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米12月ミシガン大信頼感は急伸も、インフレ見通しは低下

by • December 26, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2115

Michigan Consumer Sentiment Jumps To 12-Year High.

米12月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値は98.2と、市場予想並びに速報値の98.0を下回った。前月の93.8から急伸し、2004年1月以来の高水準を達成している。内訳をみると、現況指数が前月の107.3から111.9(速報値の112.1から下方修正)となり、2005年7月以来の水準へ上振れした。見通し指数も前月の85.2から89.5(速報値の88.9から上方修正)へ加速し、2004年12月以来の高水準を示す。調査期間中はトランプ新政権への期待感から過去最高値を更新する米株の勢いと歩調を合わせ、センチメントも上昇気流に乗った。

原油先物が石油輸出国会合(OPEC)と非加盟国の間で減産合意を背景に2015年7月以来の53ドル乗せに達する過程だったにも関わらず、1年先インフレ見通しは2.2%と、速報値の2.3%並びに前月の2.4%から低下した。5~10年先インフレ見通しに至っては前月の2.6%から2.3%へ低下し、過去最低を更新した。

ミシガン大消費者信頼感、現況以外はそろって上方修正。
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(作成:My Big Apple NY)

ミシガン大学の主席エコノミスト、リチャード・カーティン氏は今回の結果を受け「トランプ政権発足をポジティブな要因として挙げた回答者は18%と、これまでの最高だったレーガン政権発足時の9%の2倍に及んだ」と評価した。力強い雇用の創出と経済動向を予想する半面、消費者は慎重で「賃金見通しはわずかにとどまるとの見方が優勢」。インフレ見通しが抑制的だったため、辛うじて所得の見通しが上向いたという。速報値での2017年の個人消費見通しは「2.5%増」だったが、今回は言及していない。

・1年先の家計見通し指数 131>速報値は130、前月は126
向上する 40、直近で最高=速報値は40、前月は37
変わらず 47、直近で最低に並ぶ>速報値は46、前月は47
悪化する 9<速報値は10、前月は11

・所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数は86<速報値は88、前月は89
所得の伸びが物価を上回る 23<速報値は24、前月は27と直近で最高
所得の伸び率と物価が同じ 38=速報値は38、前月は34と直近で最低
所得の伸びが物価を下回る 37>速報値は36、前月は38と3ヵ月ぶり低水準

・所得が1年先に拡大するとの回答
今回 50.4%<速報値は51.3%と直近で最高、前月は48.6%

・1年先のビジネス見通し指数 119<速報値は120と直近で最高、前月は108
向上する 42<速報値は43と直近で最高、前月は31
変わらず 33=速報値は33と直近で最低、前月は41
悪化する 23=速報値は23、前月は23と4ヵ月ぶりの高水準

・1年先の失業率見通し指数 106<速報値は107と直近で最高、前月は97(低下を見込む場合に上昇)
低下する 28<速報値は29と直近で最高、前月は23
変わらず 48=速報値は48と直近で最低、前月は50
上昇する 22、直近で最低=速報値は22、前月は26

・1年先の金利見通し指数 40>速報値は39、前月は40
低下する 7、3ヵ月ぶり高水準=速報値は7、前月は5
変わらず 24>速報値は23と直近で最低、前月は28
上昇する 67<速報値は68と直近で最高、前月は65

・1年先のガソリン価格 13<直近で最低<速報値は14、前月は14.8(値上がりを見込む場合に指数は上昇)
下落する 6>速報値は5、前月は5
変わらず 46<速報値は47と4ヵ月ぶり高水準、前月は41
上昇する 47<速報値は48と4ヵ月ぶり低水準、前月は53

・自動車購入指数 137<速報値は140、前月は141
買い時 65<速報値は67、前月は67と3ヵ月ぶりの高水準
分からない 7>速報値は6、前月は7
買い時ではない 28>速報値は27、前月は26と4ヵ月ぶりの低水準

・住宅購入指数 148=速報値は148、前月は149
買い時 73=速報値は73、前月は74
分からない 2=速報値は2、前月は1
買い時ではない 25、直近最高近くを維持=速報値は25、前月は25

・主要機器 164<速報値は168と直近で最高、前月は162
買い時 79<速報値は80、前月は78
分からない 6<速報値は8、前月は6
買い時ではない 15>速報値は12と直近で最低、前月は16

――米12月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値は、以下の興味深い点が浮き彫りとなりました。

1)1年先の家計見通し指数が上昇
2)所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数をはじめ、、所得が1年先に拡大するとの回答、1年先のビジネス見通し指数、1年先失業率見通し指数は低下
3)1年先の金利見通し指数、1年先のガソリン価格指数はまちまち
4)購入見通し指数は住宅こそ横ばいも、主要機器と自動車が低下

――自動車メーカーのGMは直近で1,300件の雇用削減を発表し、11月発表分と合わせ3,300件を削減する方針です。SUVやトラックなどの販売鈍化が背景にあり、フィアットクライスラーもカナダにある2工場での生産を縮小する予定。スポーツ多目的車やトラックを背景にセダンや小型車が不振となっているためですが、足元で売れ筋にもブレーキがかかっている点は否めません。11月こそインセンティブ拡大を背景に好調でしたが、10月はGMのSUV”シルバラード”が5ヵ月連続で前年比を割り込むなど、不振が目立ちました。自動車販売動向はアメリカ人の家計を見極める上で重要なカギを握りますが、金利上昇もあって快進撃に歯止めがかかる気配が立ち込めます。

(カバー写真:elysiumcore/Flickr)

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