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米11月貿易赤字は約6年ぶりの高水準、輸出・輸入ともに過去最高

by • January 9, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1413

U.S. Trade Deficit Rises To A Near 6-Year High In November.

米11月貿易収支は504.97億ドルの赤字となり、市場予想の489億ドルを上回った2012年1月以来の500億ドル乗せを示す。前月の489.14億ドル(487.31億ドルから修正)からは、3.2%増加した。原油関連を除く貿易赤字は457.25億ドルと、前月の456.48億ドル(修正値)を超えた。ハリケーン復興需要に加え、ホリデー商戦を前に小売業者が在庫を積み増したと考えられる。

内訳をみると、輸出が2.3%増の1,957.82億ドルと増加に転じ過去最高を更新した。輸入も2.5%増の2,4507.19億ドルと過去最大となり、赤字の増加を促した。

輸出だけでなく輸入が過去最高を塗り替え、貿易赤字は2012年1月以来の水準へ拡大。

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(作成:My Big Apple NY)

国内総生産(GDP)の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの赤字は、666.77億ドルだった。前月の656.12億ドル(653.20億ドルから修正)を超え、2007年3月の水準へ膨らんだ。

なお2016年の貿易赤字はモノ・サービスを合わせて国際収支ベースで前年比0.4%増の5,025.52億ドルで、2012年以来で最大を示した。商品市況の下落を背景に輸入が1.9%減の2兆7,116億ドルだったものの、ドル高を背景に輸出が2.3%減の2兆2,094億ドルだったため赤字が膨らんだ。2015年の貿易赤字は前年比4.6%増の5,315億ドルと、2012年以来で最大を記録した。モノの貿易赤字は米国勢調査局ベースで1.5%減の7,343.32億ドルとなる。

11月の輸出の内訳をみると、モノは前月比3.4%増と過去5ヵ月間で3回目の増加となった。自動車に加え資本財が大幅増加しただけでなく、消費財も好調。産業財も底堅さをみせ、サービスも小幅増加した。減少項目は、ゼロとなる。

(増加項目)
・自動車 7.7%増、過去5ヵ月間で2回目の増加>前月は2.2%減
・資本財 5.6%増、過去5ヵ月間で3回目の増加>前月は2.7%減
・消費財 4.0%増、過去5ヵ月間で2回目の増加>前月は1.3%減
・食品・飲料 1.1%増、過去5ヵ月間で3回目の増加>前月は11.4%減
・産業財 0.6%増、過去5ヵ月間で3回目の増加<前月は6.6%増
・サービス 0.1%増、過去5ヵ月間で5回目の増加<前月は0.5%増

(減少項目)
なし

輸入の内訳をみると、モノは3.0%増と3ヵ月連続で増加した。原油価格が55ドル台を回復する過程ながら、量ベースでのエネルギー関連輸入が1.2%増と過去5ヵ月で3回目の増加を示す。金額ベースでは6.3%増と2ヵ月連続で増加した。エネルギー製品を除いたモノの輸入は2.5%増と、前月の1.3%増を上回り過去5ヵ月間で4回目の増加を示す。項目別では食品・飲料を除き、全て増加した。詳細は、以下の通り。

(増加項目)
・産業財 5.1%増、過去5ヵ月間で3回目の増加>前月は4.3%増
・消費財 4.8%増、過去5ヵ月間で4回目の増加>前月は1.6%増
・資本財 2.9%増、過去5ヵ月間で3回目の増加>前月は0.4%増
・自動車 1.2%増、過去5ヵ月間で3回目の増加>前月は0.2%増

(減少項目)
・食品・飲料 0.9%減、過去5ヵ月間で3回目の増加<前月は0.2%増

国別でのモノの貿易収支動向を前月比でみると、中国への赤字は前月比0.6%増の354.31ドルと、2ヵ月連続で増加し2015年9月以来の高水準となる。日本への赤字は9.2%減の57.56億ドルと、前月から減少に反転。ただし、日本の国別対米貿易赤字は単月で3位のままだ。欧州全体への赤字額は3.8%増の166.49億ドルと、2ヵ月連続で増加した。英国との貿易収支は1.43億ドルの黒字となり、3ヵ月連続で黒字となる。

主な産油国への貿易収支は、石油関連の輸入量と金額が増加少したようにそろって赤字が拡大した。カナダへの貿易赤字は48.9%減の9.79億ドルと縮小しつつ、17ヵ月連続で赤字を計上している。メキシコに対する赤字額は、9.5%減の59.80億ドルと3ヵ月ぶりに減少し、3年ぶりの高水準から後退した。石油輸出国機構(OPEC)への貿易収支は12.1%減の12.61億ドルの赤字と赤字基調を維持した。

以下は、今回の各国ごとの年初来・前年比ベースの貿易収支動向。貿易赤字は韓国が8位から10位に転落し、代わりにマレーシアが10位から8位へ浮上、インドも前月の10位から9位にランクを上げた。その他、輸出や輸入を含めた動向は以下の通り。

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(作成:My Big Apple NY)

――バークレイズは、貿易赤字の拡大を受けて米10~12月期実質GDP予測値の見通しを従来の2.6%増から2.5%増へ下方修正してきました。アトランタ地区連銀も、従来の3.2%増から2.5%増へ引き下げています。NY地区連銀はその他の経済指標を材料に、従来の3.87%増から3.97%増へ上方修正しました。NY地区連銀を楽観的な数字と捉えるとしても、10~12月期も潜在成長率を軽く上回る公算。逆に1~3月期は残存季節性に加え今年は1月年初に東海岸を中心に豪雪に見舞われたため、一時的な下押しの可能性を残します。

▽米12月ISM非製造業景況指数、ホリデー商戦中でも4ヵ月ぶり低水準

米12月ISM非製造業景況指数は55.9となり、市場予想の57.6を下回った。前月の57.4にも届かず、4ヵ月ぶりの低水準。ホリデー商戦はブラックフライデーやサイバーマンデーなど幸先良いスタートを切り、税制改革法案成立の追い風が吹いたものの、2005年8月以来の高水準を達成した10月の60.1から低下しつつある。

内訳をみると、ビジネス活動のほか新規受注、雇用など軒並み前月以下に終わった。16業種のうち、拡大を報告したセクターは15業種となり、前月の14業種から増加。今回は農業・木材・漁業のみ低下している。前月は教育サービスと芸術・娯楽・レクリエーションが縮小していた。詳細は、以下の通り。

・ビジネス活動 57.3<前月は61.4、6ヵ月平均は59.3
・新規受注 54.3<前月は58.7、6ヵ月平均は58.5
・雇用 56.3>前月は55.3、6ヵ月平均は56.0

・新規輸出受注 56.5<前月は57.0、6ヵ月平均は56.3
・在庫変化 53.5<前月は54.5、6ヵ月平均は53.7
・仕入れ価格 60.8>前月は60.7、6ヵ月平均は60.7

▽米12月IHSマークイット・サービス業PMI確報値、7ヵ月ぶりの低水準

米12月マークイット・サービス業PMI確報値は53.7となり、市場予想の55.9を下回った。前月の54.5にも届かず、7ヵ月ぶりの低水準。2015年11月以来の高水準だった8月の56.0付近から、徐々に低下している。内訳をみると、ビジネス信頼感が15ヵ月ぶりの低水準だったほか、インフレ圧力も鈍化した。総合PMIは54.1となり、こちらも前月の54.5を下回った。

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(作成:My Big Apple NY)

クリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受けて「製造業の力強さがサービスの鈍化で抑えられている」と指摘。もっとも、過去の水準と比較して高水準にあり、「米10~12月期実質GDP成長率は2.0~2.5%増」と予想した。

(カバー写真:raymondclarkeimages/Flickr)

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