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ドラギ総裁、利下げの可能性を排除しユーロ買い戻し招く

by • March 12, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off745

Draghi Gives A Boost To Euro By Signaling Rate Cuts Are Off The Table.

欧州中央銀行(ECB)は19日、フランクフルトで定例理事会を開催した。政策金利にあたるリファイナンス金利は、市場予想通り0%で維持。上限金利の限界貸出金利も0.25%、下限金利の中銀預金金利もマイナス0.4%で据え置いた。金利据え置きは8回連続で、現状の低金利を長きにわたって継続す意思を示す。また、2016年12月に決定した資産買い入れプログラム(APP)の変更を堅持した。

ドラギ総裁、記者会見のポイントは以下の通り。
(緩和策について)
金利は資産買入の時期をさらに超える長きにわたり、現状あるいはそれ以下の水準で推移すると予想
・資産買入プログラムは4月から12月まで600億ユーロで進め、必要であればそれ以上にわたって続く
・見通しが良好でなければ、資産買入プログラムを規模と期間において拡大する用意がある
新たな対象を絞った長期資金供給オペ(TLTRO)の必要性について、誰も議論する必要性を感じなかった
・資産買入プログラムは順調に進み、現状で(買入対象の債券不足)を懸念する理由はない
・(資産買入終了前の利上げに関する質問に)インフレ率の持続的な調整が望ましい一方で、まだそれを確認していない。回復は段階的と言える。
(経済見通しについて)
・インフレ率はエネルギー価格や食品価格の影響で上昇したが、足元のインフレ圧力は抑制されたままだ
・デフレのリスクは概して減退した
・成長のリスクバランスは改善した
(ユーロについて)
・ユーロは今後も存続し変更不可能で、問題はどのように繁栄できるかである
・ドイツは為替操作国ではない

ユーロをお披露目した当時、単一通貨ユーロ懐疑論の台頭を予想していた人は少数派だったはず。
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(出所:European Central Bank/Flickr)

ハト派寄りな見解がみられた一方で、ドラギ総裁が冒頭で読み上げる声明文から「正当化されるなら、理事会は目標達成を目指し利用可能なあらゆる措置を講じる」との文言を削除した。追加措置で行動する「緊急ひっ迫性はない」、経済下振れリスクも「以前ほど明白ではない」とも発言。アナリストの間では、ハト派寄りかタカ派寄りかの見解で分かれた。|

2017年3月にオランダで総選挙、2017年5月にはフランスの大統領選挙、同年9月にはドイツで総選挙を控えるなか、「極めて悲観的なシナリオ」へのリスクが低下したと述べた通り、反ユーロ派の政党が躍進する可能性が低下したとの思惑を示唆した。

バークレイズ
「ECB理事会は、6月に出口政策へ向けた第一歩へ踏み出しフォワード・ガイダンスを変更すると見込む。2018年にかけ資産買入を継続させるとの予想を維持するが、規模は縮小してくるだろう。また2018年には中銀預金金利を20bp引き上げへ0%に設定すると予想、同年末に0%へ引き上げるリスクも高まったと判断している。」

ベレンバーグ
「春の訪れとともに、経済見通しを上方修正させた。ただしインフレ圧力が依然抑制される通り、ECBは政策スタンス並びにガイダンスを変更しなかった。」

IHSグローバル・インサイト
「ECBが金融政策のトーンを変更開始に着手するサインを点灯させたが、現状ではほんのわずかに過ぎない。」

ECBスタッフによる経済見通し、改訂版は以下の通り。

2017年見通し
GDP 1.8%
HICP 1.7%
コアHICP 1.1%

2017年見通し(2016年12月時点)
GDP 1.7%
HICP 1.3%
コアHICP 1.1%

2018年見通し
GDP 1.7%
HICP 1.6%
コアHICP 1.5%

2018年見通し(2016年12月時点)
GDP 1.6%
HICP 1.5%
コアHICP 1.4%

2019年見通し
GDP 1.6%
HICP 1.7%
コアHICP 1.8%

2019年見通し(2016年12月時点)
GDP 1.6%
HICP 1.7%
コアHICP 1.7%

――ECBの決定を受け、ユーロは上昇しました。一段の利下げへの可能性を排除したためで、今後はフォワード・ガイダンスを変更するかがカギとなってくるでしょう。経済成長見通しを上方修正させ選挙動向への懸念も低下させているため、6月をメドに「現状あるいはそれ以下の水準で推移すると予想」との文言が外れる場合もあり得ます。資産買入前の利上げにも含みを持たせているため、政策の柔軟性を確保しタカ派寄りに転じる機会を伺っているようにすら映ります。ECBが「いつまでも 続くと思うな 緩和策」といったスタンスへ急旋回するとは考えづらく、エコノミストが指摘するように3月の定例理事会の微妙な変化を軽視すべきではないでしょう。

(カバー写真:European Central Bank/Flickr)

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