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10月のADP全国雇用者数は好調、人員削減予定数は97年以来の低水準

by • November 2, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1936

National Employment Rebounds In Full Swing In October.

米10月ADP全国雇用者数、米10月チャレンジャー人員削減予定数をおさらいしていきます。

米10月ADP全国雇用者数は前月比23.5万人増となり、市場予想の20万人増を上回った。前月の11.0万人増(13.5万人増から下方修正)を超え、5ヵ月ぶりの高水準。ハリケーン“ハービー”や“イルマ”の影響で、雇用が押し下げられた分、反動で拡大しそうだ。ホリデー商戦の雇用も押し上げにつながり、ADP全国雇用者数は2010年2月以来の増加トレンドを保つ。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。

ADP全国雇用者数、ハリケーンの影響で米大統領選前の水準へ逆戻り。

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(作成:My Big Apple NY)

セクター別では、サービス部門が15.0万人増と前月6.5万人増(修正値)を上回り、少なくとも過去6ヵ月間で最高だった。雇用統計の就業者数の伸びランキングで上位常連での教育・健康が3.9万人増と前月を上回ったほか、専門サービスも1.1万人増と前月の0.5万人増を超えている。娯楽・宿泊も4.5万人増と、前月の0.1万人増から大幅改善。一方で、貿易・輸送と情報が前月に続き、それぞれ減少した。

一方で、ハリケーン直撃にも関わらず財部門(製造業、建設、鉱業)は8.5万人増と前月の4.4万人増を上回り7ヵ月連続で増加する過程で最大の伸びとなった。復興需要を反映した建設が6.2万人増と前月から倍増し、製造業も2.2万人増と前月を上回る。鉱業も0.1万人増と、前月の横ばいから回復した。

ADPとともに統計を担当するムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ主席エコノミストは、結果を受け「労働市場はハリケーン直撃後に力強く回復し、復興作業に取り組む建設部門で顕著である」と評価した。ハリケーンで生じた変動の激しさを除いても、労働市場は活況と結ぶ。

▽米10月チャレンジャー人員削減予定数、1997年以来で最低

米10月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比3%減の29,831人となった。前月比では7.8%減と、前月から減少に反転。年初来の人員削減予定数は前年同期比で24.6%減の351,309人だった。水準としては1997年以来で最低を記録している。

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、結果を評価しつつ「嵐の前の静けさである可能性がある」との見解を寄せた。足元で労働市場は好調で企業は現状の労働力維持に努めるものの、「2018年半ばに下振れ局面を迎えないとも限らず、BREXITのような世界的な要因により大規模なリストラが生じ、景気後退もありうる」と慎重なスタンスを覗かせる。

10月は人員削減予定数が大幅鈍化、ハリケーンの悪影響で減少した9月雇用統計と対照的。

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(作成:My Big Apple NY)

年初来で人員削減が多かったセクターのランキングは以下の通り。1〜7月と変わらず1位は小売で67,596人となり、金融危機直後にあたる2009年以来で最高を示す。2〜4位も前月と変わらず、5位のみ変動した。なお6月は1位が小売、2位がヘルスケア、3位がサービス、4位が自動車、5位が産業だった。

1位 小売 72,600人(全体の20.7%)
2位 ヘルスケア 31,134人(全体の8.9%)
3位 サービス 28,916人(全体の8.2%)
4位 食品 17,768人(全体の5.1%)
5位 産業 17,763人(全体の5.1%)

年初来での州別動向は、6月と全く順位は変わらず。1位がIT企業のメッカであるカリフォルニア州、2位がテキサス州、3位がラストベルトと呼ばれる製造業が盛んだったオハイオ州、4位は日本車メーカーが多く進出しラストベルトの一角を成すインディアナ州、5位がニューヨーク州だった。

1位 カリフォルニア州 50,325人(全体の14.4%)
2位 テキサス州 31,737人(全体の9.3%)
3位 オハイオ州 24,219人(全体の8.9%)
4位 インディアナ州 23,350人(全体の6.7%)
5位 ニューヨーク州 22,811人(全体の6.5%)

10月の人員削減数ワースト5は、以下の通り。

1位 ヘルスケア 6,373人(全体の21.4%)
2位 サービス 3,939人(全体の13.2%)
3位 医薬品 3,076人(全体の10.3%)
4位 娯楽 1,938人(全体の6.5%)
5位 エネルギー 1,846人(全体の6.2%)

リストラ実施の理由、10月のランキングは以下の通り。

1位 コスト削減 18,476人(全体の61.9%)
2位 閉鎖 7,638人(全体の25.6%)
3位 M&A 985人(全体の3.3%)
4位 自主退職 900人(全体の3.0%)
5位 契約切れ 708人(全体の2.5%)

採用予定数は、前年同月比72.4%減の37,387人だった。前月比では91.2%減となる。1〜10月では1,031,136人と、前年同期比で3.5倍近い。ただし、これまでの6倍近い伸びから後退した。

1位 小売 23,000人
2位 娯楽 4,438人
3位 自動車 2,000人
4位 サービス 1,825人
5位 輸送 1,203人

――米10月ADP全国雇用者数と米10月チャレンジャー人員削減予定数だけを振り返るなら、米10月雇用統計・非農業部門就労者数は市場予想の31.2万人増に届く期待が膨らみます。その一方で、チャレンジャーの採用予定数が気掛かり。ホリデー商戦だというのに、10月は大幅に減速しました。

ホリデー商戦の臨時雇用、今年は4年ぶり低水準に?

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(作成:Challenger Grey And Christmasを元にMy Big Apple NY)

ホリデー商戦自体は前倒し傾向が強く、2015年には8月だというのにニューヨークの5thアベニューでクリスマス向け大型店舗が誕生したこともありました。そう考えるな11月以降の数字が強含むかは微妙な情勢。米10月ADP全国雇用者数でも娯楽や小売の結果が期待外れだったように、オンライン・ショッピングへの移行がホリデー商戦の雇用に影を落としつつあるのかもしれません。

(カバー写真:perzon seo/Flickr)

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