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米12月住宅着工件数、金利上昇局面に2007年6月以来で最高

by • January 20, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1605

Housing Starts Rebound In December, Posts Capping Best Year Since 2007.

米12月住宅着工件数、米新規失業保険申請件数をおさらいしていきます。

米12月住宅着工件数は年率122.6万件と、市場予想の118.8万件を大きく超えた。110.2万件(109.0万件から上方修正)を11.3%上回りつつ、2007年6月と景気後退以前の高水準という快挙を遂げた10月の132.0万件には届いていない。前年比では5.7%増と、前月の5.9%減をほぼ打ち消した。

内訳をみると、一戸建てが前月比4.0%減の79.5万件と2ヵ月連続で減少、過去5ヵ月間で3回目の減少を示す。複合住宅が57.3%増の43.1万件と増加を牽引し、前月の減少を完全に相殺している。一戸建ての前年比は3.9%増と4ヵ月連続で増加し、複合住宅は9.1%増と前月の28.8%減から増加に転じた。

4大地域別では、3地域で増加し前月のゼロから改善した。今回は複合住宅が集中する北東部が18.5%増の9.6万件、中西部も31.2%増の22.7万件とそれぞれ2ケタ増を遂げている。IT産業が集まる西部は23.5%増の33.1万件と好調だった。一方で、最大の住宅市場であり石油生産州が集まる南部は一戸建てが多い事情もあり、1.4%減の57.2万件と2ヵ月連続で減少した。

住宅着工件数は改善も、リセッション前の平均値は遠い。

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(作成:My Big Apple NY)

米12月建設許可件数は121.0万件となり、市場予想の122.5万件を下回った。前月の121.2万件(120.1万件)から0.2%減少、着工件数に届いていない。内訳をみると、一戸建てが4.7%増と5ヵ月連続で増加した結果、81.7万件と直近で最高。複合住宅は逆に9.0%減の39.3万件と2ヵ月連続で減少した。

米12月建設中件数は前月比1.1%増の105.4万件となった。前月の104.3万件から増加に転じ、件数ベースで2007年12月以来の高水準となる。

2016年ベースでは前年比5%増の117万件とされ、2007年以来で最高を記録した。

――米12月住宅着工件数は複合住宅に支えられ、10~12月期平均では122万件と年内で最高を遂げました。米大統領選挙後に金利が上昇したものの、在庫逼迫をにらみ増加した格好です。ちなみに一戸建て着工件数の75%が市場に出回るため、60万件が販売向けとなる見通しで、これは金利上昇を前に駆け込み需要で急増した米11月新築住宅販売件数の59.2万件にほど近い。従って在庫逼迫の環境解消には、まだ時間が掛かる公算です。

ゴールドマン・サックスは米10~12月期国内総生産(GDP)予想値につき、米12月鉱工業生産の上昇が公益など暖房需要に支えられた事情も汲み取り、従来の2.3%増から2.2%増へ下方修正。バークレイズは米住宅着工件数よりも、企業の在庫投資が貿易赤字の拡大に伴う純輸出の引き下げを想定ほど相殺しないと説明した上で、従来の2.5%増から2.0%増へ引き下げています。アトランタ地区連銀は、楽観寄りの見通しを「2.8%増」で維持。来週27日の米10~12月期GDP速報値をピタリ的中させられるか、注目です。

▽米新規失業保険申請件数、4週平均と合わせ1873年以来の低水準

米新規失業保険申請件数はキング牧師生誕日の3連休を控えた1月14日週に23.4万件と、市場予想の25.2万件を下回った。2016年12月31日週に続き、1973以来の水準へ減少している。労働省は特殊要因を指摘せず。30万件割れは98週連続と、1970年以来で最長だ。4週平均は24万6,750件と前週の25万7,000件を下回り、こちらも1973年以来の水準へ減少した。

1月7日週までの継続受給者数は204.6万人と前週の209.3人(修正値)を下回り、約1ヵ月ぶりの水準へ減少した。被保険者に占める失業者の割合は9週連続で1.5%となり、過去最低をつけた2016年11月5日週の1.4%を上回った水準を保つ。

米新規失業保険申請件数は増加も、4週平均は減少。

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(作成:My Big Apple NY)

1月7日週の州別動向は、以下の通り。リストラが目立った職種はホリデー商戦の終了を背景に輸送/倉庫、宿泊/外食、事務、そのほか製造業や建設育が並んだ。半面、減少が目立ったセクターはニュージャージー州にて廃棄処理、宿泊/娯楽などが入った。

(増加が顕著だった州)
・ニューヨーク 2万3,082人増
・ジョージア 1万614人増
・テキサス 9,686人増(前週は2,005人減)
・ペンシルベニア 6,039人増(4,448人増)
・カリフォルニア 6,000人増(前週は8,222人増)

(減少が顕著だった州)
・ニュージャージー 4,372人減(前週は8,222人増)
・ミシガン 3,414人減(3,964人増)
・ワシントン 3,267人減(前週は1,308人減)
・ケンタッキー 2,896人減
・アイオワ 2,379人減

――米新規失業保険申請件数は1月14日週に再び1973年以来の低水準を更新し、ホリデー商戦後のレイオフは確認されていません。ベージュブックで労働市場の逼迫が指摘された通り、労働参加率が低い水準では人材不足に直面していると考えられます。ただし、米11月雇用動態調査で明らかな通り、求人数と新規採用数の乖離は採用側と応募側の能力ミスマッチを露呈し、米新規失業保険申請件数の減少が必ずしも米雇用統計・非農業部門就労者数を押し上げるかは微妙な情勢です。

(カバー写真:Mary Molinaro/Flickr)

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