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米11月新車販売台数、インセンティブ拡大でトラック・SUVが回復

by • December 5, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2276

SUV And Trucks Lead November Sales On Back Of Bigger Incentives.

ワーズオートが発表した米11月新車販売台数は、年率換算で前月比0.9%減の1,775万台と市場予想の1,770万台を上回った。2015年10月以来の1,800万台に接近した前月の1,791万台には届かず。とはいえ、ホリデー商戦が開始し各社がインセンティブを引き上げた恩恵で高水準を保った。なお、ワーズオートの数字は米国内総生産(GDP)の算出に使用される。

オートデータが発表した米11月新車販売台数は、前年同月比0.9%減の138万558台だった。前月は139万2,786台、4ヵ月連続での減少は景気後退以来で初めて。10月は営業日が2日少なかったが、11月は逆に2営業日多かったにも関わらず、減少が続いた。年率では1,787万台と、少なくとも過去1年間で最高だった前月の1,806万台(修正値)に届かず。なお2015年は前年比5.7%増の1,747万台と、2000年に樹立した1,735万台を突破し過去最高を塗り替えた。

ケリー・ブルー・ブックによると、11月の平均販売価格は前年同月比1.7%上昇の3万4,948ドル(約400万円)と、前月の2.5%上昇から鈍化した。前月比では0.1%下落し、10月の±0%から下振れ、9月に続く下落となる。メーカー別の平均価格を前月比でみると、2015年に排ガス不正問題を受け大幅値下げを余儀なくされたフォルクスワーゲン(VW)とトヨタのみ上昇、ゼネラル・モーターズ(GM)が横ばいだった程度で他は全て下落した。前年比ではヒュンダイ・キアが10月に続き下落が目立ったほか、VWとホンダで小幅下落を確認した。

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(出所:Kelley Blue Book)

2016年の新車販売台数につき、自動車価格情報サイトのトゥルーカーは「1,800万台」を予想する。ただし、伸び率は3%台とし、2015年の5.7%を下回る見通しだ。全米自動車協会は「1,770万台」となる。いずれの数字も、2015年を超える公算だ。

メーカー別の単月動向をみると、GMとフォードはそろって増加し予想も上回った。トラックやスポーツ多目的車(SUV)が強いクライスラーのみ、前月に続き減少し市場予想よりも弱い。日本勢はそろって増加し、トヨタと日産は市場予想も超えた。

インセンティブ拡大の効果が奏功し、車種ではトラックをはじめスポーツ多目的車(SUV)が盛り返した。セダンや小型車などは、逆に一部で下振れしている。ガソリン価格は2月に一時1.724ドルと2004年3月以来の安値をつけた後、6月に一時2.399ドルまで上昇。その後は原油先物が40~50ドルのレンジで推移するなか、ガソリン価格はレンジ推移をたどった。

以下、米国をはじめメーカー別動向。

【GM】
GMは前年同月比10.2%増の25万2,644台となり、市場予想の9.1%増より加速した。4ヵ月ぶりに増加している。小売販売台数が7.9%増の19万7,609台と3ヵ月連続で増加しただけでなく、2009年以来の高水準を示した。全体の新車販売台数で4大ブランド別をみると、全て増加しビュイック以外で全て減少した10月から改善。小売販売台数でも全て増加し、10月の2ブランドを上回った。2016年通期の新車販売台数は1,740万台から1,750万台へ引き上げ、過去最高を達成した2015年を超える可能性をにらむ。新車販売台数の詳細は、以下の通り。

・ビュイック 16.1%増の1万8,530台、3ヵ月連続で増加
→主力のSUV「アンコール」が7.9%増の7,162台と全体を支えた。小売販売台数は22.0%増の1万7,444台と、2ヵ月連続で増加した2003年以来で最高を示す。

・キャデラック 14.5%増の1万5,3268台、前月の減少から反転
→SUVで売れ筋の「エスカレード」が25.4%増の2,097台と6ヵ月連続で増加したが、その他は減少が目立つ。小売販売台数は17.2%増の1万2,882台と3ヵ月ぶりに増加しただけでなく、単月では3年ぶりの高水準を果たした。

・GMC 14.1%増の4万9,113台、4ヵ月ぶりに増加
→主力の「シエラ」が14.4%増の1万8,900台と、4ヵ月ぶりに増加。SUVの「テレイン」が30.9%減の6,215台と4ヵ月連続で2桁減を示したが、その他は全て増加した。小売販売台数は8.9%増の4万1205台と4ヵ月ぶりに増加し、2001年ぶりの高水準を遂げている。

・シボレー 8.1%増の16万9,675台、減少トレンドから脱却
→SUVの「エキノックス」が10.0%増の2万1,600台と、4ヵ月ぶりに増加に反転した。「シルバラード」も0.6%増の4万5,280台と小幅ながら、6ヵ月ぶりに増加している。小型車は引き続き好調で「マリブ」が71.8%増の1マナ8,577台、「クルーズ」も2.1%増の1万6,414台だった。小売販売台数は5.0%増の16万9,675台で、2ヵ月連続で増加し単月にて2004年以来で最高を記録した。

【フォード】
フォードは、前年同月比5.1%増の19万7,574台となり、市場予想の0.5%増を上回った。前月から、増加に反転している。2大ブランド別では、フォードが4ヵ月ぶりに増加に転じ、リンカーンは3ヵ月連続で増加した。なお同社は1月、日本とインド市場から年内に撤退を決定した。詳細は、以下の通り。

・フォード 4.6%増の18万8,145台、4ヵ月ぶりに増加
→アルミ製ボディのトラック「Fシリーズ」が10.6%増の7万2,089台と、4ヵ月ぶりに増加した。SUVも改善がみられ「エクスプローラー」は13.9%増の1万7,245台と4ヵ月ぶりに増加に転じている。「エスケープ」も10.6%増の2万3,012台と4ヵ月ぶりに増加した。小型車は逆に振るわず、「フォーカス」は18.4%減の9,130台と6ヵ月連続で減少、「フュージョン」も9.7%減の1万7,560台と4ヵ月連続で減少した。

・リンカーン 19.1%増の9,429台、3ヵ月連続で増加
→主力の「MKZ」が9.3%zプの2,541台、「MKX」も30.2%増の2,451台と前月に続いて増加し、全体を支えた。

【フィアット・クライスラー】
フィアット・クライスラー・オートモビルは前年同月比14.0%減16万827台となり、市場予想の9.0%減より下げ幅を拡大した。9月に増加トレンドを78ヵ月で止めた後、3ヵ月連続で前年比マイナスとなる。5大ブランド別では9~10月に続き、1ブランドのみ増加した。詳細は、以下の通り。

・ラム 12%増の4万2,511台、6ヵ月連続で増加
→主力の「ラム」が8%増の3万6,885台と3ヵ月連続で増加したほか、「プロマスター・バン」が126%増の4,702台と支えた。

・ジープ 12%減の6万7,285台、3ヵ月連続で減少
→「チェロキー」が37%減の1万1,479台、「コンパス」が24%減の6,984台と落ち込むなど軒並み弱い。10月に増加した「グランド・チェロキー」や「ペイトリオット」もそれぞれ減少に転じたため、10月までは2ヵ月連続で6車種中4車種が減少していたが、今回は5車種へ広がった。今回は、「レネゲード」のみ30%増の1万67台だった。

・ドッジ  21%減の3万4,075台、3ヵ月連続で減少
→主力の「ジャーニー」が11%減の7,133台と減少に転じたほか、「キャラバン」も39%減の6,696台と2ヵ月連続で減少した。ただし「チャージャー」は34%増の3,908台と増加に転じた。

・クライスラー 47%減の1万4,518台、10ヵ月連続で減少
→新型「パシフィカ」が8,753台と押し上げたものの、生産が終了したミニバン「タウン・アンド・カウンティ」が97%減の350台と6ヵ月連続で減少している。また、セダンの「200」も72%減の2,849台と減少トレンドをたどった。

・フィアット 15%減の2,415台、11ヵ月連続で減少
→「500X」や「500L」などが軒並み2桁減を示したほか、新型「スパイダー」は350台と、全体を牽引するほどの馬力をみせなかった。

自動車メーカー別、米国市場シェアはGMが18.3%と首位ながらトヨタが2位の14.3%へ浮上、フォードは14.2%。
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(出所:Good Car Bad Car)

【トヨタ】
トヨタは4.3%増の19万7,645台と、市場予想の3.4%増を上回った。前月から増加に転じている。ブランド別ではトヨタが増加した半面、レクサスは2ヵ月連続で減少した。詳細は、以下の通り。

・トヨタ 5.3%増の16万8,595台、3ヵ月ぶりに増加
頼みの綱であるSUVやトラックが回復、日本では来春に販売・生産を打ち切る計画のSUV「RAV4」が2.7%増の2万8,116台と増加に転じ単月で過去最高を更新した。またハイランダー」は66.7%増の2万1,241台と、3ヵ月連続で増加し過去最高を塗り替えている。ただ「シエナ」は0.8%減の9,253台と2ヵ月連続で減少した。セダンでは「カローラ」が11.8%増の2万6,747台と6ヵ月連続で増加し単月で過去最高を更新した半面、「カムリ」は8.9減の2万8,189台と6ヵ月連続で減少した。

・レクサス 0.1%減の2万9,050台、過去9ヵ月間で8回目の減少
→SUVやトラックは4.9%増の1万8,310台で、4車種中「RX」を除き、車種別では2ヵ月連続で全て増加した(10月は「GXのみ減少」)。反対に乗用車部門は6.2%減の1万740台で、「IS」を除き7車種中全て減少している(10月は「GS」のみ増加)。

【ホンダ】
ホンダは前年同月比6.5%増の12万2,924台となり、市場予想の8.4%増に届かなかった。ただし、2ヵ月連続で増加。ブランド別ではホンダが7.9%増の11万1,308台と2ヵ月連続で増加したものの、アキュラは5.1%減の1万1,616台と4ヵ月連続で減少した

【日産】
日産は7.5%増の11万5,136台となり、市場予想の4.6%増より強い結果だった。2大ブランドでは日産、インフィニティがそろって増加に転じた。詳細は、以下の通り。

・日産 8.0%増の10万3,024台、前月から増加に反転し単月で過去最高
SUV・トラックで主力の「ローグ」が18.0%増の2万6,629台となり、クロスオーバーは再び過去最高を更新した。「ムラノ」も新型発売を受け、36.1%増の7,589台と単月で過去最高を達成。SUV「パスファインダー」も33.5%増の6,801台と、前月に続き増加した。一方で、主力セダン「アルティマ」は2.6%減の2万39台と前月から減少に転じた。

・インフィニティ 3.6%増の1万2,112台、前月の増加へ反転
→SUVの「QX60」が14.5%減の3,196台と3ヵ月連続で減少したが、「QX50」は58.8%増と4ヵ月連続で2桁増となり1,443台、「QX80」も0.1%増ながら1,738台と支えた。

その他の海外メーカーは、以下の通り。

・フォルクスワーゲン(VW)は24.2%増の2万9,672台、1年ぶりに増加
→排ガス不正が発覚した2015年9月、および同年10月は値下げ効果もあって小幅な増加にとどまったが、同年11月にガソリン車にも火種が及んだ影響からか以降は11ヵ月連続で減少しつつ、今回漸く増加に反転。アウディも2.5%増の1万7,118台と増加トレンドをたどるなか、グループ全体で15.7%増の4万7,253台とプラスへ転じた。

・ヒュンダイは4.2%増の6万2,507台と4ヵ月連続で増加
・キアは15.3%増の5万1,308台と4ヵ月ぶりに増加

・テスラ(推計値)は45.8%増の4,375台、増加トレンドを維持
→6月末に自動運転中(オートパイロット)の衝突事故が発生したものの、スピードを加速させて運行していた事情などが明らかになり悪影響は限定的。ただ欧州や中国など10月から鈍化しつつあり、米国でも需要に翳りがみられ前月の86.4%増からは減速した。

自動車メーカーからディーラーへの1台当たりインセンティブは前年同月比13.0%上昇の3,475ドルで、前月の15.7%から鈍化しつつ9月時点の2倍近い水準を保つ。前月比では1.4%の下落となり、2ヵ月連続で低下した。10月に続き、11月新車販売台数が大幅に改善した最大の理由は、インセンティブ拡大にあることを確認している。前年比での伸び率はスバルが99.5%の上昇と群を抜き、2位はメルセデス・ベンツを追走中のBMW(25.3%上昇)となる。米国勢も2桁増を示した。

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(出所:Truecar)

高級車部門別ランキングは、以下の通り(%は全て前年比)。今回、高級車御三家のメルセデス・ベンツ、レクサス、BMWがトップ3を維持した。1位はメルセデス・ベンツで変わらず。1月に3位の座をビュイックに譲ったBMWはインセンティブを引き上げ販売台の維持に努めたものの、7~10月に続きレクサスに追撃され3位に転落した。

1位 メルセデス・ベンツ 0.3%増の3万2,927台
→1~10月に続き、首位を堅持した。年初来では1.2%増の33万8,670台でトップに君臨している。2015年は、4.7%増の37万2977台で首位。2013年は1位だったが、2014年ではBMWに1位を明け渡していた。

2位 レクサス 1.0%減の2万9,272台
→1~3月の2位から、4~6月にBMWに2位の座を奪われた後で7~10月に続き2位を堅持した。年初来では4.3%減の29万46台となる。2015年は10.7%増の34万4601台で3位。2011年まで11年間連続で首位を飾ったが、東日本大震災後に順位を落とし2014年、2013年、2012年に続き3位にとどまる。

3位 BMW 18.2%減の2万6,1897台
→1月はまさかのトップ3圏外で始まり4~6月は2位に立ちつつ、2~3月、7~10月に続き3位に甘んじた。年初来では10.0%減の28万339台となり、7~9月に続きここでも3位となる。2015年は1.8%増の34万6023台で、首位の座を宿敵メルセデス・ベンツに明け渡していた。2014年では1位、2013年は2位だった。

4位 ビュイック(GM)16.1%増の1万8,530台
→7~9月に続き4位だった。年初はBMWを振り切って3位へ急伸したものの、以降はトップ3圏外へ戻す。年初来では3.0%増の20万8,343台 と4位を保った。2015年も2.6%減の22万3055台で4位だった。

5位 アウディ(VW)2.5%増の1万7,118台
→VWショックに揺れるなか、5~6月の4位を経て7~10月に続き5位。一時期の7位からは回復している。年初来では2.9%増の18万7,018台で、5位を維持した。2015年は11.1%増の20万2202台で、5位だった。

6位 キャデラック 14.5%増の1万5,326台
→6~10月と変わらず。年初来では3.8%減の14万8,560台で前月に続き6位。2015年は2.6%増の17万5,262台で、7位だった。

7位 アキュラ 5.1%減の1万1,616台
→6~10月と変わらず7位を堅持した。年初来では10.1%減の14万4,212台で、前月に続きキャデラックにかわされ7位にダウン。2015年は5.6%増の17万7165台で6位に収まっていた。

8位 インフィニティ 3.6%増の1万2,112台
→2月まで8ヵ月連続で8位を経て、3月に7位へ浮上した後で4~10月に続き8位にとどまった。年初来では1.4%増の12万95台で8位となる。2015年も13.8%増の13万3498台で8位だった。

新車販売台数:モデル別ランキング(%は前年同月比)で、今回はトヨタのカムリとRav4のほか、ホンダのアコードが順位を上げた。日産の「ローグ」は、10月の圏外からトップ10にカムバック。反対にフォードの「エスケープ」が圏外へ転落した。営業日が前年比で2日多かったため、減少した車種では2車種のみで10月の7車種から改善した。

1位 Fシリーズ(フォード)10.6%増の7万2,089台、前月も1位
2位 シルバラード(GM)0.6%増の4万5,280台、前月も2位
3位 ラム(フィアット・クライスラー)8.0%増の3万6,885台 前月も3位
4位 カムリ(トヨタ)2.7%増の2万8,189台、前月は5位
5位 Rav4(トヨタ)6.5%減の2万8,116台、前月は7位

6位 アコード(ホンダ)6.3%増の2万7,182台、前月は9位
7位 カローラ(トヨタ)10.6%増の2万6,747台、前月は6位
8位 ローグ(日産)18.0%増の2万6,929台、前月は圏外
9位 CR-V(ホンダ)0.7%減の2万5,758台、前月は4位
10位 シビック(ホンダ)1.0%増の2万5,303台 前月は8位

SUV版:新車販売台数、ブランド別ランキング(%は前年同月比)は以下の通り。今回は10月に火災の影響で発表できなかったフォードの「エクスプローラー」、「エスケープ」が姿をカムバックし、代わりにフィアット・クライスラーの「ジープ・ラングラー」、「ジープ・チェロキー」がランクダウンした。前年比で減少した車種は2つで、前月の6つから減少した。

1位 RAV 4(トヨタ)2.7%増の2万8,116台 前月まで3ヵ月連続で2位
2位 CR−V(ホンダ)0.7%減の2万5,758台、前月まで3ヵ月連続で1位
3位 ローグ(日産)18.0%増の2万6,629台、4ヵ月連続で3位
4位 エスケープ(フォード)10.6%増の2万3,012台 前月は推計値だったため圏外
5位 エキノックス(GM、シボレー)10.0%増の2万1,600台、前月も5位

6位 ハイランダー(トヨタ)66.7%増の1万2,741台、前月は8位
7位 エクスプローラー(フォード)17.6%増の1万9,628台
8位 アウトバック(スバル)35.9%増の1万7,769台、前月は4位
9位 ジープ・グランドチェロキー(フィアット・クライスラー)2.4%減の1万7,230台、前月は6位
10位 フォレスター(スバル)6.9%増の1万4,596台、前月は7位

(カバー写真:Good Car Bad Car)

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