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米6月雇用動態調査、求人と新規採用が増加

by • August 13, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1563

Job Openings And Hires Rise, Separations Fall In June.

米労働省が発表した米6月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は562.4万人と、市場予想の567.5万人を下回った。年初来で最低だった前月の551.4万人を超えた一方、2000年の統計開始以来で最高を記録した5月の584.5万人(578.8万人から上方修正)には届いていない。なお米6月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は、改定値で従来の29.2万人増となり、2015年10月以来の高水準を達成していた。2015年の平均22.9万人増を軽く抜け、米7月雇用統計・NFPも予想外に20万人超えを果たす。

新規採用人数は前月比1.7%増の513.1万人と、4ヵ月ぶりに増加した。2006年11月以来の高水準を遂げた2月の551.0万人から鈍化しつつ、リセッションが開始した2007年12月時点の500万人という大台は21ヵ月連続で超えた。

離職者数は前月比1.4%減の490.9万人と4ヵ月連続で減少、2015年5月以来で最低を示した。定年や自己都合による退職者は1.1%減の290.9万人と4月の水準に並びつつ、統計開始以来で最高だった2015年12月の308.8万人から遠ざかっている。解雇者数は2.4%減の164.3万人と、4ヵ月連続で減少し2014年9月以来の低水準だった。

求人数は過去最高も、新規採用者数や離職者数は鈍化。

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(作成:My Big Apple NY)

求人率は3.8%と、年初来で最低に終わった前月の3.7%から改善した。統計開始以来で最高の3.9%まであと一歩に迫る。民間が前月の3.9%から4.0%へ上昇しつつ、統計開始以来の最高の5月(4.2%)には及んでいない。民間のうちサービスは上昇が優勢、貿易・輸送・公益のほか、専門・サービス、教育・健康が前月値を上回った。ただし金融が横ばいだったほか、娯楽・宿泊は低下した。財生産業は軒並み改善し、製造業をはじめ建設、鉱業・伐採などそろって前月値を上回った。政府は前月と変わらずとなる。

就業者に対する新規採用率は3.6%と、2014年7月以来の低いレベルにとどまった前月の3.5%から上昇した。2007年10月以来の高水準に並んだ2月の3.8%向かい始めたようだ。サービスではベライゾンのストライキ明けの情報が前月の2.5%から2.7%へ改善したほか、輸送・倉庫・公益、金融が上昇した。財生産業はまちまち。製造業が上昇したものの、鉱業・伐採は横ばいだった。建設は0.5%ポイントもの大幅低下を示す。政府は前月と同じく、1.6%だった。

自発的および引退、解雇などを含めた離職率は3.4%と、前月の3.5%を下回り2015年10月以来の水準へ低下した。民間が前月の3.8%から3.7%へ下押しし、政府は前月と同じく1.2%となる。自発的離職率は3ヵ月連続で2.0%となり、2~3月に達成した2007年5月以来の高水準となる2.1%を下回った。解雇率は前月まで3ヵ月連続で1.2%を経て、1.1%へ低下。2000年12月に統計が開始してからの最低となる1.1%に並んだ。

解雇者数の減少は心強いながら、離職者数も弱い。

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(作成:My Big Apple NY)

――以上の結果を踏まえ、イエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。今回、達成項目は4~5月の9項目中3項目から、雇用統計・非農業部門就労者数が増え4項目でした。 6項目を達成した2月、5項目だった3月には届いていません。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字です。

1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 3.8%

2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.1%

3)自発的離職率 ×
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.0%

4)採用率—×
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.6%

5)非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 19.0万人増

6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 4.9%

7)不完全失業率—×
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 9.7%

8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 25.8%

9)労働参加率—×
2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.8%

――米6月雇用動態調査は雇用統計と歩調を合わせ、求人数と新規採用数が増加しましたさらに離職者数はリストラを中心に減少。労働市場が健全である様子を確認しました。サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は、雇用指標全般の上向きを評価し「年内に利上げすべき」との考えを表明するほど。ただし「9月」の明言を避け、次回FOMCでの利上げに含みを残します。26日に予定するイエレンFRB議長のャクソン・ホール講演で、明確に利上げを示唆するかは、依然として未知数と言えるでしょう。

(カバー写真:Justin Lynham/Flickr)

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