Consumer Sentiment Revised Down But Hovers Around 17-Year High.
米4月ミシガン大学消費者信頼感・確報値、米1~3月期雇用コスト指数、米新規失業保険申請件数指数をおさらいしていきます。
米4月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値は97.0と、市場予想並びに速報値の98.0を下回った。ただし前月の96.9を超え、2000年10月以来の水準を達成した1月の98.5に次ぐレベルとなる。内訳をみると現況指数が112.7と速報値の115.2に届かず、前月の113.2も下回った。見通し指数は87.0と、速報値の86.9や2~3月の86.5を超えている。ただ、2004年1月以来の高水準を遂げた1月の90.3を下回る水準を維持した。
原油先物が50ドル割れから大台を回復するなか、1年先インフレ見通しは速報値並びに前月と同じく2.5%だった。5~10年先インフレ見通しも速報値と前月値に並び2.4%となり、2016年12月につけた過去最低の2.3%に近い水準を保つ。
ミシガン大学の主席エコノミスト、リチャード・カーティン氏は今回の結果を受け「共和党寄りと民主党寄りの乖離がやや縮小し、見通し指数の差は51.0ポイント(112.4 VS 61.4)と3月の63.1(122.5 VS 59.4)を下回り民主党の悲観度が後退した」と説明した。一方で、「消費者の42%を占める無党派の見通し指数は91.3と、米大統領選前となる2016年10月の73.1から大幅に好転した」。2017年の個人消費見通しは2.5%増を予想、2月時点の2.7%増から下方修正したものの米1~3月期の0.7%増から改善を見込む。
ミシガン大学消費者信頼感、現況指数が引き続き牽引。
・1年先の家計見通し指数 131、4ヵ月ぶりの高水準=速報値は131、前月は128
向上する 41、3ヵ月ぶりの高水準=速報値は41、前月は39
変わらず 47<速報値は48、前月は46
悪化する 10、4ヵ月ぶりの低水準=速報値は10、前月は11
・所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数は83、直近で最低=速報値は83、前月は90
所得の伸びが物価を上回る 21、3ヵ月ぶりの低水準=速報値は21、前月は23
所得の伸び率と物価が同じ 39=速報値は39、前月は43と直近で最高
所得の伸びが物価を下回る 38=速報値は38、前月は33
・所得が1年先に拡大するとの回答
今回 49.6%>速報値は48.5%と6ヵ月ぶりの低水準、前月は49.2%
・1年先のビジネス見通し指数 120<速報値は122と3ヵ月ぶりの高水準、前月は113
向上する 42、3ヵ月ぶりの高水準=速報値は42、前月は41
変わらず 34<速報値は36と5ヵ月ぶりの高水準、前月は30
悪化する 22>速報値は20と直近で最低、前月は28
・米国は向こう1年先も良好な状況を継続する 113>速報値は111と5ヵ月ぶりの低水準、前月は116
良好 49=速報値は49、前月は53
不透明 5>速報値は4、前月は4
困難 36<速報値は38、前月は37
・1年先の失業率見通し指数 113、直近で最高>速報値は110、前月は111(低下を見込む場合に上昇)
低下する 36>速報値は35、前月は36
変わらず 41>速報値は40、前月は37と直近で最低
上昇する 23<速報値は25、前月は25
・1年先の金利見通し指数 28>速報値は27と直近で最低、前月は31(金利低下を見込む場合指数は上昇)
低下する 5<速報値は6、前月は6
変わらず 17>速報値は15と直近で最低、前月は18
上昇する 77<速報値は79と直近で最高、前月は75
・1年先のガソリン価格 13=速報値は13、前月は11と直近で最低(値上がりを見込む場合に指数は上昇)
下落する 5>速報値は4と7ヵ月ぶり低水準、前月は7
変わらず 42<速報値は45、前月は49
上昇する 52>速報値は50、前月は44
・政府が失業率とインフレの両面で十分対応できる 90>速報値は88、前月は94(値上がりを見込む場合に指数は上昇)
十分対応できる 21>速報値は88と直近で最低、前月は94
普通 44=速報値は44、前月は39
まずい対応にとどまる 31<速報値は32、前月は32
・自動車購入指数 152、直近で最高=速報値は152、前月は145
買い時 73、直近で最高=速報値は73、前月は71
分からない 6=速報値は6、前月は5
買い時ではない 21と直近で最低=速報値は21、前月は24
・住宅購入指数 155<速報値は157、前月は150
買い時 73、直近で最高=速報値は73、前月は71
分からない 3、直近で最高=速報値は3、前月は2
買い時ではない 21>速報値は20と直近で最低、前月は24
・主要機器 166<速報値は170と直近で最高、前月は162
買い時 80<速報値は82と直近で最高、前月は78
分からない 6=速報値は6、前月は6
買い時ではない 14<速報値は12と直近で最低、前月は16
――米4月ミシガン大学消費者信頼感指数のポイントは、以下の通りです。
1)1年先の家計見通し指数は高止まり、所得が1年先に拡大するとの回答、米国は向こう1年先も良好な状況を継続する、1年先の失業率見通し指数、政府が失業率とインフレの両面で十分対応できるとの回答は速報値から上方修正
2)所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数は直近で最低を維持、1年先のビジネス見通し指数や
3)1年先の金利見通し指数は上方修正、1年先のガソリン価格見通しは横ばい、インフレ見通しは速報値と変わらず
4)購入見通しは自動車のみ直近で最高を維持、住宅と主要機器は下方修正
税制改革の発表が4月26日だったため、トランプノミクスへの期待後退がセンチメントを押し下げた可能性があります。ミシガン大学のカーティン主席エコノミストは民主党寄りの回答者の間における悲観的な見方後退を挙げた半面、共和党寄りの回答者では楽観度が低下していました。税制改革の基本方針は新味に乏しく公表直後の米株が伸び悩むなか、センチメントが改善するか注目です。
▽米1~3月期雇用コスト指数、雇用統計の平均時給に反し強い伸び
米1~3月期雇用コスト指数は前期比0.8%の上昇となり、市場予想の0.6%並びに前期の0.5%を上回った。2007年10~12月期以来の高い伸びと一致している。内訳をみると、賃金・給与が0.8%上昇し、前期まで2期連続での0.5%上昇を超えた。福利厚生も0.7%増と、前期の0.5%を抜け直近で最高を更新している。セクター別では。民間の賃金が2期連続で0.5%を経て、今回は0.8%上昇し直近で最高を迎えた。政府は0.6%の上昇と、前期と変わらずとなる。
雇用コスト指数は前年同期比2.4%上昇し、2015年1~3月期以来の高いレベルに達した。賃金が2.5%と前期の2.3%を超え3期ぶりの高水準だったほか、福利厚生も2.2%と前期の2.1%を上回った。
雇用コスト指数、雇用統計の平均時給と乖離。
▽米新規失業保険申請件数、1ヵ月ぶりの水準へ増加
米新規失業保険申請件数は4月22日週に25.7万件と、市場予想の24.5万件を上回った。前週の24.3万件(24.4万件から下方修正)から増え、1ヵ月ぶりの高水準。労働省は特殊要因を指摘せず、30万件割れはこれで112週連続と1970年以来で最長だ。4週平均は24万2,250件と前週の24万2,750件を下回り、2月25日週以来の水準へ減少した。
4月15日週までの継続受給者数は198.8万人と前週の197.8万人(修正値)を上回りつつ、2週連続で200万人を割り込んだ。被保険者に占める失業者の割合は2週連続で1.4%と、景気回復サイクルでの最低を維持した。
米新規失業保険申請件数は増加も、4週平均は減少。
4月22日週の州別動向はまちまちで、ニューヨーク州やマサチューセッツ州が3桁増だった一方でカリフォルニア州は3桁減だった。メリーランド州も3桁減を示し、製造業で知られるオハイオ州も大幅に減少している。その他テキサス州、ロードアイランド州で2桁増を示した。
――米新規失業保険申請件数は今回、多少上向いたとはいえ低水準を維持しました。継続受給者数も4週平均で2000年以来の200万人割れを示しており、労働市場は完全雇用に近い状況。雇用統計の非農業部門就労者数の伸びは、イエレンFRB議長が2015年12月に示唆したようにいずれかの時点で継続的に10万人増のペースへ鈍化してもおかしくありません。
(カバー写真:Susan Sermoneta/Flickr)
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