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米3月NFIB中小企業楽観度、貿易摩擦懸念の台頭を一因に前月から低下

by • April 11, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off2008

NFIB Small Business Optimism Declines As Trade Worries Intensifies.

米3月NFIB中小企業楽観度指数は104.7となり、市場予想の107を下回った。過去最高の1983年9月に次ぐ水準を遂げた前月の107.6から低下している。税制改革法案成立でセンチメントがレンジ上限を保つ一方で、トランプ政権の鉄鋼・アルミ関税発動や301条をめぐる報復合戦を通じた米中貿易摩擦を嫌気したようだ。米株安も、少なからず指数押し下げにつながったとみられる。なお同指数は、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表する労働市場情勢指数(LMCI)に含まれる。

発表元である全米独立企業盟(NFIB)のジュアニタ・ドゥガン最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「税制を最大の懸念要因と回答した中小企業オーナーは過去最小で、非常に楽観的」と評価した。また「経済押し上げ効果のある賃上げと設備投資増額に自信を深めている」と語り、今回の低下に懸念を示すことはなかった。

内訳をみると、13項目中プラス圏にのせた項目は3ヵ月連続で10項目だった。内訳をみると、プラスの10項目中で前月を上回ったのは「求人」と「賃金引き上げ」、「採用見通し」、「販売価格の引き上げ」の4つで、その他6項目は低下した。特に「経済がより良くなる」は前月から10ポイント近くも急落し、全項目での首位から2位に転落した。マイナス項目は、全て下げ幅を広げている。以下は、項目ごとの変化。

「求人件数」35%>前月は34%、6ヵ月平均は33%
「経済がより良くなる」32%<前月は43%と3ヵ月ぶりの高水準、6ヵ月平均は39%
「設備投資を拡大した」26%<前月は29%、6ヵ月平均は27%
「賃金引き上げ」33%>前月は31%、6ヵ月平均は29%
「事業拡大に良いタイミング」28%<前月は32%、6ヵ月平均は28%

「賃上げ見通し」19%<前月は22%、6ヵ月平均は21%
「売上の拡大を予想」20%<前月は28%、6ヵ月平均は26%
「採用見通し」20%>前月は18%、6ヵ月平均は20%
「販売価格の引き上げ」16%>前月は13%、6ヵ月平均は11%
「在庫を増加させる」1%<前月は4%、6ヵ月平均は3%

「在庫満足度」−6%<前月は−3%、6ヵ月平均は−4%
「信用状況が緩和する」−6%<前月は−3%、6ヵ月平均は−4%
「黒字トレンドにある」−4%<前月は−3%、6ヵ月平均は−9%

NFIB、1983年以降で最高だった前月から低下。

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3月のISMの製造業は非製造業景況指数と歩調を合わせ、NFIBも低下。

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(作成:My Big Apple NY)

――トランプ政権の保護主義寄りな政策が影響したのか、中小企業オーナーの楽観度はギリシャやプエルトリコの債務不履行が懸念された2015年6月以来で最大の下げ幅を示しました。ヘッドラインではレンジ上限を維持し、センチメントの低下を懸念する状況ではありません。また「賃金引き上げ」に踏み切ったとの中小企業オーナーの回答が2000年以降で最高だったほか「求人」も高水準にあるため、人材不足から賃上げを余儀なくされセンチメント低下の一因を担ったとも考えられる米2月貿易収支では赤字拡大の陰で対中赤字が大幅縮小するなど変化がみられましたが、実際にビジネスが政策に対応するのは時間が掛かることでしょう。4~6月期には税制改革法案成立を通じた設備投資などが実現する期待もあり、米中貿易摩擦の激化など事態悪化が生じない限り高止まりを維持しそうです。

(カバー写真:infusionsoft Sales & Marketing Software for Small Businesses/Flickr)

 

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