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トランプ氏、FBI長官解任は「土曜夜の虐殺」か

by • May 10, 2017 • Latest News, NY TipsComments Off1395

Is Trump’s Firing Of FBI Director Comey His Saturday Night Massacre?

「私はペテン師ではない(I am not a crook)」

1973年11月17日、ウォーターゲート事件の渦中にあった時のニクソン米大統領がTV演説でお茶の間に放った言葉です。特別検査官だったアーチボルト・コックス氏の解任にとどまらず司法長官と司法副長官の辞職を強要した同年10月20日の「土曜夜の殺戮」から、約1ヵ月後の出来事でした。

あれから44年、 トランプ米大統領が9日夜にジェームズ・コミー米連邦捜査局(FBI)長官の解任を発表し全米に衝撃を与えました。コミーFBI長官と言えば、ロシアによる米大統領選挙への関与やトランプ選挙陣営との関与を捜査中と3月20日の米下院司法委員会で証言していたものです。国家安全保障局のマイク・ロジャース長官と共にトランプ米大統領が主張するオバマ前米大統領による盗聴問題も一蹴していましたね。

コミーFBI長官と言えば、米大統領選挙のわずか11日前に民主党候補のクリントン元国務長官をめぐるメール問題の再捜査を決定し間接的にトランプ米大統領の誕生をアシストした人物でもあります。5月8日に米上院司法委員会では、米大統領選挙の結果に影響を与えたとして「軽い吐き気を禁じ得ない」と語っていました。

米大統領がFBI長官を更迭したのは、初めてではありません。1993年には、クリントン米大統領がセッションズ長官を倫理違反を理由に解任していました。

しかし、米大統領自身に向けられた疑惑を捜査するFBI長官の免職というのは前代未聞CNBCは「共和党の議題が人質となるだけでなく、トランプ政権自体を短命にさせかねない大いなる賭けだ」と伝えます。擁護していたのはスティーブ・バノン首席戦略官が会長を務めたブライトバートを中心とした右派系のほか、”身から出たさび”と報じたトランプ米大統領と懇意のメディア王ルパート・マードック氏傘下のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙社説欄くらいでしょうか。

2013年6月、身長6フィート8(203cm)のコミー氏をFBI長官に指名したオバマ前大統領は、「背筋を伸ばした態度で立ち向かう(stand tall)」評価していました。その言葉通り信念を貫いたコミー氏、どのような理由であれ米国の歴史にその名を刻み込んだのは間違いありません。米上院情報委員会は16日に開催する非公開の公聴会でコミー氏に証言を要請しましたが、解任される前にロシア疑惑のFBI捜査拡大を求めた詳細内容について突っ込んだ質疑応答になるとも考えられ、続報に耳目が集まります。

堂々とした体躯から漂う、2m超の風格。
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(出所:Ministerio del Interior 2017/Flickr)

中間選挙を控え共和党が同問題をどのように取り扱うかが焦点であると同時に、後任のFBI長官に熱い視線が注がれます。

FBI長官代行に指名されたのは、アンドリュー・マッケイブ氏。1996年にFBIのニューヨーク支局でキャリアを開始してから出世街道をまっしぐらに走ってきた人物で、組織犯罪をはじめ対テロリズム部門、国家保安部、ワシントン支局を渡り歩きました。2016年2月には、引退した前任者の後にFBI副長官として就任。トランプ政権に代わってからは、プリーバス首席補佐官がロシアにまつわる疑惑払拭のため助言を求めたとも言われています。

妻のジル・マッケイブ氏は2015年、民主党のバージニア州議会の上院議員に立候補しクリントン元国務長官の側近でバージニア州知事のテリー・マコーリフ氏の政治団体などから47万ドルの政治献金を得ていました。FBIはこれに対し「どんな役割を担わず、イベントにも出席せず、政治資金集めなどに一切参加しなかった」と完全否定した半面、WSJ紙やニューヨーク・ポスト紙などニューズコープ傘下のメディアは批判の矛先を向けたものです。トランプ米大統領がマッケイブ氏をFBI長官にとどめ置く気は毛頭なく、既にFBI長官の後任候補に着手した模様。とはいえ非常に神経質な時期なだけに、トランプ氏指名のFBI長官候補が共和党上院の50票を確保できるか不透明です。

民主党側も、特別検査官の擁立を目指す意向を表明済み。ロシア問題が最終的に第二の「土曜夜の殺戮」と位置づけられるかはさておき、同問題が長引く可能性を示唆しています。

※10日に報道されたニュースを基に、加筆修正しました。

(カバー写真:thierry ehrmann/Flickr)

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