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米7月中古住宅販売件数、予想外に減少し中央価格も下落

by • August 26, 2016 • Latest NewsComments Off1747

Existing Home Sales And Median Price Fall In July.

米7月中古住宅販売件数、米6月住宅価格指数、MBA住宅ローン申請件数指数をおさらいしていきます。

全米リアルター協会(NAR)が発表した米7月中古住宅販売件数は年率539万件と、市場予想の551万件を下回った。2007年2月以来の高水準を遂げた前月の557万件を3.2%下回り、5ヵ月ぶりに減少。前年比では1.6%減となり、前月の3.0%増を下回り7ヵ月ぶりにマイナスに落ち込んだ。

内訳をみると一戸建てが前月比2.0%減の482万件、複合住宅に至っては13.2%減の57.0万件とそろって5ヵ月ぶりに減少した。一戸建ては2007年2月以来の500万件乗せに迫った水準から下押しし、複合住宅は2015年5月以来の最高から減速している。

4大地域別では、1地域のみ増加し前月の2地域を下回った。IT産業が集まる西部は2.5%増の123万件と3ヵ月連続で増加した。一方で、中西部が5.2%減の128万件と前月の増加を打ち消している。石油生産地が集まる南部は1.8%減の222万件で前月の横ばいから反転。北東部は13.2%減の66万件と2ヵ月連続で減少した。

在庫件数は前月比1.0%増の213万件と増加トレンドへ戻し、直近の最高である6月の214万件に再び近づいた。販売件数が増加し在庫件数が減少したため、在庫相当は4.7ヵ月と、2015年12月以来の水準へ切り返した。中央価格は前年比で1.4%下落の24.41万ドル。過去最高を記録した前月の24.76万ドルを下回り、5ヵ月ぶりに下落した。売り出し平均期間は36日と前月の34日から延び、3ヵ月ぶりの水準だった。

買い手の内訳は、以下の通り。
・差し押さえ物件 4%=前月は4%、前年同月は7%
・ショートセール(担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅) 1%と直近最低に戻す<前月2%、前年同月は2%
・差し押さえとショートセールを合わせた不良債権物件 5%と直近で最低<前月は6%、前年同月は7%
・新規購入者 32%と直近で最低<前月は33%、前年同月は28%
・現金での購入者 21%と直近で最低<前月は22%、前年同月は23%
・住居用ではなく投資向け 11%と直近で最低=前月は11%、前年同月は13%

中古住宅販売件数、一戸建てと複合そろって好調。

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(作成:My Big Apple NY)

発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、今回の結果を受け「深刻な在庫不足や割高感」により5ヵ月ぶり減少したと分析した。特に「コンドミニアムの建築件数が弱い」と指摘。低金利環境ながら、値ごろ感に乏しく新規の買い手が参入しにくい実体を指摘した。

▽米6月住宅価格指数は予想以下、上昇の勢い薄れる

米住宅金融公社(FHFA)が発表した米6月宅価格指数は前月比0.2%上昇し、市場予想の0.3%に届かなかった。前月に並ぶ水準にとどまったとはいえ、18 ヵ月連続でプラスを示す。前年比は5.6%上昇と前月と等しく、1〜3月の6%台から鈍化を継続した。国勢調査ベースの9地域別では4地域で上昇し、前月の5地域を下回った。

FHFAが公表する住宅価格指数は、米連邦住宅貸付機関監督局(OFHEO)傘下のFHFAの場合はプライム層向けの住宅価格がメインで、融資額が政府保証機関(GSE)の買取基準額を超えるジャンボ・ローンや、低所得者層向けのサブプライムを含んでいない。従ってS&Pケース/シラー住宅価格指数とは対象が異なり、数字自体は現状より強めの数字が出ると言われている。こうした背景からFHFAは2011年6月分から、フレディマックやファニーメイなどGSE以外のローンを含んだ住宅価格指数を拡大版として、公表を開始した。

▽MBA住宅ローン申請件数指数、金利上昇に反応し借換えが弱い

全米抵当貸付銀行協会(MBA)住宅ローン申請件数指数は、8月19日週に前週比2.1%低下し530.1だった。前週の4.0%の低下を含め、2週連続でマイナス。借換が3.2%低下し2355.2と、2週連続で下押しした。新規も0.3%低下の213.1と、マイナスを続けている。NY連銀のダドリー総裁など9月利上げ示唆が相次ぎ米金利が上昇、需要に響いたとみられる。MBA住宅ローン申請件数指数の前年比(季節調整前)は28.1%上昇し、前週の30.9%から伸びを狭めた。新規が7.7%の上昇(前週は9.9%の上昇)、借換も44.5%の上昇(前週は47.8%の上昇)と、それぞれ鈍化している

30年固定金利型の住宅ローン金利(平均)は前週の3.64%から3.67%へ上昇した。1年前の4.08%以下にとどまり、過去3年間で最低近くを保つ。15年固定金利型(平均)は前週の2.90%から2.95%へ上昇した。FHAのローン金利も、前週の3.49%から3.53%へ上向いた。

MBA住宅ローン申請件数指数、金利上昇を受けて素直に下振れ。

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(作成:My Big Apple NY)

申請全体に占める借換の割合(件数ベース)は62.4%と、前週の62.6%から低下した。2009年6月以来の低水準である2015年7月3日週の48.0%から切り返した水準を維持。ただし2013年5月以来の高水準となった2015年1月16日週の73.9%からは、大きく遠ざかったままだ。

——米7月中古住宅販売件数は、米金利の低下より在庫不足が仇となり落ち込みました。MBA住宅ローン申請件数指数を踏まえると、8月は9月利上げ警戒に端を発した金利上昇もあって逆風が吹き付けかねません。一方で、米6月住宅価格指数が伸び悩んでいます。米7月新築住宅販売件数が2007年以来の高水準であり、住宅需要が低下したわけではないでしょうが新築住宅価格も上昇スピードがゆるんでおり、住宅市場に変化が訪れている可能性もぬぐえません。

(カバー写真:Jason Pratt/Flickr)

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