The GOP Senators Who Will Decide Tax Reform.
税制改革法案の成立は、一旦のヤマ場を迎えています。
上院予算委員会は28日、共和党議員のリードして12対11で税制改革法案を可決。本会議での採決は、30日に行われる目途が経ちました。同委員会では、財政タカ派で10年間で1.5兆ドル近い財政赤字の拡大に異論を唱えたボブ・コーカー上院議員(テネシー州)、個人オーナー企業に多いパススルー事業体への税額措置を求めていたロン・ジョンソン議員(ウィスコンシン州)の2人が反対票を投じる可能性があったものの、クリアした格好です。特に外交委員会の委員長を務める重鎮であるコーカー議員はトランプ大統領との派手なツイッターを通じた応酬が取り沙汰された背景から、反対にまわるリスクが囁かれていたため、ホッと一息ですね。
今後は以下の段階を経て、晴れて税制改革法案が正式に成立する運びとなります。
30日に上院が税制改革法案を成立させた後、今度は両院協議会で下院案と一本化する作業に入ります。一本化を経て、上下院がそれぞれ採決を行い、最後に大統領が署名して晴れて成立となります。
ここまでは共和党議会の目標通り、年内にも成立するかのごとくスムーズに進んできました。問題は、共和党上院が足並みをそろえられるかどうかです。
造反した共和党上院議員と言えば、医療保険制度改革法(オバマケア)の撤廃・代替案移行を葬ったマケイン議員(アリゾナ州)、マコウスキー議員(アラスカ州)、コリンズ議員(メイン州)の3人が思い出されますよね。
7月にオバマケア代替案移行にNOをつきつけた3人。
(出所:Facebook、Twitter)
マコウスキー議員とコリンズ議員は当初、税制改革法案に盛り込まれたオバマケアで定める個人加入義務の廃止に異議を唱えていました。足元では両者とも譲歩する姿勢を表明済みである半面、コリンズ議員は州税・地方税控除に対して譲歩するのか未だ不透明。マケイン議員が静観したままである点も、不気味にすら感じられます。
また前述のパススルー事業体をめぐり、スティーブ・デインズ(モンタナ州)も減税の必要性を唱え現状の税控除で満足していない様子を見せます。引退する議員では、ジェフ・フレーク議員(アリゾナ州)の動向にも注目。コーカー議員のように財政赤字拡大に懸念を示すだけでなく、しがらみなくトランプ政権に反旗を翻すことができるため、物申す場面がないとは言い切れません。
しかも、年末の休会まで会期日程も限られています。
(出所:The Hill)
この間、12月8日に暫定予算の期限切れを迎えます(債務上限引き上げは財務省の特別措置で2018年1月に持ち越し)。つなぎ予算案を上下院で可決できなければ政府機関は閉鎖の憂き目に遭うところ、28日に予定していたトランプ大統領との会合に民主党首脳部は欠席してしまいました。元をたどればトランプ大統領が不法移民や犯罪の取り締まりに積極的ではないと批判し「取引の見込みはない」とツイート砲を放ったためとはいえ、民主党指導部と合意して合意に至った9月に反し幸先良くないスタートと言える。上院本会議で30日に税制改革法案が可決されたとしても、一本化された案が年内に成立するかは微妙な情勢です。
(カバー写真:Patrick/Flickr)
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