Service Business Activity Sentiment Eases Before Holiday Season.
米11月ISM非製造業景況指数は57.4となり、市場予想の59.0を上回った。2005年8月以来の高水準を達成した前月の60.1から低下している。税制改革法案の成立への期待が高まる一方で、サービス業のセンチメントは押し上げられず。10月の上昇は、ハリケーン後の買い替え需要が押し上げた分、反動が現れたようだ。ホリデー商戦はブラックフライデーやサイバーマンデーなど幸先良いスタートを切ったものの、サービス業者のセンチメントが一段の上昇を示すことはなかった。
内訳をみると、ビジネス活動のほか新規受注、雇用など軒並み前月以下に終わった。16業種のうち、拡大を報告したセクターは15業種となり、前月の14業種から増加。今回は農業・木材・漁業のみ低下している。前月は教育サービスと芸術・娯楽・レクリエーションが縮小していた。詳細は、以下の通り。
・ビジネス活動 61.4<前月は62.2、6ヵ月平均は59.9
・新規受注 58.7<前月は62.8、6ヵ月平均は59.5
・雇用 55.3<前月は57.5、6ヵ月平均は55.9
・新規輸出受注 57.0<前月は60.0、6ヵ月平均は56.0
・在庫変化 54.5>前月は52.5、6ヵ月平均は54.3
・仕入れ価格 60.7<前月は62.7、6ヵ月平均は59.2
▽米11月IHSマークイット製造業PMI確報値、5ヵ月ぶりの低水準
米11月マークイット・サービス業PMI確報値は54.5となり、速報値の54.7から下方修正された。前月の55.3を下回り、5ヵ月ぶりの低水準。2015年11月以来の高水準だった8月の56.0付近から、徐々に低下している。内訳をみると、生産が5ヵ月ぶりの低水準だったほか、ビジネス信頼感が2月の低水準に並んだ。一方で、新規受注や雇用が堅調だった。総合指数は54.5と、前月の55.2を下回り、5ヵ月ぶりの水準へ低下した。
クリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受けて「サービス業景況指数は5ヵ月ぶりの低水準となり、製造業の鈍化と合わせ、米10~12月期実質GDP成長率は前期比年率2.5%増と試算できる」と予想した。見通しをめぐり、ビジネス信頼感や見通しが低下しているため「年明けに景気が鈍化し、雇用や設備投資に打撃を与えかねない」との懸念も表明。もっとも、足元の数字は堅調であり、景気鈍化は小幅にとどまるとの考えを寄せた。むしろインフレに注意を促し、「販売価格が過去4年間で最も強い伸びを示しており、物価上昇圧力が高まってきた可能性がある」と指摘した。
――以前に指摘させて頂いたように、ISM非製造業景況指数が60乗せは頭打ちのサインと言えます。過去の例でいうなら、今回を除き2000年以降で60台に乗せたのは2004年1月(61.2)と2005年8月(61.2)の2回。共に景気回復サイクルにあり、かつブッシュ政権が2005年に本国投資法(HIA)を通じレパトリ減税を行った時期です。当時はそれ以降、2度と60台を超えてきませんでした。今回、税制改革法案の成立が見込まれるものの、上院案では法人税率の引き下げ(35%→20%)は2019年に先送りされる事情もあり、一段の成長加速は期待しづらい。ハリケーンやホリデー商戦といった一時的要因が剥落すれば、センチメントが一段と上振れする材料に乏しい状況です。年明けのサービス業センチメントは50以上を維持しつつ、低位安定にとどまるのではないでしょうか。
(カバー写真:Alton Jefferson II/Flickr)
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