Core Inflation Slows, While Industrial Production Rises Most In 2014.
米7月消費者物価指数と、米7月鉱工業生産をおさらいしていきます。
米7月消費者物価指数(CPI)は前月比±0%となり、市場予想に並んだ。前月の0.2%以下となり、2013年2月以来の強い伸びを達成した4月の0.4%で腰折れムードが漂う。原油先物が6月に一時50ドル台を回復したものの下落に転じたため、エネルギーが1.6%低下し前月の1.3%の上昇から反転。ガソリン価格は前月の3.3%の上昇から、4.7%の低下へ転じた。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン平均価格は2月に一時1.724ドルへ下落し2009年3月以来の2ドル割れを示した後、6月に一時2.399ドルまで上昇。ただし、7月には2.149ドルまで下落し前月比での伸びを抑えた模様だ。食品・飲料は±0%となり、過去2ヵ月間の0.1%の低下にブレーキを掛けた。
CPIコアは前月比0.1%上昇したものの、市場予想及び前月の0.2%に及ばず。2011年8月以来の高水準に並んだ2月の0.3%で、ピークアウトしたようだ。項目別動向は、以下の通り。
・帰属家賃 0.3%の上昇=前月は0.3%の上昇、3ヵ月平均は0.3%の上昇
・家賃 0.3%の上昇<前月は0.4%の上昇、3ヵ月平均は0.4%の上昇
・サービス 0.2%の上昇<前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇
・医療費 0.5%の上昇>前月は0.2%の上昇、6ヵ月平均は0.4%の上昇。
・服飾 ±0%<前月は0.4%の低下、6ヵ月平均は0.2%の上昇
・娯楽 0.1%の上昇>前月は0.6%の上昇、3ヵ月平均は0.3%の上昇
・教育 0.3%の低下<前月は0.1%の低下、3ヵ月平均は0.4%の低下
・中古車 0.1%の低下>前月は1.3%の低下、6ヵ月平均は0.5%の低下
・新車 0.2%の上昇>前月は0.2%の低下、6ヵ月平均は±0%
・航空運賃 4.9%の低下<前月は1.6%の上昇、3ヵ月平均は4.9%の低下
CPIの前年比では0.8%上昇し市場予想の0.9%に至らず、年初来で最低にとどまった。4~6月の1.0%上昇から減速した。2014年10月以来で最高を示した1月の1.4%で頭打ち感が出てきている。CPIコアの前年比は6月こそ2.3%上昇し2012年5月以来の高水準だった2月に並んだが、2.2%の上昇に終わった。
コアCPI、Fedが注目するコアPCEとともに前年比で伸び悩み。
(作成:My Big Apple NY)
大和キャピタル・マーケッツのマイケル・モラン米主席エコノミストは、結果に対し「燃料価格の下落を背景に航空運賃が値下がりしたほか、ホテルなど宿泊も2.4%と低下が著しい」と振り返る。帰属家賃も前月とほぼ変わらずとはいえ四捨五入前では鈍化の兆しをみせ「全体的に弱い」とまとめた。
▽米7月鉱工業生産はプラス反転、稼働率も75%台を回復
米7月鉱工業生産指数は前月比0.7%上昇し、市場予想の0.3%を大きく上回った。前月の0.4%の上昇(0.6%から下方修正)を超え、2014年11月以来の高水準。稼働率は75.9%と、市場予想の75.6%より加速している。前月の75.4%も超え、2015年10月以来の力強さを示す。ただ、リセッション前の80%は依然として遠い。
内訳をみると、製造業(全体の75.47%)が2ヵ月連続で上昇した。米7月新車販売台数が市場予想以下とはいえ好調だったように、自動車の寄与が大きい。自動車を除いた製造業は0.4%の上昇にとどまる。自動車以外では機械とコンピューター・電子機器が共に上昇した。公益(全体の10.76%)は2ヵ月連続で上昇し、平年を上回る気温が奏功したもよう。鉱業(全体の10.76%)は、原油先物が50ドル台から下落したものの、反発した。
・製造業 0.5%の上昇>前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は±0%
あ自動車 1.9%の上昇<前月は5.3%の低下、6ヵ月平均は0.6%の上昇
あ機械 0.7%の上昇<前月は2.0%の上昇、6ヵ月平均は0.7%の上昇
あコンピューター/電気製品 0.4%の上昇>前月は0.3%の低下、6ヵ月平均は0.2%の上昇
・公益 2.1%の上昇=前月は2.1%の上昇、6ヵ月平均は0.8%の上昇
あ電力 2.5%の上昇>前月は3.3%の上昇、6ヵ月平均は0.9%の上昇
あ天然ガス 1.5%の低下>前月は9.5%の低下、6ヵ月平均は0.2%の上昇
・鉱業 0.7%の上昇<前月は0.3%の低下、6ヵ月平均は0.6%の低下
鉱工業生産、前年比は11ヵ月連続で低下も下げ幅は縮小。
バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、結果に対し「全般的に製造業関連が上向いたほか、公益をみると家計が電力消費を増やしたことが分かった」と指摘。米7〜9月期GDP予想を従来の2.0%増から2.1%増へ上方修正した。
――米7月鉱工業生産は企業の設備投資が上向く可能性を示し、下半期になってようやく成長率が2%に届く期待が募ります。成長の回復に伴い年内利上げが視野に入るなか、FF先物でみた9月利上げ織り込み度は18%と前日の9%から上昇。米7月鉱工業生産もさることながら、NY連銀のダドリー総裁が「利上げは可能で、早ければ9月」と発言したことが影響したとみられます。振り返れば5月にも、ハト派寄りと目される同総裁の見解が利上げ観測を強めました。結局、米5月雇用統計が散々だったため6月利上げは先送りされましたが、9月はどうなるのか。ジャクソン・ホール会合での講演を控えるイエレンFRB議長にバトンを渡すためのコメントであれば、筆者を含め市場関係者がFedの利上げ姿勢を過小評価しているリスクが残ります。
(カバー写真:Susan Sermoneta/Flickr)
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