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米10月チャレンジャー人員削減予定数、単月では1999年以来の低水準

by • November 4, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2650

Job Cuts And Initial Claims Support Rate-Hike This Year.

米10月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比39.1%減の3万740人と6ヵ月連続で減少した。前月比では31%減となり、人員削減予定数では年初来で2番目に低い水準となる。1~10月までの削減予定数も、前年同期比14%減の46万6,352人と改善した。

人員削減予定数、10月の単月ベースでは1999年以来で最低

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(作成:My Big Apple NY)

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「米大統領選が雇用を抑制していると考える向きもあるだろうが、他の選挙イヤーほど顕著な人員削減は見られていない」と振り返る。その上で、人員削減予定数が低い水準である背景は「健全な経済と安定した雇用」と分析した。

年初来の州別では、原油安を背景に石油生産地を抱えるテキサス州が1〜9月に続きトップに立った。2位も5~9月と変わらず、カリフォルニア州が入っている。1〜2月や4~9月と同じく、シェール関連産業が並ぶアーカンソー州も3位を維持。7~8月に5位だったイリノイ州は、9月に続き4位に浮上した。ノースカロライナ州は6〜7月の4位から5位へ順位を下げた前月と変わらなかった。

1位 テキサス州 10万3,147人
2位 カリフォルニア州 7万598人
3位 アーカンソー州 2万6,244人
4位 イリノイ州 2万655人
5位 ノースカロライナ州 1万9,422人

年初来で人員削減が多かったセクターのランキングは以下の通り。順位は前月と変わらなかった。

1位 エネルギー 10万3,147人(全体の22%)
2位 コンピューター 6万5,411人(全体の14%)
3位 小売 5万3,119人(全体の11%)
4位 産業財 2万3,977人(全体の4%)
5位 金融 1万9,387人(全体の4%)

10月の人員削減数ワースト5は、こちら。1位は教育、2位は小売とそろって圏外から上位に食い込んだ。3位と4位もそれぞれ圏外から政府と通信が浮上。5位は、前月2位だったコンピューターが並ぶ。エネルギーは前月の1位から圏外に落ち、1367人だった。

1位 コンピューター 4,792人(全体の16%)
2位 エネルギー 4,414人(全体の14%)
3位 通信 4,135人(全体の13%)
4位 産業財 2,037人 (全体の7%)
5位 娯楽 1,687人(全体の5%)

リストラ実施の理由、今回の単月ランキングは以下の通り。原油安が前月の圏外から4位に、石油の減速も圏外から5位へ浮上した。代わりにM&Aと技術の更新が圏外へ落ちた。

1位 再編 1万7,040人(全体の55%、前月も1位)
2位 閉鎖 3,831人(全体の13%、前月も2位)
3位 コスト削減 3,449人(全体の11%、前月は5位)
4位 原油価格 3,000人(全体の10%、前月は圏外)
5位 石炭の減速 719人(全体の2%、前月は圏外)

採用予定数は13万5,532人と、前月の48万7075人から減速した。9月を大幅に下回ったものの、ホリデー商戦前の臨時雇用の追い風もあって2015年10月の8万6,107人を上回っている。セクター別ではコンピューターがトップで前月の2位から上昇し、2位はメディア、3位はヘルスケアなどホリデー商戦以外が牽引した。

1位 コンピューター 12万1,660人 前月は2位
2位 メディア 7,700人 前月は圏外
3位 消費者関連 710人 前月は圏外
4位 自動車 692人 前月は5位
5位 保険、サービス 600人 前月は圏外

企業別、ホリデー商戦採用予定数は以下の通り。

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(出所:Challenger Grey And Christmas)

▽米新規失業保険申請件数、4週平均そろって1973年以来の低水準

米新規失業保険申請件数は10月29日週に26.5件と、市場予想の25.6万件を上回った。前週の25.8万件を超え、8月6日週以来の水準へ増加。労働省は特殊要因を指摘せず、30万件割れは87週連続と1970年以来で最長だという。4週平均は25万7,750件と3週連続で増加し、9月17日週以来の高水準だった。

10月22日週までの継続受給者数は202.6万人と前週の204.0万人(修正値)を下回り、2000年以来の最低を示す。被保険者に占める失業者の割合は、7週連続で過去最低の1.5%を保った。

米新規失業保険申請件数、約3ヵ月ぶりの水準へ増加。

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(作成:My Big Apple NY)

10月22日週の州別動向は、以下の通り。

(増加が顕著だった州)
・ノースカロライナ 2,389人増(前週は1,757人減)
・イリノイ 1,743人増(前週は1,757人減)
・ペンシルベニア 1,641人増(前週は4,188人減)
・オハイオ 701人増
・ワシントン 700人増

(減少が顕著だった州)
・ケンタッキー 4,073人減(前週は5,644人増)
・ミシガン 1,890人減(前週は2,874人増)
・カリフォルニア 1,604人減(前週は2,588人増)
・ニューヨーク 1,204人減(前週は2178人増)
・フロリダ 450人

――米10月チャレンジャー人員削減予定数は前年比にて6ヵ月連続で減少し、ホリデー商戦に絡む雇用増加の兆しをみせています。採用予定数ではホリデー商戦に直接関与するセクター以外が優勢だったとはいえ、今年の企業別採用予定数は2014年をピークに鈍化し続けるものの、3年連続で60万台に乗せました。米10月雇用統計は力強さに欠ける可能性はありますが、大幅な減速は回避できるでしょう。

(カバー写真:Metropolitan Transportation Authority/Flickr)

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