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米9月ISM製造業景況指数、分岐点乗せも回復の鈍さ示す

by • October 4, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2110

ISM Manufacturing Index Modestly Improves In September.

米9月ISM製造業景況指数、米9月マークイット製造業PMI確報値、米8月建設支出をおさらいしていきます。

米9月ISM製造業景況指数は51.5 となり、市場予想の50.4 を上回った。6ヵ月ぶりに分岐点割れした前月の49.4を上回っている。内訳をみると新規受注をはじめ生産が分岐点を回復したほか、雇用や在庫など分岐点割れしていた項目も下げ幅を縮小した。詳細は、以下の通り。

・新規受注 55.1>前月は49.1と年初来で初の分岐点割れ、6ヵ月平均は54.9
・生産 52.8>前月は49.6と年初来で初の分岐点割れ、6ヵ月平均は53.2
・雇用 49.7、3ヵ月連続で分岐点割れ>前月は48.3、6ヵ月平均は49.4

・在庫 49.5、15ヵ月連続で分岐点割れ>前月は49.0、6ヵ月平均は47.8
・新規輸出受注 52.0<前月は52.5、6ヵ月平均は52.6
・受注残 49.5、3ヵ月連続で分岐点割れ>前月は45.5、6ヵ月平均は48.8

・仕入れ価格 53.0、2月以来の低水準を維持=前月は53.0、6ヵ月平均は57.3
・入荷時間 50.3、5ヵ月ぶりの分岐点割れ接近<前月は50.9、6ヵ月平均は51.9

ISMの雇用に合わせ、米雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の製造業も減少か。

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(作成:My Big Apple NY)

ISMのブラッドリー・ホルコム会長は、結果に対し「18業種のうち7業種が拡大を示した」と指摘した。前月の6業種から増えたが、7月の11業種には及ばない。基本的に楽観姿勢で知られる同氏だが、今回は「製造業のモメンタムはさほど力強くはない」とも指摘し、製造業活動のさらなる改善に疑問を呈した格好だ。

▽米9月マークイット製造業PMI確報値、

米9月マークイット製造業PMI確報値は市場予想並びに速報値の51.4を上回り、51.5だった。しかし、3ヵ月ぶりの低水準で変わらず。金融危機以前の平均値54.1への回復が、また遠のいた。

クリス・ウィリアムソン主席ビジネス・エコノミストは、結果を受け「製造業活動の成長は鈍化し、米大統領選を控え不透明性が広がり経済がソフトパッチにあることを確認した」と振り返る。企業は新規受注が弱まるなか、「生産拡大よりコスト削減に励んでいる」とも指摘。米成長は「低金利の追い風を受けた個人消費頼みと労働市場」であるものの、企業は引き続き「ドル高と経済見通しの不透明性により向かい風に直面している」と結んだ。

マークイット製造業PMI・速報値は小幅鈍化、ISMのような分岐点割れは回避。

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(作成:My Big Apple NY)

――各連銀が発表する製造業景況指数がまちまちだったように、米9月ISM製造業景況指数は分岐点を回復したとはいえ鈍い伸びにとどまります。特に雇用は3ヵ月連続で分岐点割れにとどまり、米9月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の伸びを小幅ながら押し下げかねません。

▽米8月建設支出、公共が弱く前月比横ばい

米8月建設支出は前月比0.7%減の年率1兆1530億ドルとなり、市場予想の0.3%増に反する結果となった。前月の0.3%減(±0%から下方修正)を含め、2ヵ月連続で減少。過去2ヵ月分の増加を完全に打ち消した。内訳をみると住宅が0.2%減と3ヵ月ぶりに増加したほか、非住宅も1.1%減と2ヵ月連続で減少した。建設支出の前年比は0.3%減と、前月の1.5%減(速報値)に続きマイナスだった。

民間は0.3%減と、前月の0.8%増から転じ4ヵ月ぶりに減少した。住宅が0.3%減と3ヵ月ぶりに減少したほか、非住宅も0.4%減と4ヵ月ぶりに減少に転じている。非住宅の内訳をみると11項目中、5項目で増加。7月の7項目(速報値ベース)以下となる。前月比の詳細は、以下の通り。

・オフィス 2.3%増
・娯楽 2.1%増
・宿泊 1.5%増
・教育 1.1%増
・健康 0.6%増
・輸送 0.1%減

・通信 0.5%減
・製造業 1.4%減
・電力 1.5%減
・商業 2.0%減
・宗教 3.2%減

公共は2.0%減と、前月の3.5%減を含め2ヵ月連続で減少した。過去5ヵ月間で5回目の減少を示す。住宅が3.9%増と3ヵ月ぶりに増加したものの、非住宅が2.1%減と2ヵ月連続で減少し住宅の増加を相殺している。非住宅のうち12項目中、5項目が増加。前月の3項目(速報値ベース)を上回った。詳細は、以下の通り。

・商業 10.5%増
・保存開発 6.9%
・健康 3.6%増
・水道供給 1.7%増
・汚水/廃棄処理 1.0%増

・オフィス 0.1%減
・教育 0.4%減
・娯楽 1.7%減
・高速道路/道路 2.9%減
・公共衛星 2.9%減
・公共安全 4.3%減
・電力 17.2%減。

――米8月建設支出は民間と公共そろって非住宅が弱かった上に、公共の過去分が下方修正されました。米7~9月期国内総生産(GDP)での構造物投資や政府支出の成長押し上げ力が後退する可能性を示唆しています。米4~6月期GDP確報値から回復が期待されていたものの、それほど力強い改善が見込まれそうにありません。アトランタ連銀は米7~9月期GDP予測値を従来の2.4%増から2.2%増へ引き下げましたが、予測開始当初に3.8%増だったことを踏まえると、上半期のGDPを十分上回るとはいえ勢いが失われた様子が伺えます。

(カバー写真:Cliff/Flickr)

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