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米7月貿易赤字、低水準を維持しQ3GDPには朗報

by • September 7, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1156

U.S. Trade Deficit Better Than Expected, Good News To Q3 GDP.

米7月貿易収支は436.89億ドルの赤字となり、市場予想の447億ドルを下回った。前月の435.43億ドル(436.42億ドルから修正)を0.3%上回りつつ、2016年9月以来の低水準近くを維持。原油関連を除く貿易赤字は405.97億ドルと、3ヵ月ぶりの水準へ減少した前月の393.26億ドル(397.06億ドルから修正)を小幅に上回る程度だった。

内訳をみると、輸出が1,943.81億ドルで、2014年12月以来の高水準だった前月から0.3%減少した。輸入は0.2%減(3ヵ月連続で減少)の2,380.71億ドルと4ヵ月ぶりの低水準となり、赤字縮小を促している。

輸出増・輸入減で6月の赤字は縮小。

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(作成:My Big Apple NY)

国内総生産(GDP)の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの赤字は、616.00億ドルだった。3ヵ月ぶりの水準へ減少した前月の608.03億ドル(610.23億ドルから修正)を上回った。

なお2016年の貿易赤字はモノ・サービスを合わせて国際収支ベースで前年比0.4%増の5025.52億ドルで、2012年以来で最大を示した。商品市況の下落を背景に輸入が1.9%減の2兆7,116億ドルだったものの、ドル高を背景に輸出が2.3%減の2兆2,094億ドルだったため赤字が膨らんだ。2015年の貿易赤字は前年比4.6%増の5,315億ドルと、2012年以来で最大を記録した。モノの貿易赤字は米国勢調査局ベースで1.5%減の7,343.32億ドルとなる。

7月の輸出内訳をみると、モノは前月比0.3%減と3ヵ月連続で減少した。自動車と消費財が押し下げ、産業財やサービスも軟調。逆に食品/飲料と資本財が2ヵ月連続で増加した。

(増加項目)
・食品/飲料 3.0%増、過去5ヵ月間で3回目の増加<前月は5.9%増
・資本財 2.1%増、過去5ヵ月間で3回目の増加>前月は1.9%増

(減少項目)
・消費財 4.1%減、過去5ヵ月間で2回目の減少<前月は1.9%減
・自動車 4.4%減、過去5ヵ月間で3回目の減少<前月は2.9%増
・産業財 0.3%減、過去5ヵ月間3回目の減少<前月は0.6%増
・サービス 0.2%減、過去5ヵ月間で初の減少<前月は1.0%増

輸入の内訳をみると、モノは0.2%減と3ヵ月連続で減少した。原油価格が伸び悩むなか、量ベースでのエネルギー関連輸入は4.0%減と前月に続き2ヵ月連続で減少している。金額ベースでも、2ヵ月連続で下落した。エネルギー製品を除いたモノの輸入は0.3%増と、前月の0.7%増を含め2ヵ月連続で増加した。項目別では産業財と自動車で減少した。詳細は、以下の通り。

(増加項目)
・資本財 2.4%増、過去5ヵ月間で4回目の増加>前月は0.1%増
・食品/飲料 1.7%増、過去5ヵ月間で3回目の増加>前月は0.6%増

・消費財 ±0%、過去5ヵ月間で2回増加>前月は1.4%減

(減少項目)
・自動車 2.7%減、過去5ヵ月間で3回目の減少<前月は3.5%増
・産業財 1.7%減、過去5ヵ月間で4回目の減少>前月は2.2%減

国別でのモノの貿易収支動向を前月比でみると、中国への赤字は前月比3.0%増の335.66億ドルと5ヵ月連続で増加し2016年8月以来の水準へ膨らんだ。一方で、日本への赤字は3.6%増の57.75億ドルと2ヵ月連続で減少。欧州全体への赤字額は12.1%増の158.05億ドルと、増加に転じた。欧州のうち英国との貿易収支は1.93億ドルの赤字となり、前月までの5ヵ月連続の黒字から転じた。

主な原油輸出国への貿易収支は、輸入量が減少したため赤字縮小が優勢。カナダへの貿易赤字は118.4%増の10.04億ドルと、赤字幅が大きく拡大し10ヵ月連続で赤字を計上している。メキシコに対する赤字額は、逆に17.4%減の49.23億ドルと2ヵ月連続で減少した。石油輸出国機構(OPEC)への貿易収支も45.5%減の4.84億ドルの赤字と、7ヵ月連続で赤字を計上しつつ2ヵ月連続で赤字が減少した。

以下は、今回の各国ごとの前年比ベースの貿易収支動向。貿易赤字は日本のほか、インド、マレーシア、韓国などアジア諸国で減少したが、中国では増加した。その他、輸出や輸入を含めた動向は以下の通り。

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(作成:My Big Apple NY)

――バークレイズは、貿易赤字が低水準だったため逆に米7~9月期GDP予想を従来の2.4%増から2.7%増へ上方修正しました。逆にアトランタ地区連銀は、貿易収支発表後に米7~9月期GDP予測値を従来の3.2%増から2.9%増へ下方修正。高い位置からスタートした後、エコノミスト予想値へ収斂された格好です。

ハリケーン“ハービー”や今週末にフロリダ州を直撃する見通しの“イルマ”の影響が気掛かりであるものの、成長率を大きく押し下げる可能性は低く、むしろ4~6月期に続き高成長を遂げる可能性が強まってきました。トランプ米大統領にとっては、願ってもないニュースに違いありません。北米自由貿易協定(NAFTA)や韓国とのFTAを破棄する姿勢をちらつかせたトランプ米大統領、少なくとも韓国との関係維持に努めたのは、北朝鮮問題への配慮だけでなく高成長への自信からなのでしょうか?

(カバー写真:CIFOR/Flickr)

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