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米8月チャレンジャー人員削減予定数、年初来2番目の低水準

by • September 1, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1922

Job Cuts Decrease To Second Lowest In The Year.

米8月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比29%減の3万2188人だった。4ヵ月連続で減少し、3ヵ月ぶりの低水準を示す。前月比では29.2%減となり、3ヵ月ぶりに減少。1~8月までの削減予定数は、前年同期比10%減の39万1288人となる。産業別では、これまでリストラを押し上げてきたエネルギー産業が落ち着きをみせた。全体のうち6%と、前月の39%を下回り年初来で最低だった6月の5.1%に近づいた。

人員削減予定数、前月比では3ヵ月ぶりに減少し5月以来の低水準。

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(作成:My Big Apple NY)

4大地域別では、7月に続き前月比ベースにて1地域のみで増加した。北東部のみ3倍の8743人となる。一方でIT企業が集まる西部が56.3%減の1万4100件と減少に転じた。シスコ・システムズが決算発表に合わせ5500人のリストラを発表したものの、他社はそれほどでもなかったようだ。石油生産州が集まる南部は16%減の4853人、中西部も0.7%減の4492人だった。

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「年初からテクノロジー部門でヒューレット・パッカードやインテル、デル、マイクロソフト、シスコ・システムズなど主要企業から大規模な人員削減が行われてきた」と指摘した。ハードウェアからサービスへ移行する段階にあるためで、「同セクターの業績悪化を示すものではない」と説明する。

年初来の州別では、原油安を背景に石油生産地を抱えるテキサス州が1〜7月に続きトップに立った。2位も5~7月と変わらず、カリフォルニア州が入っている。1〜2月や4~7月と同じく、シェール関連産業が並ぶアーカンソー州も上位に。ノースカロライナ州は6〜7月に続き4位、イリノイ州も前月に続き5位だった。

1位 テキサス州 9万3363人、前月は9万1412人で1位
2位 カリフォルニア州 6万2208人、前月は5万1422人で2位
3位 アーカンソー州 1万8944人、前月も1万8944人で3位
4位 ノースカロライナ州 1万8393人、前月は1万7051人で4位
5位 イリノイ州 1万7137人、前月は1万5290人で5位

年初来で人員削減が多かったセクターのランキングは以下の通りで、%は前年同期比を示す。ランキングは全て前月と変わらない。

1位 エネルギー 9万7366人(全体の25%)
2位 コンピューター 5万5567人(全体の14%)
3位 小売 4万4643人(全体の11%)
4位 産業財 2万5940人(全体の7%)
5位 金融 1万7707人(全体の5%)

7月の人員削減数ワースト5は、こちら。1位は7月に2位だったコンピューターが入った。2位は7月に3位だった産業財、3位は圏外から娯楽、4位は圏外からヘルスケア、5位に漸く4~7月にトップだったエネルギーが並ぶ。

1位 コンピューター 6103人(全体の19%)
2位 産業財 3073人(全体の10%)
3位 娯楽 3037人(全体の9%)
4位 ヘルスケア 1992人 (全体の6%)
5位 エネルギー 1872人(全体の6%)

リストラ実施の理由、今回の単月ランキングは以下の通り。

1位 再編 1万4235人(全体の44%、前月も1位)
2位 閉鎖 7911人(全体の25%、前月は4位)
3位 コスト削減 3276人(全体の10%、前月も3位)
4位 原油安 1945人(全体の6%、前月は2位)
5位 契約終了 1653人(全体の5%、前月は圏外)

セクター別の採用動向は、以下の通り。全体では9101人と、前月の1万6051人を大幅に下回り2月の7539人に続き年初来で2番目の低水準だった。2015年9月以来で最高を示した4月の2万4732人から減少が続く。

1位 自動車 1192人 前月は2位
2位 服飾 1000人 前月は圏外
3位 保険 865人 前月は圏外
4位 金融 861人 前月は5位
5位 小売 850人 前月は1位

――米8月チャレンジャー人員削減予定数は前年比で4ヵ月連続で減少した結果、米8月ADP全国雇用者数と合わせ米8月雇用統計に期待が掛かります。気掛かりな点は、財部門(製造業、鉱業、建設)。各連銀の製造業景況指数で嫌な前兆が現れた通り、米8月ISM製造業景況指数は分岐点を割り込み、特に雇用が前月の49.4から48.3と下げ幅を拡大しています。サービス業が堅調な流れを引き継いでいるとはいえ、原油先物が下落に振れていないなかでこの状態では、リストラの波がエネルギー部門を超えて産業財へ波及するリスクは否定できません。振り返れば、米7月チャレンジャー人員削減予定数もエネルギーが大幅増を経て、産業財が1ヵ月遅れてリストラ増加を確認していました。

(カバー写真:COD Newsroom/Flickr)

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