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米8月雇用動態調査、求人数や新規採用など全て下向き

by • October 13, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1677

Job Openings, Hires, Separations.. Everything Decline In August.

米8月雇用動態調査、MBA住宅ローン申請件数指数をおさらいしていきます。

米労働省が発表した米8月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は前月比6.7%減の544.3万人と、市場予想の580万人を下回った。2000年の統計開始以来で最高だった4月に次ぐ水準となる前月の583.1万人(587.1万人から下方修正)以下となり、3ヵ月ぶりの減少となる。米8月雇用統計の修正値に反し、求人数の減速を示した。

新規採用人数は前月比0.9%減の521.0万人と、3ヵ月ぶりに減少した。2006年11月以来の高水準を遂げた2月の551.0万人でピークアウトを確認しつつ、リセッションが開始した2007年12月時点の500万人という大台は24ヵ月連続で超えた。

離職者数は前月比0.7%減の495.4万人と過去6ヵ月間で5回目の減少を迎え、2015年10月以来で最低を示した。定年や自己都合による退職者は0.1%増の298.1万人と増加に転じ、統計開始以来で最高だった2015年12月の308.8万人を視野に入れている。解雇者数は1.0%減の162.3万人と過去6ヵ月間で5回目の減少となった。

求人数と新規採用者数は減少、両者の乖離は続く。

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(作成:My Big Apple NY)

求人率は3.6%と、統計開始以来で最高に並んだ前月の3.9%を大きく下回った。民間が統計開始以来の最高だった前月の4.1%から3.9%へ低下。政府は前月の2.4%から2.2%へ低下した。

就業者に対する新規採用率は3ヵ月連続で3.6%だった。2014年7月以来の低いレベルにとどまった5月の3.5%に近い水準を保つ。なお2月は、2007年10月以来の高水準で3.8%だった。政府は前月と変わらず、1.7%だった。

自発的および引退、解雇などを含めた離職率は3.4%となり、前月の3.5%を下回った。2015年10月以来の低水準へ戻している。ただ民間は前月の3.8%、政府も1.2%で横ばいだった。自発的離職率は3ヵ月連続で2.1%となり、2~3月に達成した2007年5月以来の高水準をたどった。解雇率は3ヵ月連続で1.1%となり、2000年12月に統計が開始してからの最低を保つ。

解雇者数とともに、離職者数も減少傾向。

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(作成:My Big Apple NY)

――以上の結果を踏まえ、イエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。達成項目は9項目中、7月と変わらず5項目でした。 6項目を達成した2月、5項目だった3月には届いていません。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字です。

1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 3.6%

2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.1%

3)自発的離職率 ○
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.1%

4)採用率—×
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.6%

5)非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 20.1万人増

6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 5.0%

7)不完全失業率—×
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 9.7%

8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 24.9%

9)労働参加率—×
2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.9%

――9月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で「最大限の雇用に接近した」との文言が削除されたように、求人数や新規採用数が減少しました。自動車工場閉鎖や夏休み要因を背景とした教員など8月独特の季節要因のか、気掛かりです。ホリデー商戦に向けた臨時雇用の動向は明るいホリデー商戦見通しと整合的なだけに改善への歩みが期待されるものの、米9月雇用統計のように秋風が吹きつける結果となる余地も残ります。

▽MBA住宅ローン申請件数指数、金利上昇で借換・新規そろって低下

全米抵当貸付銀行協会(MBA)住宅ローン申請件数指数は、10月7日週に前週比6.0%低下し509.6だった。前週の2.9%の上昇を打消し、過去4週間で3回目のマイナスを示す。借換が8.0%低下し2189.8だった上、新規も2.6%低下の216.7と小幅に続落した。期間中はMMFの規制変更は中銀の政策への思惑もあり金利が上昇し、需要を押し下げたとみられる。

30年固定金利型の住宅ローン金利(平均)は、前週の3.62%から3.68%へ上昇した。1年前の3.99%以下にとどまる。15年固定金利型(平均)は前週の2.93%から2.97%へ上昇。FHAのローン金利は、前週の3.50%から3.54%へ下振れした。

MBA住宅ローン申請件数指数、金利が低下し借換仁寄与。

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(作成:My Big Apple NY)

申請全体に占める借換の割合(件数ベース)は62.4%と、前週の63.8%から低下した。ただ、2009年6月以来の低水準を示した2015年7月3日週の48.0%から切り返した水準を維持。2013年5月以来の高水準となった2015年1月16日週の73.9%からは、大きく遠ざかったままだ。

――MBA住宅ローン申請件数指数は、金利上昇に屈して低下しました。特に借換は約4ヵ月ぶりの水準へ落ち込んでいます。12月来週はフロリダ州を直撃したハリケーン「マシュー」の影響もくすぶり、軟調地合いが続きそうです。

(カバー写真:North Carolina National Guard/Flickr)

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