NFIB Small Business Optimism Jumps To 12-Year High After The Election.
米12月NFIB中小企業楽観度指数は105.8となり、市場予想の99.5を上回った。前月の98.4を上回り、2004年12月以来の高水準。前月からの上昇幅は7.4ポイントと、1980年7月以来で最大を記録している。リセッション前の平均値100も超え、文句なしに良好な結果を示した。なお同指数は、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表する労働市場情勢指数(LMCI)に含まれる。発表元である全米独立企業盟(NFIB)のウィリアム・ダンケルベルグ主席エコノミストは、結果に対し「米大統領選直後の急伸が本物と実証された」と振り返った。設備投資にも「楽観度が確認できた」と指摘し、トランプ新政権発足前に見通しが大いに好転したと語る。
楽観度指数、上昇幅は1980年以来という驚きの躍進。
(作成:My Big Apple NY)
内訳をみると、13項目中プラス圏にのせた項目は11月に続き10項目だった。今回は「経済がより良くなる」が急伸し2002年3月以来の高水準を達成。また「売上の拡大」も7位から2位へ急伸した。一方で「賃上げ見通し」、「採用見通し」は前月を上回りつつ他項目の上昇が目立ちランクダウンしている。以下は、項目ごとの変化。
「経済がより良くなる」50%、2002年3月以来の50%乗せ>前月は12%、6ヵ月平均は−6%
「売上の拡大を予想」31%>前月は11%、6ヵ月平均は8%
「設備投資を拡大した」29%>前月は24%、6ヵ月平均は27%
「求人件数」29%<前月は31%、6ヵ月平均は28%
「賃金」26%>前月は21%、6ヵ月平均は24%
「事業拡大に良いタイミング」23%>前月は11%、6ヵ月平均は11%「賃上げ見通し」20%>15%、6ヵ月平均は16%
「採用見通し」16%>前月は15%、6ヵ月平均は12%「販売価格の上昇」6%>前月は5%、6ヵ月平均は2%
「在庫を増加させる」4%=前月は4%、6ヵ月平均は1%
「在庫満足度」−3%>前月は−4%、6ヵ月平均は−4%
「信用状況が緩和する」−6%<前月の−5%、6ヵ月平均は−6%
「黒字トレンドにある」−14%>前月の−20%、6ヵ月平均は−20%
――米12月NFIB中小企業楽観度指数はトランプ政権発足前からインフラ投資、法人税減税を含む税制改革、規制緩和への期待感から打ち上げ花火のような急伸を遂げています。確かに空調大手キャリアがメキシコへの工場移転を断念したほか、直近ではフォードやフィアット・クライスラーもメキシコでの生産計画を撤回し米国での体制増強を発表。トランプ次期大統領が唱える“米国第一主義”が政権発足前から実現しつつあります。否が応でも、昂揚感が高まるというものです。
しかし、問題は自動車部門を中心に雇用の裾野が広がるかどうか。足元で自動車・部品の就労者数は回復途上にあり、12月は93.4万人と2008年2月以来の水準を取り戻していました。これ以上、同セクターで雇用が伸びるには新車販売台数の増加が必要となるでしょう。一方で、2017年の新車販売台数は2年連続で過去最高を経て減少する見通し。自動車メーカーの雇用増加はアメリカ人にとってグッドニュースですが、企業の利益率を阻害する可能性は否めません。しかも、2016年11~12月の新車販売台数の増加は販売奨励金(インセンティブ)の大幅増加が背景にあり、よほど米経済が好転しない限り自動車業界をエンジンとした雇用増加には限界があると考えられます。
(カバー写真:Tim Brockley/Flickr)
Comments
トランプ次期大統領、やっぱり娘婿クシュナー氏を大統領顧問に指名 Next Post:
米11月貿易赤字、2ヵ月連続で拡大も市場予想ほど悪化せず