので、中古住宅販売件数は引き渡しの件数を示す。従って、成約件数の約80%が1-2カ月後に中古住宅販売件数として組み込まれる。

▽MBA住宅ローン申請件数指数、金利上昇に反応して2週連続で低下

全米抵当貸付銀行協会(MBA)住宅ローン申請件数指数は、7月22日週に前週比11.2%低下し545.8だった。2週連続で低下し、過去5週間で3回目のマイナスとなる。借換が15.1%低下し2415.5と、2週連続でマイナスに。新規も3.3%低下の222.2と、2週連続で下振れしている。経済指標の改善を受けて米金利が上昇するなか、需要が後退した。MBA住宅ローン申請件数指数の前年比(季節調整前)は42.3%上昇し、前週の60.8%から鈍化した。新規も12.1%の上昇(前週は15.7%の上昇)、借換も71.8%の上昇(前週は105.4%の上昇)と、それぞれ下向いた。

30年固定金利型の住宅ローン金利(平均)は前週の3.65%から3.69%へ上昇した。1年前の4.23%以下にはとどまり、過去3年間で最低近くを保つ。15年固定金利型(平均)は前週の2.90%から2.94%へ上昇。FHAのローン金利も、前週の3.53%でから3.56%へ上昇した。

MBA住宅ローン申請件数指数、金利上昇に反応し下振れ。

mba
(作成:My Big Apple NY)

申請全体に占める借換の割合(件数ベース)は61.1%と、2月以来の高水準だった前週の64.2%を下回った。2009年6月以来の低水準である2015年7月3日週の48.0%から切り返した水準を維持。ただし2013年5月以来の高水準となった2015年1月16日週の73.9%からは、大きく遠ざかったままだ。

▽米4~6月期住宅保有率、1965年以来で最低

米4~6月期住宅保有率は62.9%と、前期の63.5%から大きく低下した。1965年以来で最低を記録。地域別では、北東部が59.2%と最も低く、次いで西部が57.9%となる。中西部は67.7%、南部は64.8%だった。

年齢別では、以下の通り。35歳以下のミレニアル層が1994年の統計開始以来の最低を示し全体を押し下げている。また65歳以上の低下も著しい。

homeownership1
(作成:My Big Apple NY)

35歳以下 34.1%、過去最低<前期は34.2%
36~44歳 58.3%、過去最低は2005Q2の58.0%<前期は58.9%
45~54歳 69.1%、過去最低<前期は69.2%
65歳以上 77.9%、1995年Q1以来で最低<前期は78.8%

人種別では、以下の通り。白人やアジア系を含むその他で過去最低を更新した。

白人 71.5%、過去最低<前期は72.1%
黒人 41.7%>前期は41.5%、過去最低
その他 51.2%、過去最低<前期は53.0%
(そのうちアジア系などは53.7%<前期は55.7%)
ヒスパニック 45.1%、2015年Q1以来の低水準<前期は45.3%

住宅空室率は1.7%と、前期と変わらず。1985年10~12月期以来の最低を保つ。住宅価格(希望ベース)は16万4500ドルで、2009年1~3月期以来の高水準を示す。

賃貸住宅の空室率は6.7%となり、2004年7~9月期以来で最低を更新した。家賃(提示ベース)中央値は847ドル(約8万8000円)となり、過去最高だった前期の870ドルから下落した。

--米6月中古住宅販売件数は約9年ぶり高水準でしたが、米6月中古住宅販売成約件数指数は数ヵ月先の鈍化を示唆しました。MBA住宅ローン申請件数指数も低下しており、金利上昇という逆風に直面すれば販売件数は伸び悩む見通しです。住宅保有率は4~6月期に過去最低でしたが、改善の余地も限られてくるでしょう。

(カバー写真:Steven Martin/Flickr)

Comments

comments

Pin It

Related Posts

Comments are closed.