2285272528_c6d887775e_z

米10月住宅着工件数、金利上昇局面に2007年6月以来で最高

by • November 21, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1979

Housing Starts Hit Highest Since 2007, Permits Also Surge.

米10月住宅着工件数、米11月NAHB住宅市場指数をおさらいしていきます。

米10月住宅着工件数は年率132.3万件と、市場予想の115.6万件を大幅に上回った。前月の105.4万件(103.7万件から上方修正)を25.5%も急伸。3ヵ月ぶりに増加しただけでなく、2007年6月と景気後退以前の高水準という快挙を遂げている。前年比で23.3%増と、前月の11.4%減から増加に転じた。

内訳をみると、一戸建てが前月比10.7%増の86.9万件となり過去6ヵ月間で4回目のプラスを示す。複合住宅は68.8%増の45.4万件と3ヵ月ぶりに改善しただけでなく、伸びが著しい。一戸建ての前年比は21.7%増と2ヵ月連続で増加し、かつ直近で最高の伸びに。複合住宅は26.5%増と、前月の39.7%減から下げ幅を縮めた。

4大地域別では、前月に反し全て増加しただけでなく2桁増を記録した。今回は複住宅が集中する北東部が44.8%増の13.9万件、中西部も44.1%減の21.9万件とそれぞれ大幅増加を遂げている。IT産業が集まる西部も23.2%増の34.5万件と、最大の住宅市場であり石油生産州が集まる南部も17.9%増の62.0万件と、増加に転じた。

住宅着工件数は急増も、リセッション前の平均値には届かず。

housingstarts
(作成:My Big Apple NY)

米10月建設許可件数は122.9万件となり、市場予想119.3万件を大幅に超えた。前月の122.5万件から0.3%増え、件数であらためて着工件数を下回る。内訳をみると、一戸建てが2.7%増の76.2万件と直近で最高。複合住宅は逆に3.3%減の46.7万件と減少へ転じた。建設許可件数の前年比は4.6%増と、前月の8.5%増(速報値)から鈍化した。

米10月建設中件数は前月比1.4%増の104.9万件となった。小幅ながら、8ヵ月ぶりに減少した前月から増加に転じ、件数ベースで2007年12月以来の高水準。一戸建てが2.3%増の44.1万件と2ヵ月連続で増加し、複合住宅も0.7%増の60.8万件と増加トレンドに回帰した

――米10月住宅着工件数は、金利上昇局面ながら利上げ前あるいは米大統領選後の不透明性を意識した駆け込み需要が入ったもようで大幅増加を果たしました。特に住宅着工件数の複合住宅が急増した背景は、住宅保有率の低下が一因であり投資対象として引き続き妙味があるとの判断からでしょう。今後、金利が上昇する過程で需要が細れば特に賃貸需要が高まる余地も考えられ、11月以降の揺り戻しに注意したいところです。建設中件数は複合住宅が一戸建てを上回っており、ここがどのように変化していくか見極めていくべきでしょう。

▽米11月NAHB住宅市場指数、金利上昇受け10年ぶり高水準から鈍化

米11月NAHB住宅市場指数は63となり、市場予想並びに前月値と一致した。10年ぶりの最高に達した9月の65にわずかながら届かず。金利上昇局面を受けながら、高止まりを続けた。

内訳をみると、一戸建て現況指数が前月に続き69と景気回復サイクルで最高に達した9月の71以下にとどまった。一戸建て見通し指数は直近で最高だった前月の71から69へ低下。見込み客指数は逆に47と、前月の46を超え2015年11月以来の高水準に並んだ。

全体的に伸び一服も、見込み客指数は上昇。

nahb
(作成:My Big Apple NY)

4大地域別での住宅市場指数は3地域で上昇し、前月の2地域を上回った。今回は北東部をはじめ中西部、西部が上昇。南部のみ横ばいだった。

発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のエド・ブレイディ会長は、米大統領選前に調査を行ったと断りつつ「ヘッドラインは60超えを維持しており、住宅市場はゆるやかで安定的な拡大が続く」と予想した。ロバート・ディエス主席エコノミストも「雇用増加、所得の上昇、低い住宅ローン金利が住宅市場の成長を促す」と楽観的な見方を寄せた。

――米11月NAHB住宅市場指数は米10年債利回りが2015年7月以来の水準へ上向くなかでも、前向きな姿勢に変わりはありません。米10月雇用統計での賃金動向で楽観ししているようですが、問題は生産者・非管理職の賃金で彼らの伸びはそれほど加速していませんでした。米大統領選後の株高でセンチメントがさらに改善する可能性もあり住宅市場にはプラスでしょうが、企業に価格決定力が戻って来るのか、賃上げが全ての労働者層に波及するのか確認が必要です。

(カバー写真:Mary Molinaro/Flickr)

Comments

comments

Pin It

Related Posts

Comments are closed.