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ドラギECB総裁、独の牽制に屈せずハト派寄り姿勢を貫く

by • January 20, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1917

Draghi Leans Dovish Tone While Germany Criticizes Monetary Policy.

欧州中央銀行(ECB)は19日、フランクフルトで定例理事会を開催した。政策金利にあたるリファイナンス金利は、市場予想通り0%で維持。上限金利の限界貸出金利も0.25%、下限金利の中銀預金金利もマイナス0.4%で据え置いた。金利据え置きは7回連続で、現状の低金利を長きにわたって継続する意思を示す。また、前回決定した資産買い入れプログラム(APP)の変更を堅持した。

ドラギ総裁は、インフレ率が11月の前年比0.6%から1.1%と2倍へ上昇するものの「中期的な影響を及ぼすのか、一時的か判断する上で統合消費者物価指数を注視する」と発言した。また「インフレ動向に明確な上昇トレンドの兆候はない」と言及。直近のインフレ上昇はエネルギー価格のベース効果によるものと一蹴した。さらに「インフレは金融政策や経済の回復、たるみの吸収に合わせ一段とゆるやかに回復していく」と予想し、現行の政策が必要との認識を打ち出した。インフレ参照値そのものも「中期的に定義しており、成長を支援するためには乖離する局面で持ちこたえる必要がある」と語った。

世界経済の回復ペースは「幾分強い」と表現しながら、経済見通しのリスクは「下方向」を据え置いた。また「将来金利が上昇する上で現状は低金利が必要」、景気回復の足場が固まれば「実質金利も上昇するので、忍耐強くならねばならない」と発言。成長改善は「ユーロ圏全体の利益であり、ドイツも含まれる」とも強調し、ショイブレ独財務相が重ねて批判するように景気回復が著しく緩和縮小を求めるドイツ勢に牽制球を放つ。デフレは「大方消えた」と述べたものの、テーパリングについて「協議しなかった」と明かし、暫くは現行の政策を維持する姿勢を貫いた格好だ。

トランプ次期大統領の発言をめぐっては「時期尚早」で、発言ではなく政策を注目すべきとの示唆を与えた。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのマーク・チャンドラー通貨戦略最高責任者は、ハト派寄りのドラギ記者会見を受け「米独2年債スプレッドは195bpへ拡大し、2016年12月28日につけた2000年以来の水準となる205bpに寄せた」と指摘。ユーロ一段安の扉を開けた可能性があるとの考えを示す。ただし「2003年1月の安値1.0340ドルまで下落するには、1.0485ドルのテクニカル的な節目を抜けなければならない」とも付け加えた。

米独2年債利回りスプレッド、拡大再開でもトランプ発言が気掛かり。

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(作成:My Big Apple NY)

――ドラギECB総裁は、フランクフルトで行った定例理事会後の記者会見でドイツの圧力を跳ね除けました。2017年3月にオランダで総選挙、2017年5月にはフランスの大統領選挙、同年9月にはドイツで総選挙を控えるだけに、拙速な利上げを避けたいのでしょう。過去には苦い経験もあり、ドラギECB総裁が慎重モードを維持する気持ちは分かります。しかしながら、結果的にユーロ安・ドル高を再燃させインフレ加速をもらしかねません。トランプ次期大統領は「ドルが強過ぎる」と口先介入していましたが、果たして対ユーロでも牙をむくのか注目です。

(カバー写真:European Central Bank/Flickr)

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