The Reasons You Saw Lots Of Uterus Signs At Women’s March.
※タイトルを変更し、加筆しました。
「女性の行進(Women’s March)」と言えば、ワシントンD.C.をはじめ全米各地に広がった反トランプ運動です。ピンク色のテーマカラーを身につけた女性がストリートを闊歩し、子宮=uterusの文字や絵が飛び交い、メディアでは大きく取り上げられましたよね。
しかし、そもそもなぜ「女性の行進」だったのでしょうか?
トランプ米大統領と言えば、選挙中から医療保険制度改革(オバマケア)の撤廃と修正を選挙公約に掲げていましたよね?ヒントはそこに隠れており、オバマケア廃止は女性にしか分からない問題を引き起こしかねません。
ズバリ、避妊です。
オバマケアでは、ピルをはじめ米食品医薬品局(FDA)で定められた18種類の避妊具あるいは避妊の自己負担が基本的に免除されています。しかしトランプ氏は第3回・大統領討論会でも中絶反対の立場を明確化したように、中絶反対派ですよね?就任初日にはトランプノミクスに向けた財源確保の必要性もあり、人工中絶を支援する非営利団体への資金援助を停止する大統領令に署名していました。
そもそも共和党は、オバマケアの代替措置を提示していません。その上、トランプ氏が指名した厚生長官候補でトム・プライス下院議員は公聴会で女性に自己負担を求めるよう証言しています。元整形外科意の同議員は代替案を公表済みとはいえ、同案では保険会社は加入希望者を拒否できない一方で医療保険支払いの滞りが生じれば支払額を大幅に引き上げることを可能とし、民主党の猛反発は必至で代替案成立が年内に収まるか不透明な点も気掛かりです。
「女性の行進」では、uterus=子宮の文字や絵が度々見受けられました。
(出所:galore)
最悪の事態に備え、女性陣も準備しつつあります。一度装着すれば外すまで妊娠を防止できる子宮内避妊用具(IUD)の人気が急騰中で、非営利団体で産婦人科関係の無料医療サービスを提供する非営利団体プランド・パレントフッドのセシル・リチャーズ氏がCNNで語ったところでは、大統領選後に需要が900%も上振れしたとか。保険会社エトナは、IUDの施術・処方箋量が12月に1万2,938件と大統領選直前の10月に比べ19%の増加を報告しています。
さすがに900%は言い過ぎでしょうが、女性の関心の高さが伺えます。経口ピルと違い、継続的な服用と費用負担が回避できる点が関心を呼びました。お値段は1,000ドルとお高めながら、オバマケアの下では無料ですから今のうちにと殺到するのも無理はありません。
アメリカ疾病予防管理センターの調査では、15〜44歳の米国女性の間で避妊具あるいは避妊薬を利用中との回答は2006〜10年において62%でした。意識の高い女性陣が高い自己負担を強いられるとは皮肉ですが、果たしてトランプ米大統領は女性の望みを聞き入れてくれるのでしょうか?
オバマケアの代替案次第では、2018年の中間選挙での女性票に一石を投じる余地を残します。上院こそ共和党の改選が3議席にとどまり区割りでも共和党優勢ながら、有権者の人口は女性比率が高い。2014年中間選挙での男女別有権者動向は51.8%対48.2%で、18~44歳の女性比率も23.5%と約4分の1を占めます。
今回の「女性の行進」が単なるリベラル的なデモにとどまらなければ、大勢の変化に影響を与えかねません。
(カバー写真:Mobilus In Mobili/Flickr)
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