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IMFは米成長見通しを上方修正も、世界経済アウトルックは据え置き

by • January 16, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1002

IMF Upgrades U.S. Growth But Holds World Outlook.

国際通貨基金(IMF)は16日、最新版の世界経済見通し(WEO)の最新版を公表しました。タイトルに「世界経済景観の変化(A Shifting Global Economic Landscape)」を掲げた今回、2017年の世界成長見通しを3.4%増、2018年も3.6%増で維持。先進国全体では上方修正した一方、エマージング国全体は2017年を下方修正し2018年を据え置きました。

ただし、IMFは世界経済の二大エンジンである米国と中国の成長見通しを上方修正。トランプ新政権によるインフラ投資拡大や税制改革といった財政刺激や規制緩和により、米国の2017年予想を2016年10月時点の2.2%増→2.3%増、2018年も従来の2.1%増→2.5%増へ引き上げています。米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げペースを引き上げる可能性をにらみながら、前向き姿勢を打ち出しました。国も秋頃の共産党大会を前に景気刺激というカンフル剤を打つと見込み、2017年を従来の6.2%増→6.5%増へ上方修正。世界経済のリスクは「下方向」としつつ「短期的には上向き」を予想しました。米国に慎重な予想を示したのは世銀のみで、IMFのシナリオには経済協力開発機構(OECD)のような楽観ムードが漂います。

ひとつの中国」で揺れる両者は、世界経済をけん引できるのか。
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(出所:Reuters via RT

IMFは、リスクに対し以下を挙げました。

1)政治動向がもたらす国境間経済統合のほつれ、それに伴う世界経済の不均衡と為替の急激な変動
2)先進国でのバランスシート問題、不適切な銀行改革による民間需要の一段の低下
3)エマージング国での社債発行増、利益率の低下、銀行のバランスシート問題、政策のバッファー低下
4)地政学的リスク、アフリカ南部、中東での紛争問題、欧州での頻発するテロ、ジカ熱の蔓延
5)米中の景気刺激策が与える上方リスクで、投資加速

前回はトップに保護主義政策の台頭を表す内向き政策が1)の”国境間経済統合のほつれ”に交代、2番目もイタリアとポルトガルの銀行問題を含めた先進国の経済停滞がさらにカバッレジが広がったかたちです。3)のエマージング諸国は、商品先物価格の低迷と財政拡大政策により財政のバッファーが限定的となり、外的ショックに脆弱となりかねないと指摘しました。前回は3番目に挙げられた中国の構造改革(内需主導型経済への移行にかかる調整)が削除され、代わりに米国と共に”上方リスク”へ格上げ。ジカ熱は地政学的リスクにまとめられています。

米中以外の国・地域別でみると、欧州はスペインや英国の2016年7〜9月期の景気回復が力強かったと指摘、特に英国はBREXITの影響が予想以下にとどまったと振り返りました。ユーロ圏は蘭、仏、独で選挙を迎えながら2017年が従来の1.5%増→1.6%増へ、英国も2017年につき従来の1.1%増→1.5%増へそれぞれ上方修正しています。しかし、英国は2018年のBREXITの手続きを踏まえ従来の1.7%増→1.4%増へ引き下げました

日本は2017年につき従来の0.6%増→0.8%増へ上方修正、2016年12月に新基準”2008SNA”を採用した影響を反映させました。2018年は、0.5%増で据え置いています。

インドは高額紙幣の廃止の影響で2016〜17年度(2017年3月終了)の成長見通しを従来の7.6%増→6.6%増への引き下げを余儀なくされたと説明。南米ではブラジルとアルゼンチンの経済回復が鈍く、見通し下方修正につながったといいます。注目はメキシコで、2017年はトランプ新政権の保護主義的な政策の煽りを受けると見込まれているためか従来から0.7%ポイント下方修正の1.7%増にとどまりました。

世界貿易動向では、2017年につき3.8%増で据え置きました。2018年は4.1%増と、従来の4.2%増から下方修正。2016年が1.9%増だったため、それぞれ改善が見込まれています。先進国では2017年につき3.6%増(前回は3.5%増)、エマージング国で4.0%増(前回は3.9%増)。2018年は先進国が4.1%増(前回は4.2%増)に対し、エマージング国が4.7%増(前回は4.3%増)でした。

WEOのまとめ役であるモーリス・オブストフェル主席エコノミストは、結果を受けて「短期的に成長が広範囲でまちまちとなるリスクをはらみ、リスクは下方向にある」と指摘します。トランプ新政権が掲げる財政刺激をポジティブに捉えるものの、やはり懸念材料は米国の通商政策で「世界の不均衡を拡大させ、保護主義的な報復措置が激化する」リスクを挙げました。

以下は、各国・地域の成長見通しで()内の数字は前回7月分あるいはその後の改定値となります。

2017年成長率

世界経済→3.4%(3.4%)
先進国→1.9%(1.8%)
米国→2.3%(2.2%)
ユーロ圏→1.6%(1.5%)
独→1.5%(1.4%)
仏→1.3%(1.3%)
伊→0.7%(0.9%)
西→2.3%(2.4%)
日本→0.8%(0.6%)
英国→1.5%(1.1%)
カナダ→1.9%(1.9%)

新興国→4.5%(4.6%)
中国→6.5%(6.2%)
インド→7.2%(7.6%)
ASEAN5ヵ国→4.9%(5.1%)
ブラジル→0.2%(0.5%)
メキシコ→1.7%(2.3%)
ロシア→1.1%(1.1%)

2018年成長率

世界経済→3.6%(3.6%)
先進国→2.0%(1.8%)
米国→2.5%(2.1%)
ユーロ圏→1.6%(1.6%)
独→1.5%(1.4%)
仏→1.6%(1.6%)
伊→0.8%(1.1%)
西→2.1%(1.9%)
日本→0.5%(0.5%)
英国→1.4%(1.7%)
カナダ→2.0%(1.9%)

新興国→4.8%(4.8%)
中国→6.0%(6.0%)
インド→7.7%(7.7%)
ASEAN5ヵ国→5.2%(5.2%)
ブラジル→1.5%(1.5%)
メキシコ→2.0%(2.6%)
ロシア→1.2%(1.2%)

2016年成長見通し

世界経済→3.1%(3.1%)
先進国→1.6%(1.6%)
米国→1.6%(1.6%)
ユーロ圏→1.7%(1.7%)
独→1.7%(1.7%)
仏→1.3%(1.3%)
伊→0.9%(0.8%)
西→3.2%(3.1%)
日本→0.9%(0.5%)
英国→2.0%(1.8%)
カナダ→1.3%(1.2%)

新興国→4.1%(4.2%)
中国→6.7%(6.6%)
インド→6.6%(7.6%)
ASEAN5ヵ国→4.8%(4.8%)

ブラジル→マイナス3.5%(マイナス3.3%)
メキシコ→2.2%(2.1%)
ロシア→マイナス0.6%(マイナス0.8%)

(カバー写真:My Big Apple NY in Washington D.C.)

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