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ドラギECB総裁、経済見通しに楽観的も引き締めの可能性示さず

by • April 30, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1364

Draghi Drops No Hint Of Tightening.

欧州中央銀行(ECB)は27日、フランクフルトで定例理事会を開催した。政策金利にあたるリファイナンス金利は、市場予想通り0%で維持。上限金利の限界貸出金利も0.25%、下限金利の中銀預金金利もマイナス0.4%で据え置いた。金利据え置きは8回連続で、現状の低金利を長きにわたって継続する意思を示す。また、2016年12月に決定した資産買い入れプログラム(APP)の変更を堅持した。

ドラギ総裁、記者会見のポイントは以下の通り。

(緩和策について)
金利は資産買入の時期をさらに超える長きにわたり、現状あるいはそれ以下の水準で推移すると予想
・資産買入プログラムは4月から12月まで600億ユーロで進め、必要であればそれ以上にわたって続く
・見通しが良好でなければ、資産買入プログラムを規模と期間において拡大する用意がある
・インフレが持続的に2%台の水準を確保するまで、大いなる金融緩和の継続が必要
金利の緩和バイアスは協議せず、大部分はインフレより成長に関するリスクバランスに終始

(経済見通しについて)
ユーロ圏経済の循環的な改善は一段と底堅さを増し、下方リスクはさらに減退した
・ユーロ圏成長見通しのリスクは均衡へ向かいつつある一方で、未だ下方向へ傾いている
インフレ率はエネルギー価格や食品価格の影響で上昇したが、足元のインフレ圧力は抑制されたままで、明白な上方トレンドは未だ確認していない
・ユーロ圏の統合消費者物価指数(HICP)が3月に前年比1.5%と2月の2.0%を下回った背景は、エネルギー価格やサービス価格の下落
成長は脆弱かつまだら模様だったが、今は広範囲にわたって底堅い
・インフレが数ヵ月にわたって2%台へ戻した2011年とは違う
デフレのリスクは事実上、消えた(→前回の”概して減退した”から上方修正)

(トランプ政権の政策、保護主義について)
・米政権の経済政策について言及するのは時期尚早、今回の会合で明確になった可能性があることとして恐らく貿易保護主義のリスクは幾分低下したようだ

(仏大統領選について)
・理事会では政治でなく、政局を協議している

――以上、全体的に明るいトーンへ様変わりしたものの緩和策維持の姿勢を強調しています。資産買入の縮小など、引き締め策への示唆を与えませんでした。トランプ政権が税制改革を公表した翌日、かつ仏大統領の決選投票を5月7日に控え、保護主義への見解も国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しと比べて慎重そのもの。欧州系金融機関のエコノミストが指摘したように、ドラギ総裁率いるECBは独連銀などから生じる圧力にめげず”カタツムリのペース”で引き締め策へ向かっていくのでしょう。

(カバー写真:European Central Bank/Flickr)

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