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米4月貿易収支、輸入増・輸出減で赤字拡大

by • June 4, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off2005

U.S. Trade Deficit Widens In April, Export Declines.

米4月貿易収支は476.17億ドルの赤字となり、市場予想の461億ドルを上回った。前月の452.83億ドル(437.06億ドルから修正)を5.2%上回り、3ヵ月ぶりの高水準となる。原油関連を除く貿易赤字は421.85億ドルと、前月の368.54億ドルから増加し直近で最高を示した。

内訳をみると、輸出が前月比0.3%減(2ヵ月連続で減少)の1,909.75億ドルだった上に、輸入が0.8%増(2ヵ月連続で増加)の2,385.92億ドルとなり赤字拡大を促した。

輸出減・輸入増で4月の赤字は3ヵ月ぶり高水準。

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(作成:My Big Apple NY)

国内総生産(GDP)の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの赤字は、635.49億ドル。前月の606.80億ドル(修正値)を大幅に上回り、3ヵ月ぶりの水準へ膨らんだ。

なお2016年の貿易赤字はモノ・サービスを合わせて国際収支ベースで前年比0.4%増の5025.52億ドルで、2012年以来で最大を示した。商品市況の下落を背景に輸入が1.9%減の2兆7,116億ドルだったものの、ドル高を背景に輸出が2.3%減の2兆2,094億ドルだったため赤字が膨らんだ。2015年の貿易赤字は前年比4.6%増の5,315億ドルと、2012年以来で最大を記録した。モノの貿易赤字は米国勢調査局ベースで1.5%減の7,343.32億ドルとなる。

4月の輸出内訳をみると、モノは前月比0.3%減と2ヵ月連続で減少した。食品/飲料が前月の大幅減の反動で増加したほか、資本財やサービスもプラスに反転。一方、自動車、産業財、資本財は減少した。

(増加項目)
・食品/飲料 5.1%増、過去5ヵ月間で4回目の増加<前月は6.5%増
・産業財 1.2%増、過去5ヵ月間で4回目の増加>前月は3.3%減
・サービス 0.1%増、過去5ヵ月間で4回目の増加<前月は0.7%増
・資本財 ±0%、過去5ヵ月間で増加は2回<前月は1.7%増

(減少項目)
・消費財 4.3%減、過去5ヵ月間で2回目の減少<前月は2.8%減
・自動車 4.1%減、過去5ヵ月間で3回目の減少<前月は3.9%減

輸入の内訳をみると、モノは0.9%増と2ヵ月連続で増加した。原油価格が安定的に推移するなか、量ベースでのエネルギー関連輸入は11.1%減と前月の9.5%増から転じている。金額ベースでも、下落に転じた。エネルギー製品を除いたモノの輸入は2.3%増と、前月の0.5%増と合わせ2ヵ月連続で増加した。項目別では自動車以外、全て減少した。

(増加項目)
・消費財 4.0%増、過去5ヵ月間で4回目の増加<前月は0.8%増
・食品/飲料 3.3%増、過去5ヵ月間で3回目の減少>前月は2.0%減
・資本財 1.8%増、過去5ヵ月間で3回目の増加<前月は0.9%減

(減少項目)
・産業財 1.6%減、過去5ヵ月間で1回目の減少<前月は3.5%増
・自動車 2.2%減、過去5ヵ月間で2回目の減少<前月は5.1%増

国別でのモノの貿易収支動向をみると、中国への赤字は前月比12.4%増の276.32億ドルと2ヵ月連続で増加した。中国以外での主要国・地域ではまちまちで、日本への赤字は28.0%減の52.12億ドルと減少に反転。欧州全体への赤字額は18.7%増の145.81億ドルと、こちらは増加へ転じた。欧州のうち英国との貿易収支は2.73億ドルの黒字と3ヵ月連続で黒字だったが、前月比11.7%縮小した。

主な原油輸出国への貿易収支は、輸入量が増加したものの赤字縮小が優勢。メキシコに対する赤字額は10.5%減の62.94億ドルと3ヵ月ぶりに縮小した。石油輸出国機構(OPEC)への貿易収支も22.9%減の10.82億ドルの赤字と、4ヵ月連続で赤字を計上しつつ3ヵ月連続で赤字を縮小させた。一方で、カナダへの貿易赤字は20.9%増の16.21億ドルと、赤字幅が拡大しただけでなく7ヵ月連続で赤字となっている。

以下は、今回の貿易収支における輸出と輸入の内訳のほか各国ごとのモノの貿易収支動向。貿易収支動向のランキングはメキシコが日本に代わり2位に浮上、トランプ政権が北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を望む理由が透けて見えます。イタリアは3月の9位から7位へランクを上げ、代わりに韓国が低下した。その他、輸出や輸入を含めた動向は以下の通り。

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(作成:My Big Apple NY)

――貿易赤字は再び拡大に転じ、米4~6月期GDPでは純輸出がマイナス寄与する可能性を点灯させます。メキシコへの貿易赤字が年初来で拡大するように、NAFTA再交渉が熱を帯びること間違いありません。来日していた米国議会スタッフからも、トランプ政権がNAFTAに注力するとの意見が聞かれました。NAFTA再交渉は日米の二国間協議への試金石ともなるだけに、目が離せません。ライトハイザ―通商代表はブッシュ政権で二国間協議と多国間協議に携わってきましたが、どちらの利点をトランプ政権に推すのでしょうか。強硬的な姿勢を示すにも有利な交渉を引き出さねばならず、同氏の交渉力が試されます。

気になる米国の対日貿易赤字は4月に28%減少したおかげで、年初来でも2.3%減となっています。逆に対中赤字は4月に12.4%増だったこともあり、年初来で4.2%増加していました。100日計画で合意したとはいえ、実際に数字になって表れなければトランプ政権は満足しないでしょう。折しも、米4月貿易収支を受けてアトランタ地区連銀は米4~6月期GDP予想を従来の4.0%増から3.4%増へ大幅に下方修正しました。3%成長を掲げるだけに、成長鈍化につながる貿易赤字拡大を許容するとは思えませんよね。

(カバー写真:Louis Vest/Flickr)

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