Job Openings And Hires Increase Modestly In November.
米11月雇用動態調査、米11月卸売在庫をおさらいしていきます。
米労働省が発表した米11月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は前月比1.3%増の552.2万人と、市場予想の550万人を上回った。米11月雇用統計の修正値で20万人乗せを達成した通り、年初来で最低だった前月の545.1万人(553.4万人から下方修正)から改善している。ただし、あらためて2000年の統計開始以来で最高だった4月の584.5万人で頭打ちを示した。
新規採用人数は前月比1.1%増の521.9万人と、3ヵ月ぶりに増加した。3ヵ月ぶりの520万人乗せを遂げ、リセッションが開始した2007年12月時点の500万人という大台を27ヵ月連続で超えた。ただし、2006年11月以来の高水準を遂げた2月の551.0万人でピークアウトを確認している。
離職者数は前月比1.2%増の502.8万人と2ヵ月連続で増加し、3ヵ月ぶりに500万人の大台を回復した。定年や自己都合による退職者は1.4%増の306.4万人と増加に転じ、統計開始以来で最高だった2015年12月の308.8万人に次ぐ高水準を遂げている。解雇者数は4.3%増の163.7万人と10ヵ月ぶりの高い伸びを示し、過去6ヵ月間で4回目の減少となった。
求人数と新規採用者数は増加も、両者の乖離は続く。
(作成:My Big Apple NY)
求人率は3.7%で、前月の3.6%から上昇した。統計開始以来で最高に並んだ7月の3.9%を下回った水準を保つ。民間が3.9%と前月と変わらなかったものの、統計開始以来の最高だった7月の4.1%が遠のいたままだ。政府は前月の2.2%を超え2.4%と、4ヵ月ぶりの高水準に並んだ。
就業者に対する新規採用率は2ヵ月連続で3.6%だった。2014年7月以来の低いレベルにとどまった9月の3.5%から改善している。なお2月は、2007年10月以来の高水準で3.8%だった。民間が3.9%と前月と変わらなかったものの、政府は前月まで2ヵ月連続で1.6%を経て1.7%へ上昇した。
自発的および引退、解雇などを含めた離職率は前月まで2ヵ月連続で3.4%を経て、3.5%だった。民間が前月と同じく3.8%だった半面、政府が前月と横ばいで3.0%となる。自発的離職率は6ヵ月連続で2.1%となり、2007年5月以来の高水準をたどった。解雇率は前月に並び1.1%と、過去最低を示した9月の1.0%を上回った。
離職者数のうち、解雇者数の伸びが加速していた点が気掛かり。
――以上の結果を踏まえ、イエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。達成項目は9項目中、前月と変わらず5項目でした。 6項目を達成した2月には届いていません。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字です。
1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 3.7%
2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.1%
3)自発的離職率 ○
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.1%
4)採用率—×
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.6%
5)非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 16.5万人増
6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 4.7%
7)不完全失業率—×
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 9.2%
8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 24.2%
9)労働参加率—×
2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.7%
――求人数も新規採用数もそろって増加し労働市場の勢いを感じさせ、特に求人数は原油価格の戻りを支えに鉱業・伐採や製造業など賃金が比較的高い財部門(製造業、鉱業、建設)で目立ちます。新規採用数になると話は変わり、製造業は小幅上昇したものの鉱業・伐採は低下。むしお賃金の低い宿泊・食品サービスに集中するなど、購買力が強まる内容ではありません。米12月雇用統計は減速しており、トランプ新政権が発足してから労働市場が質を伴って加速するか見極めが必要です。
▽米11月卸売在庫、予想より強くGDPに寄与か
米11月卸売在庫は前月比1.0%増と、市場予想並びに前月の0.9%増を上回った。卸売売上高は同0.4%増と、市場予想の0.4%増に届かず。前月の1.1%増(1.4%増から下方修正)から鈍化した。
――米11月卸売在庫を受けて、アトランタ地区連銀は米10~12月期GDP予測値を従来の2.9%増で据え置きました。6日時点のNY連銀の予測値1.9%増を大幅に上回ります。在庫投資と企業の設備投資に当たる機器投資が7~9月期から改善するとの見地に立てば高成長への期待をつなぎますが、果たしてGDPの7割を占める個人消費は力強さを維持できるのでしょうか。
(カバー写真:Jackie.lck/Flickr)
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