Utilities, Auto, And Mining Pushed Industrial Production In December.
米12月鉱工業生産、米1月NY連銀製造業景況指数、米1月NAHB住宅市場指数をおさらいしていきます。
米12月鉱工業生産指数は前月比0.9％上昇し、市場予想の0.5％を上回った。前月の0.1％の低下（0.2％の上昇から下方修正）から改善、過去4 ヵ月間で3回目の上昇を示す。12月は北東部を中心に積雪に見舞われるなど気温低下を背景に暖房需要が強まり、電力やガスなど公益が牽引。また米12月新車販売台数がホリデー商戦中に底堅さを示したように、自動車も2.0％と力強く上昇基調を保った。自動車を除いた場合は0.1％低下し、4ヵ月ぶりにマイナスに落ち込んだ。
稼働率は77.9％となり、市場予想の77.4％並びに前月の77.2％（77.1％から上方修正）を上回った。企業の設備投資が回復過程にあるなかで、税制改革法案の成立も追い風となったようで、2015年1月以来の78％台の回復に迫った。原油価格が約3年ぶりに60ドル台を突破するに合わせ、稼働率も改善しつつある。ただ、リセッション前の80％乗せが引き続き遠い。
内訳をみると、製造業（全体の76.5％）は3ヵ月連続で上昇した。自動車を除いた製造業も、3ヵ月連続でプラスに。公益（全体の10.8％）は、上昇に反転している。鉱業（全体の10.8％）も原油価格の上昇過程を追い風に、上昇に転じた。
・製造業 0.1％の上昇＜前月は0.3％の上昇、6ヵ月平均は0.3％の上昇
＞自動車 2.0％の上昇＞前月は0.5％の上昇、6ヵ月平均は0.5％の上昇
＞機械 0.4％の上昇＝前月は0.4％の上昇、6ヵ月平均は0.4％の上昇
＞コンピューター／電気製品 0.1％の低下＜前月は1.0％の上昇、6ヵ月平均は0.4％の上昇
・公益 5.6％の上昇＞前月は3.1％の低下、6ヵ月平均は0.8％の上昇
＞電力 5.6％の上昇＞前月は3.6％の低下、6ヵ月平均は0.8％の上昇
＞天然ガス 6.0％の上昇＞前月は0.5％の上昇、6ヵ月平均は1.1％の上昇
・鉱業 1.6％の上昇＞前月は0.1％の上昇、6ヵ月平均は0.6％の上昇
鉱工業生産、前年比は2015年1月以来の高水準。
前月比では公益が牽引も、前年比では製造業や鉱業の寄与度が高い。
（出所：My Big Apple NY）
▽米1月NY連銀製造業景況指数、税制改革法案成立も6ヵ月ぶりの低水準
米1月NY連銀製造業景況指数（エンパイア）は17.7と、市場予想の19.0を下回った。前月の19.6（18.0から上方修正）を超え、6ヵ月ぶりの低水準となる。税制改革法案が成立したが、2014年9月の高水準に並んだ2017年10月の30.2から遠ざかりつつある。項目別で前月を上回ったのは在庫、受注残、仕入れ価格、販売価格。特に原油など商品先物価格の上昇を背景に、仕入れ価格と販売価格がそれぞれ前月を約7ポイント、10ポイント上回った。一方で新規受注や出荷、平均労働時間が大幅に低下し、雇用に至っては20ポイント近くも急落し1年ぶりに分岐点割れを意識した。
6ヵ月先見通し指数は48.6となり前月の46.3を上回った。2012年1月以来の高水準を遂げた2017年11月の49.8に再び接近している。現況と反対に項目別では上昇が目立ち、新規受注、出荷、雇用、平均労働時間、設備投資全てが上昇した。
――米12月鉱工業生産は暖房需要が牽引したといえ、製造業分野も機械など資本財分野が堅調でした。NY連銀製造業景況指数も6ヵ月ぶりの低水準ながら、見通し指数は2012年1月以降で2番目の高水準です。家計と共に企業の設備投資が両輪となって成長を下支えする構図に、変わりなしと言えるでしょう。
▽米1月NAHB住宅市場指数、1999年7月以降で2番目の高水準
米1月NAHB住宅市場指数は72となり、市場予想と一致した。1999年7月以来の高水準を達成した前月の74に届かなかったとはいえ、過去19年間で番目の高水準となる。税制改革成立の期待が高まり、かつハリケーン後の復興需要にも支えられ、建設業者のセンチメントは勢いが保たれたようだ。
内訳をみると、一戸建て現況指数が79、一戸建て見通し指数も78と、それぞれ少なくとも2005年6月以来で最高となった前月の81、79を下回った。客足の動向を表す見込み客指数も前月の58から54へ低下した。
指数は前月から低下も、約12年ぶりの高水準を維持。
（作成：My Big Apple NYが作成）
発表元である全米ホームビルダー協会（NAHB）のグランガー・マクドナルド会長は、結果を受け「建設業者は減税が中小企業の活動と経済を拡大させると見込んでいる」と指摘した。ロバート・ディエス主席エコノミストも楽観的で「原材料価格が上昇しているものの、建設業者は1年先への期待を強めている」と結んだ。
（カバー写真：TheLeadSA/Flickr）
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