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米1月貿易赤字、ドル高を反映し2012年以来で最大

by • March 8, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off498

Strong Dollar Pushes U.S. Trade Deficit To Highest In 5 Years.

米1月貿易収支は484.92億ドルの赤字となり、市場予想の485億ドルとほぼ一致した。前月の442.59億ドルを9.6%上回り過去5ヵ月間で3回目の増加を迎えた結果、2012年3月以来で最大の赤字幅を記録している。ドル高が敗因でドル指数は少なくとも約14年ぶりの水準へ上昇、2012年3月時点に80台と2005~14年のレンジ半ばにとどまっていたことと対照的だ。ただ当時は原油価格が100ドル台と高値圏で推移していたように原油高により石油関連が赤字を拡大させていた。石油を除く赤字額では2012年3月は225.56億ドル程度だったが、今回は409.35億ドルと2012年9月以来で最大を記録している。

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(出所:My Big Apple NY)

内訳をみると、輸出が前月比0.6%増(2ヵ月連続で増加)の1,920.94億ドルだったが、輸入が2.3%増(4ヵ月連続で増加)の2,405.86億ドルと赤字拡大を促した。なお輸出と輸入は、それぞれ2014年12月以来で最大となる。

国内総生産(GDP)の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの赤字は、653.46億ドル。前月の620.25億ドル(修正値)を上回り、2007年7月以来で最大を記録した。

なお2016年の貿易赤字はモノ・サービスを合わせて国際収支ベースで前年比0.4%増の5025.52億ドルで、2012年以来で最大を示した。商品市況の下落を背景に輸入が1.9%減の2兆7,116億ドルだったものの、ドル高を背景に輸出が2.3%減の2兆2,094億ドルだったため赤字が膨らんだ。2015年の貿易赤字は前年比4.6%増の5,315億ドルと、2012年以来で最大を記録した。モノの貿易赤字は米国勢調査局ベースで1.5%減の7,343.32億ドルとなる。

1月の輸出内訳をみると、モノは前月比0.9%増と2ヵ月連続で増加した。ドル高局面でも自動車関連が突出して高い伸びを遂げたほか産業材が前月に続いて増加、食料/飲料は前月から増加に転じた。一方で資本財は前月の伸びが著しかった反動で、減少した。

(増加項目)
・自動車 10.8%増、過去5ヵ月間で2回目の増加>前月は1.4%増
・産業財 5.8%増、過去5ヵ月間で4回目の増加>前月は2.1%増
・食品/飲料 5.6%増、6ヵ月ぶりに増加>前月は1.0%減

・サービス ±0%増、増加トレンドに5ヵ月でブレーキ<前月は0.5%増

(減少項目)
・資本財 4.2%減、過去5ヵ月間で2回目の減少<前月は7.9%増
・消費財 0.1%減、過去5ヵ月間で2回目の減少<前月は0.5%増

輸入の内訳をみると、モノは2.6%増と4ヵ月連続で増加した。原油価格が2015年7月以来の高値を示すなか、量ベースでの石油製品輸入は11.3%増と前月の2.6%減から転じている。金額ベースでも、上昇に転じた。石油製品を除いたモノの輸入は1.3%増と、前月の2.2%増増を含め4ヵ月連続で増加した。項目別では自動車や産業材など、全て増加した。

(増加項目)
・消費財 4.8%増、過去5ヵ月間で3回目の増加>前月は0.3%増
・自動車 2.9%増、過去5ヵ月間で4回目の増加<前月は5.5%増
・産業財 2.4%増、過去5ヵ月間で4回目の増加<前月は2.7%増
・資本財 1.3%増、過去5ヵ月間で3回目の増加<前月は2.9%増

(減少項目)
・食品/飲料 0.5%減、過去5ヵ月間で初の減少<前月は1.4%増

モノの実質貿易赤字、ドル高効果が波及。

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(作成:My Big Apple NY)

国別でのモノの貿易収支動向をみると、中国への赤字は前月比12.8%増の313.04億ドルと増加に転じた。日本への赤字は16.2%減の54.73億ドルと、減少へ反転。欧州全体への赤字額は0.9%増の139.01億ドルと、小幅増加へ転じた。そのうち英国との貿易収支は6.09億ドルの赤字と4ヵ月連続で赤字だった。

主な原油輸出国への貿易収支は、原油価格の上昇と輸入量の増加を背景に赤字拡大が優勢。カナダへの貿易赤字は68.4%増の36.20億ドルと、5ヵ月連続で赤字となっている。石油輸出国機構(OPEC)への貿易収支は28.09億ドルと赤字と、前月の1.28億ドルの黒字から反転した。メキシコに対する赤字額のみ、10.1%減の39.48億ドルと前月に続き縮小した。

以下は、今回の貿易収支における輸出と輸入の内訳のほか各国ごとのモノの貿易収支動向。貿易動向のランキングは変わらなかったが、輸出動向は前月10位のベルギーが13位へ転落、代わりにブラジルが13位から浮上し10位に食い込んだ。輸入動向のランキングは前月13位のアイルランドが8位、前月12位だったベトナムが9位にランクインした。一方で前月9位だったフランスが11位、前月10位だった台湾が13位へ後退している。

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(作成:My Big Apple NY)

――米1月貿易赤字を踏まえると、米1~3月期GDPは純輸出がマイナスに寄与する見通しです。アトランタ地区連銀は早速、同GDP予測値を従来の1.8%増から1.3%増へ大幅に引き下げてきました。民間投資の一角で上方修正したものの、純輸出を従来の0.45%ポイントのマイナスから0.50%ポイントのマイナスへ修正されています。2016年10~12月期GDP改定値は純輸出のマイナス寄与度が1.7%ポイントでしたから改善する方向ながら、引き続き成長押し上げ要因となる見通しです。バークレイズも従来の1.9%増から1.6%増へ下方修正し、成長鈍化は避けられそうにありません。

▽米1月消費者信用残高、2012年7月以来の小幅な伸びに

米1月消費者信用残高は87.94億ドル増(前期比年率4.1%増)の3兆6339億ドルとなり、市場予想の172.5億ドルを下回った。前月の147.58億ドル(141.60億ドルから上方修正)に続き増加基調をたどるも、2012年7月以来の小幅な伸びにとどまった。

――米1月個人消費支出(インフレを除いたベース)の前月比マイナスは2009年2月以来で最大たったように、消費者信用残高の伸びは景気回復が鮮明になった2011年からの平均値157億ドルからほぼ半減しました。個人消費支出(PCE)デフレーターが1月に前年比1.9%上昇し、平均時給の伸び2.5%との乖離が狭まったことが一因でしょう。足元で金利も再び上昇基調にあり、個人消費の耐性が試されつつあります。

(カバー写真:Louis Vest/Flickr)

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