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米12月ISM非製造業景況指数は横ばいも雇用は減速、小売業は年始からリストラ

by • January 6, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1915

ISM Service Index Stays Flat But Employment Falls.

ISM非製造業景況指数、マークイットが発表した12月の景況感指数、米新規失業保険申請件数をおさらいしていきます。

米12月ISM非製造業景況指数は57.2となり、市場予想の56.8を上回った。前月に並び、2015年10月以来の高水準を維持している。米株高が一服しつつあるなかで、センチメントも一旦はさらなる上昇に歯止めが掛かった。

内訳をみるとビジネス活動や新規受注は上向いたが、雇用をはじめ新規輸出受注が低下し全体的にはまちまちだった。詳細は、以下の通り。

・ビジネス活動 61.4<61.7、2015年10月以来の高水準、6ヵ月平均は58.7
・新規受注 61.6>前月は60.2、6ヵ月平均は57.0
・雇用 53.8<前月は58.1、2015年10月以来の高水準、6ヵ月平均は54.1

・新規輸出受注 53.0<前月は57.0と直近で最高、6ヵ月平均は54.0
・在庫変化 52.0>前月は51.5、6ヵ月平均は51.5
・仕入れ価格 57.0と直近で最高>前月は56.3、6ヵ月平均は54.6

▽米12月マークイット非製造業PMI確報値、3ヵ月ぶり低水準も雇用が好調

米12月マークイット非製造業PMI確報値は53.9と、速報値並びに市場予想の54.2を上回った。前月の54.6には届かず、3ヵ月ぶり低水準。ただし新規受注は上向き、雇用に至っては2015年後半以来の力強さを示す。製造業と合わせた総合指数54.1と前月の54.9を下回ったが、速報値の53.7から上方修正された。

クリス・ウィリアムソン主席ビジネス・エコノミストは、結果を受け「11月分を下回ったとはいえ、2016年のレンジ上限にあたる」と評価した。速報値に続き、米10~12月期国内総生産(GDP)は「前期比年率2.0%増」と予想。仕入れ価格が1年半ぶりの水準へ上振れしたこともあり、米連邦市場公開市場委員会(FOMC)参加者の予想中央値と同じく年内の利上げ回数は「3回」を見込む。

ISMは横ばい、マークイットは3ヵ月ぶり低水準で雇用はまちまち。
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(作成:My Big Apple NY)

――製造業景況指数はISMとマークイットでまちまちだったほか、雇用も方向性を見出せませんでした。米12月雇用統計・非農業部門就労者数に近い数字はどちらなのか、本日夜に答えが出てきます。

▽米新規失業保険申請件数、1973年以来の低水準を記録

米新規失業保険申請件数は12月31日週に23.5万件と、市場予想の26.0万件を下回った。前週の26.3万件(26.5万件)から減少し、1973以来の水準へ急減した。労働省は特殊要因を指摘せず、30万件割れは96週連続と1970年以来で最長だという。4週平均は25万6,750件と、前週の26万2,500件を下回った。

12月24日週までの継続受給者数は211.2万人と前週の209.6万人(修正値)を上回った。被保険者に占める失業者の割合は7週連続で1.5%となり、過去最低をつけた11月5日週の1.4%を上回った水準を保つ。

米新規失業保険申請件数、4週平均と合わせて減少。

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(作成:My Big Apple NY)

12月24日週の州別動向は、以下の通り。原油価格が戻り局面を迎えるほかトランプ新政権がインフラ投資拡大を目指すにも関わらず製造業でレイオフが目立ったほか、建設や宿泊・食品サービスなども弱い。

(増加が顕著だった州)
・ケンタッキー 4,582人増
・ニューヨーク 3,557人増
・ミズーリ 3,181人増
・ニュージャージー 2,588人増
・カリフォルニア 2,557人像

(減少が顕著だった州)
・イリノイ 2,915人減
・バージニア 2,281人減
・テキサス 1,875人減
・フロリダ 1,143人減
・ミネソタ 659人減

――米新規失業保険申請件数は12月31日週に大幅減少を記録しましたが、年末という季節的要因からレイオフが大幅に縮小した可能性を残します。むしろ、12月24日週の製造業や宿泊・娯楽を中心に起こったリストラが気掛かり。製造業はトランプ次期大統領のインフラ投資拡大並びに法人税減税の恩恵のほか、メキシコなど国外移転に厳しいトランプ氏の立場にも関わらず、リストラが目立ちました。また景気回復サイクルで雇用を支えてきた娯楽・宿泊のリストラ増加も、消費鈍化の先行指標であるなら成長加速は見込みづらいでしょう。

ホリデー商戦が不振に終わった事情もあり、今後は失業保険申請件数が増加する気配も漂います。百貨店大手メイシーズは2017年に68店舗を閉鎖あるいは売却すると発表。さらに63店舗から3,900人、その他から6,200人合わせて1万100人の人員を削減する計画です。シアーズはKマートを含め、150店舗の閉鎖を発表しました。内訳としてはシアーズが41店、Kマートが109店舗が対象となります。もちろんアマゾンをはじめオンライン売上高が絶好調であり必ずしも消費が減速しているとは言い切ませんが、オンライン売上高のシェアはホリデー商戦全体の2割程度、通常の消費の1割程度である事情を踏まえると、旗艦店の弱さに目をつぶっていられません。

(カバー写真:_StreetShooter_/Flickr)

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