4571155058_b0cb8efd4d_z

12月Fedサーベイ、次期FRB議長にトランプ・ジュニアを予想!?

by • December 14, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2318

Does Wall Street Expect Trump Jr. To Be Next Fed Chair?

1年間待ち続けた利上げが、ようやく行われる時がやって参りました。米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文が、真夜中に発表されます。経済金融局CNBCが恒例のFedサーベイを行ったところ、ウォールストリートは利上げの可能性を96%見込む状況。次回利上げの予想中央値は5月ですから、5月2~3日あるいはイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見などを予定する6月13~14日開催のFOMCが有力です。

2017年以降のFF金利予想中央値はそれぞれ2014年8月以来の大幅な上方修正となり、2017年では2.5回と3回の利上げを織り込み始めています利上げサイクルの終了時期は従来から1四半期伸び2019年4~6月期でしたが、着地点は大幅に引き上げられました。バランスシート見通しは、縮小時期見通しに変更ありません

トランプ政権発足にあたり、成長見通しはそれぞれ上方修正されました。一方で、米国経済のリスクとして保護主義が台頭しています。S&P500はさすがに足元の急速なペースから減速が見込まれつつ、2017年見通しでは4%高と堅調でした。

気になるFRB議長の見通しに、驚くべき名前が飛び出しました・・・トランプ次期大統領の長男、ドナルド・トランプ・ジュニアの名前が挙がっていたのです!一体どれだけの市場関係者が予想したのでしょうか?以下は46名のエコノミストをはじめストラテジスト、マネー・マネージャーなどを対象に12月8~10日に実施した結果で、前回は11月のFOMC直前の調査を表します。

1)12月FOMCでの政策決定はどうなるか
・利上げ 96%>前回は0%
・利下げ 0%=前回は0%
・据え置き 4%<前回は100%

2)次回の利上げ時期
・5月 44%
・2月 26%
・3月と4月 11%

3)2017年の利上げ回数、予想平均
・2017年 2.5回>前回は1.97回

4)2016~2018年、それぞれの年末FF金利予想平均値
・2016年末 0.63%>前回は0.61%
・2017年末 1.26%>前回は1.09%、過去最低
・2018年末 2.10%>前回は1.69%、過去最低
・2019年 2.67%>前回は2.22%

2016~18年までハト派的な予想が巻き戻され、大幅に上方修正。
ff
(出所:CNBC)

5)Fedの利上げ終了着地点、予想平均値
・2.92%、約1年半ぶりの高水準>前回は2.44%、過去最低

6)今回の利上げサイクル終了時期、予想平均値
・2019年4~6月期 > 前回は2019年1~3月期

7)バランスシートを縮小する時期、予想平均値
・2019年以降 31%、過去最高>前回は2019年以降 30%、

8)トランプ次期大統領の経済政策が与える影響(成長を大いに引き下げる=マイナス2、成長を幾分引き下げる=マイナス1、影響なし=ゼロ、幾分成長を押し上げる=プラス1、成長を幾分押し上げる=プラス2で採点。最低マイナス2、最高2)

・成長全体 +1.02
・雇用 +0.65
・財政赤字 +1.39
・インフレ+1.00
・株式 +0.84
・米債利回り +1.19

9)トランプ次期大統領の経済政策に対する評価(大いにネガティブ=マイナス2、幾分ネガティブ=マイナス1、中立=ゼロ、幾分ポジティブ=プラス1、大いにポジティブ=プラス2)

・所得税減税 +0.87
・法人税減税 +1.44
・貿易 -0.96
・規制緩和 +1.33

10)トランプ次期大統領は国外移転した企業の輸入品に35%の関税を課すか
・イエス 13%
・ノー 60%
・分からない 27%

11)トランプ次期大統領が国外移転企業に35%輸入関税を課した場合、成長への影響は
・大幅に減速 21%
・幾分減速 64%
・影響なし 7%
・幾分拡大 9%
・大幅に拡大 9%

12)トランプ次期大統領が指名するFRB理事が支援する政策は
・迅速な利上げ 46%
・一段とゆるやかな利上げ 5%
・分からない 50%

13)トランプ次期大統領がイエレンFRB議長(任期は2018年1月末まで)を再指名するか
・イエス 11%
・ノー 82%

14)トランプ次期大統領が誰を次のFRB議長に指名するか
1位 ジョン・テイラー元財務次官 38%
2位 分からない 22%
3位 ケビン・ウォルシュ元FRB理事 14%
4位 ドナルド・トランプJr.、ジャレッド・クシュナー(長女イバンカの夫)、ジェローム・パウエルFRB理事、ジョン・アリソン元BB&Tの最高経営責任者、ローレンス・リンゼー元FRB理事、ダラス連銀元総裁のリチャード・フィッシャー氏 3%

15)トランプ次期大統領はフィッシャーFRB副議長(任期は2018年6月12日まで)を再指名するか
・イエス 31%
・ノー 49%
・分からない 20%

16)米議会はFRBに金融政策を決定する上で規則を設けるべきか
・イエス 11%
・ノー 84%

17)足元の米株高の背景は
・新政権の政策期待 82%
・良好な業績見通しを反映した底堅い経済ファンダメンタルズ 18%

18)トランプ新政権がもたらす政策の変化に対する市場の見通しは
・過度に楽観的 56%
・現実的 42%
・過度に悲観的 2%
・分からない 0%

19)GDP見通し
・2016年 1.90%>前回は1.81%、過去最低
・2017年 2.57%、過去最高>前回は2.16%、過去最低
・2018年 2.76%

20)CPI見通し
・2016年 1.63%>前回は1.55%
・2017年 2.36%、過去最高>前回は2.16%
・2018年 2.64%

21)S&P500見通し
・2016年12月末 2,264>前回は2,174
・2017年12月末 2,357<前回は2,242
・2018年12月末 2,480

22)米10年債利回り
・2016年12月末 2.43%>前回は1.91%
・2017年12月末 2.90%>前回は2.25%
・2018年12月末 3.44%

23)米国にとって最大の脅威は?
1位 保護主義 28%>前回は5%
2位 世界経済の減速 19%<前回は32%
3位 税制変更/規制強化 9%<前回は27%

24)米国、1年以内の景気後退入りリスク
・18.1%、約1年半ぶりの低水準<前回は23.2%

25)最大の関心事は?
・経済 52%<前回は55%%
・株式 23%<前回は24%
・その他 16%>前回は11%
・為替 0%<前回0%

――いかがでしたか?トランプ新政権発足をにらみ経済成長、物価、FF金利見通しなどそろって上方修正させましたが、バランスシートの縮小には踏み切らないとの見方が優勢です。トランプ政権移行チームのデビッド・メープルス氏は米大統領選後まもなく巨額のバランスシートに「非常に有害だ」と懸念を表明しましたが、その後にスティーブン・ムニューチン次期財務長官とウィルバー・ロス次期商務長官がイエレン議長の仕事ぶりを評価していたため、不安が払しょくされたのでしょう。トランプ次期大統領自身、インフラ投資や減税など目玉の政策につき米議会と交渉する上でイエレンFRB議長の“高圧経済”が必要な場合もあり、選挙中のような暴言でイエレンFRB議長を口撃することはなさそうです。

次期FRB議長の面々は・・・ウォール街の回答者はふざけているのでしょうか?個人的には、トランプ次期大統領より年上な点を考慮されたのかフィッシャーFRB副議長、ゴールドマン・サックス出身のウィリアム・ダドリーNY連銀総裁の名前が浮上しなかったのが興味深い。後者が仮に就任すれば財務長官とFRB議長の金融当局者が共に投資銀行のGS出身者となりますから、非現実的と判断されたのでしょう。

(カバー写真:nakashi/Flickr)

Comments

comments

Pin It

Related Posts

Comments are closed.