Trump’s Secret Weapon Against North Korea Could Be Jared Kushner.
金日成生誕記念105周年まで、あと2日に迫りました。
米海軍空母“カール・ヴィンソン”率いる空母打撃群が朝鮮半島に刻々と近づくとともに、トランプ政権の対応をめぐり様々な観測が流れています。
日本にとって一番重要な問題は、米国が北朝鮮を空爆するか否か。筆者は、以下の点で北朝鮮への攻撃はリスクが大きいと考えています。
1)就任100日を前に報復行為が予想される空爆は、さらなる支持率の悪化を招きうる
(仮に北朝鮮体制を倒したとしても、新体制樹立はイラクのように長期化する恐れあり、”米国第一”と乖離)
支持率、直近は42.1%まで改善も低空飛行は続く。
2)カンザス州特別下院選挙で証明された通り、トランプ政権の求心力は低下中
(共和党の巨額資金提供者、コーク兄弟のお膝元でリベラル派が猛追)
3)北朝鮮で有事が発生すれば日中韓を通じ、米国経済にも打撃
(米国との貿易額1位は中国で2月時点に全体の15.9%、4位は日本で5.2%)、6位は韓国で3%)
4)日中韓の3ヵ国の企業は米国での設備投資並びに雇用創出を計画中
(少なくとも設備投資額は700億ドル、雇用はアリババが中小企業を通じ100万人、ソフトバンクが5万人など)
予算教書からも”力による平和”を目指す姿勢が色濃くにじみ出ているとはいえ、中国と通商問題を抱えるため平和的解決を望む同国をないがしろにするとも考えづらい。既にトランプ米大統領は「北朝鮮問題に支援すれば貿易条件で一段と有利になる」、「中国を為替操作国に認定しない」と発言済みで、両国間で外交ルートを活用した解決に向けた努力が進展していたとしてもおかしくありません。
外交ルートを駆使するならば、クシュナー上級顧問による平壌・電撃訪問という奇策が飛び出す可能性に注目です。
マティス国防長官やキッシンジャー元国務長官との良好な関係を築くクシュナー氏は1月10日生まれの36歳と、金正恩氏と3歳しか変わらず誕生日も2日しか違いません。最愛の娘イバンカ氏の婿という続柄も、家族関係を重んじる北朝鮮側にとって申し分ないでしょう。外交実績としては、最近ではイラクを訪問し大きな話題を呼びました。
何よりクシュナー氏は、自身が最高経営責任者(CEO)だった不動産投資会社を通じ安邦保険集団をはじめ中国とのパイプもございます。長女アラベラちゃんに中国語を習得する機会を与え、米中首脳会談での晩餐会で民謡”茉莉花”や唐詩”三字経”を披露させる辣腕ぶりも、見逃せません。そのクシュナー氏が大陸間弾道ミサイル(ICBM)や核開発問題で功績を上げれば、将来の大統領候補として箔もつきますよね。
過去には、ニクソン元大統領が中国を電撃訪問した例もあります。時の大統領補佐官で訪中の立役者こそキッシンジャー氏であれば俄然、信憑性が増すというものです。
これまで過激な発言や行動で世界を驚かせてきたトランプ氏なだけに、クシュナー氏の電撃訪朝という離れ業を披露しないも限りません。Never Say Neverですよ。
【追記】
6ヶ国協議をスルーしていましたが、ヘイリー国連大使は3月に米国として6ヵ国の枠組みを復活させる意思がないと発言していました。クシュナー氏の抜擢をめぐり、国際安全保障問題で知られる国際戦略研究所のエクゼクティブ・ディレクター、マイク・フィッツパトリック氏は「クシュナーに平壌を訪問させよ」と題した小論文を公表。中国が独自に関与を強め、かつ韓国で親北左派政権が誕生した場合に米国が取り残されかねず、金正恩氏が対話しやすいクシュナー氏を訪朝させるべきと主張していたのです。クシュナー訪朝という手段は、全くあり得ない話というわけでもないでしょう。
(カバー写真:Chairman of the Joint Chiefs of Staff/Flickr)
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