Consumer Sentiment Rises To 4-Month High, But Buying Plan Mixed.
米5月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は97.7と、市場予想並びに前月の97.0を上回った。2000年10月以来の水準を達成した1月の98.5に次ぐレベルとなる。内訳をみると、現況指数が112.7と前月と変わらず。ただし見通し指数が88.1と前月の87.0を超え、2004年1月以来の高水準を遂げた1月の90.3に接近した。
原油先物が再び50ドル割れへ振れするものの、1年先インフレ見通しは2.6%と前月の2.5%から上昇した。ただし5~10年先インフレ見通しが前月の2.4%以下の2.3%と、2016年12月につけた過去最低の水準に並んだ。
ミシガン大学の主席エコノミスト、リチャード・カーティン氏は今回の結果を受け「2016年12月~2017年5月平均の97.4を踏まえると、トランプ・バンプ(トランプ政権の失策によるセンチメントなどの低下)は限定的」と指摘した。一方で、2つの重要点を挙げ「実質所得に対する楽観見通しは12年ぶりの高水準だった一方、購入見通しはまちまちで自動車購入見通しは3年ぶり低水準だった」と振り返る。党派間での見通しギャップをめぐっては、未だ大きいものの「今回は55と3ヵ月前の65から縮小し民主党の悲観度が後退した」という。もっとも、カーティン氏は個人消費の見通しは前回の2.5%から「2.3%」へ下方修正した。
ミシガン大学消費者信頼感、現況指数が引き続き牽引。
・1年先の家計見通し指数 133、直近で最高>前月は131
向上する 44、直近で最高>前月は41
変わらず 44、直近で最低<前月は47
悪化する 11>前月は10、4ヵ月ぶりの低水準
・所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数は94>前月は83、直近で最低
所得の伸びが物価を上回る 28>前月は21、3ヵ月ぶりの低水準
所得の伸び率と物価が同じ 37、3ヵ月ぶり低水準<前月は39
所得の伸びが物価を下回る 34<前月は38
・所得が1年先に拡大するとの回答
今回 51.5%、4ヵ月ぶりの高水準>前月は49.6%
・1年先のビジネス見通し指数 117<前月は120、3ヵ月ぶりの高水準
向上する 41<前月は42、3ヵ月ぶりの高水準
変わらず 35、6ヵ月ぶり高水準>前月は34
悪化する 24>前月は22、3ヵ月ぶり低水準
・米国は向こう1年先も良好な状況を継続する 118、4ヵ月ぶりの高水準>前月は113
良好 53>前月は49
不透明 3<前月は5
困難 35<前月は36
・1年先の失業率見通し指数 103、6ヵ月ぶり低水準<前月は113(低下を見込む場合に上昇)
低下する 29、6ヵ月ぶり低水準<前月は36
変わらず 44、5ヵ月ぶり高水準>前月は41
上昇する 26、3ヵ月ぶり高水準>前月は23
・1年先の金利見通し指数 35、3ヵ月ぶりの高水準>前月は28(金利低下を見込む場合指数は上昇)
低下する 7、5ヵ月ぶりの高水準>前月は5
変わらず 19、3ヵ月ぶりの高水準>前月は17
上昇する 72、3ヵ月ぶりの低水準<前月は77、直近で最高
・1年先のガソリン価格 11、直近で最低<前月は13(値上がりを見込む場合に指数は上昇)
下落する 6>前月は5
変わらず 44>前月は42
上昇する 49<前月は52
・政府が失業率とインフレの両面で十分対応できる 92>前月は90(値上がりを見込む場合に指数は上昇)
十分対応できる 25>前月は21
普通 39<前月は44
まずい対応にとどまる 33、6ヵ月ぶりの高水準>前月は31
・自動車購入指数 134、直近で最低>前月は152、直近で最高
買い時 65<前月は73、直近で最高
分からない 4、直近で最低<前月は6
買い時ではない 31、直近で最高>前月は21、直近で最低
・住宅購入指数 142、直近で最低<前月は155
買い時 70<前月は76、直近で最高
分からない 2<前月は3、直近で最高
買い時ではない 28、直近で最高>前月は21
・主要機器 169、直近で最高>前月は166
買い時 82、直近で最高>前月は80
分からない 5、4ヵ月ぶり低水準<前月は6
買い時ではない 13<前月は14
――米5月ミシガン大学消費者信頼感指数のポイントは、以下の通りです。
1)1年先の家計見通し指数、所得が1年先に拡大するとの回答、所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数、米国は向こう1年先も良好な状況を継続する、政府が失業率とインフレの両面で十分対応できるとの回答は上昇
2)1年先の失業率見通し指数、1年先のビジネス見通し指数は低下
3)1年先の金利見通し指数は金利低下を見込み、1年先のガソリン価格は下落を予想、インフレ見通しは5~10年先が過去最低に並ぶ
4)購入見通しは主要機器のみ直近で最高、自動車と住宅は金利上昇一服中でも大幅低下
ナスダックやS&P500が過去最高値を更新する過程で見通し指数を中心に上昇したものの、インフレ見通しと購入見通しは芳しくありません。所得拡大の見込みが強まる結果と、相反します。失業率や1年先のビジネス見通しも弱まり、ヘッドラインが表すほど強いとは言い難い内容です。
米4月小売売上高が改善したものの勢いに欠けたように、センチメントと実際の消費動向への乖離をあらためて確認した格好。雇用統計では、専門サービスや金融など就業者数が前年比での伸びが目立つなど高賃金の職が堅調だった割に、平均時給は伸び悩みました。
米4月CPIが示すようにインフレに鈍化の兆しが見え実質所得は増加する公算ながら、個人消費が起爆剤となって成長が拡大できるかは微妙な情勢です。これまでの成長パターンと異なり、米経済の牽引役は個人消費から企業投資へバトンタッチしたと言えるのではないでしょうか。
(カバー写真:elysiumcore/Flickr)
Comments
米4月CPI、前月比は改善も前年比で減速し基調は鈍い Next Post:
トランプ米大統領の支持率、コミー前FBI長官の解任劇は影響薄?