ISM Service Index Hits Lowest Level Since January 2010.
米ISM非製造業景況指数やマークイットが発表した8月の景況感指数、米8月労働市場情勢指数(LMCI)をおさらいしていきます。
米8月ISM非製造業景況指数は51.4となり、市場予想の54.9を下回った。前月の55.5にも届かず2010年2月以来の低水準。米4~6月期国内総生産(GDP)改定値などが示すように上半期の成長率が1%増米成長が伸び悩むなか、ISM製造業景況指数が6ヵ月ぶりに分岐点割れを迎えるに合わせ、サービス活動センチメントも楽観度がさらに弱まった。8月は米7月雇用統計や米7月小売売上高など好調な指標が目立った半面、ダドリーNY連銀総裁などFed高官が9月利上げを示唆し始め、ジャクソン・ホール会合後のフィッシャーFRB副議長の発言まで取沙汰され金利が上昇。センチメントを押し下げる材料となったようだ。
内訳をみると、新規受注や輸出新規受注の落ち込みが目立つ。そのほかビジネス活動や雇用も前月以下となった。詳細は、以下の通り。
・ビジネス活動 51.8<前月は59.3、6ヵ月平均は57.8
・新規受注 51.4、2013年12月以来の低水準<前月は60.3と2015年8月以来の高水準、6ヵ月平均は57.4
・雇用 50.7<前月は51.4、6ヵ月平均は51.3
・新規輸出受注 46.5、2010年8月以来の低水準<前月は55.5、6ヵ月平均は53.2
・在庫変化 48.0、直近で初の分岐点割れ<前月は54.0、6ヵ月平均は53.0
・仕入れ価格 51.8<前月は51.9、6ヵ月平均は52.9
▽米8月マークイット製造業PMI速報値、6ヵ月ぶりの分岐点割れに接近
米8月マークイット・サービス業PMI確報値は51.0となり、市場予想に並んだ。速報値の50.9から上方修正されたとはいえ、前月の51.4から低下し6ヵ月ぶりの分岐点割れが迫る。2月の分岐点割れは、債務上限引き上げ及び暫定予算交渉の行き詰まりで政府機関が閉鎖された2013年以来だった。
ISM非製造業景況指数、マークイットともに分岐点割れに接近。
クリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受けて「7~9月期国内総生産(GDP)は1%増程度が見込まれる」と慎重なコメントを寄せた。米大統領という不透明性を抱えるほか、「米8月雇用統計・非農業部門就労者数の伸びは鈍化しインフレ指標も抑制的であるため、Fedは9月利上げを見送るだろう」と結ぶ。
▽米8月LMCI、年初来のマイナス基調へ回帰
米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した米6月労働市場情勢指数(LMCI)は0.7ポイント低下し、市場予想の±0より弱い結果となった。前月の1.3(1.0から上方修正)を下回っただけでなく、7月を除き年初来からのマイナスを続けた格好だ。サブプライム危機が火を噴く直前に低下トレンドへ突入した2007年5月から2009年6月までのサイクル以来、最長のマイナスから脱した格好だ。米8月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の鈍化に合わせ、LMCIは再び弱含んでいる。
景気後退に陥った2007年12月から2009年6月まで417.9ポイント低下した後、回復サイクルに入ってから353.5ポイント取り戻した。景気が改善していく過程での平均上昇幅は約4ポイントであることを踏まえれば、12ヵ月以内に低下幅を相殺する見通しだ。ただし、足元で低下が続くだけに景気後退に陥った後の穴埋めに時間が掛かる可能性がくすぶる。
LMCI、7月を除く年初来からのマイナス基調へ回帰。
(作成:My Big Apple NY)
――米8月雇用統計ではNFPの他に平均時給が前月以下にとどまるなど全体的に軟調だった結果に合わせ、米8月LMCIはマイナス圏へ振れました。米新規失業保険申請件数こそ労働市場の好調ぶりを示す割に、労働市場は質的な改善を伴わない状況。さらに、韓進海運の破綻に伴い輸入品の荷揚げに支障をきたすなか、ホリデー商戦の在庫積み上げに影響し小売店の雇用の足を引っ張らないか懸念されます。米9月雇用統計・NFPは過去5年間で22.5万人増でしたが、今年は例年を下回る可能性に留意したいところです。
(カバー写真:Joshua Grubman/Flickr)
Comments
米7月貿易収支、食品の輸出が急増し大幅に赤字縮小 Next Post:
GS、9月利上げの確率を引き下げ