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米2月求人数と採用者数は減少も高止まり維持、自発的離職者数は小幅増

by • April 16, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1204

Job Openings And Hires, And Layoffs Decrease In February.

米2月雇用動態調査、米4月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値をおさらいしていきます。

米労働省が発表した米2月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は605.2万人と、市場予想の602.4万人を超えた。過去最高を更新した前月の622.8万人(631.2万人から下方修正)を2.8%下回り、過去5カ月間で4回目の減少を示す。とはいえ、過去の水準と比較するとレンジ上限を保つ。

新規採用者数は前月比1.2%減の550.7万人と、3ヵ月ぶりに減少した。過去3番目の高水準だった前月の557.4万人に届かず、米2月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)が20万人増を回復した動きと反対の結果となる。

離職者数は前月比2.4%減の519.2万人と、3ヵ月ぶりに減少した。定年や自己都合による退職者は0.6%増の321.0万人と、過去2番目の高水準だった2017年12月を再び視野に入れている。解雇者数は7.7%減の164.7万人となり、2016年10月以来の低水準だった。

求人率は3.9%と前月の4.0%を下回った。過去最高をつけた2017年7月で、一旦のピークアウト感が漂う。民間が4.2%と前月の4.3%から低下した半面、政府は2.5%と前月の2.4%を上回った。

就業者に対する新規採用率は2016年2月以来の高水準となった前月の3.8%から、3.7%へ低下した。民間が4.1%と前月の4.2%から低下したことが響き、政府は前月と変わらず1.5%だった。

求人数と採用者数、それぞれ減少も乖離は続く。

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(作成:My Big Apple NY)

自発的および引退、解雇などを含めた離職率は3.5%と、2017年7月以来の高水準だった前月までの3.6%から低下した。民間が3.9%と前月まで2ヵ月連続での4.0%から低下しつつ、政府は前月に続き1.5%だった。自発的離職率は前月に続き2.2%となり、2001年6月以来のレベルに上昇した2017年12月の2.3%を下回ったままだ。解雇率は前月の1.2%から、2000年12月に統計が開始してからの最低となる1.1%へ戻した。

自発的離職者数が小幅増加し、解雇者数は減少と労働市場の逼迫表す。

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(作成:My Big Apple NY)

――以上の結果を踏まえ、今となっては懐かしいイエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。達成項目は9項目中、前月に続き7項目で、長期失業者の割合と労働参加率が改善できずにいる。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字です。

1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 3.9%

2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.1%

3)自発的離職率 ○
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.2%

4)採用率—○
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.7%

5)非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 20.2万人増

6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 4.1%

7)不完全失業率—○
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 8.0%

8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 20.3%

9)労働参加率—×
2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.9%

求人数と採用数が減少したとはいえ、有効求人倍率は高水準。

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(作成:My Big Apple NY)

有効求人倍率は2月に1.72倍と、前月の1.77倍を下回りました。2017年10月に2001年1月以来の高水準をつけてから、伸び悩み始めています。米2月雇用統計での平均時給(非管理職・生産部門労働者)の伸びはそれでも前年比2.5%と1月の2.4%から改したとはいえ、2015~17年の平均値2.3%とほぼ変わらず。3月ベージュブック3月FOMC議事要旨ではインフレ上昇の可能性を示唆する内容を確認したものの、米3月雇用統計での平均時給は再び2.4%へ鈍化していました。労働市場から生じる賃上げ圧力は、未だ限定的なようです。

▽米4月ミシガン大消費者信頼感・速報値、通商政策が意識され低下

米4月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値は97.8と、市場予想の100.3を下回った。約14年ぶりのレベルに上振れした前月の101.4から低下、3ヵ月ぶりの水準へ鈍化している。内訳をみると、現況指数が115.0と過去最高だった前月の121.2から低下。見通し指数も前月の88.8から86.8と3ヵ月ぶりの水準へ低下した。

原油先物が約3年ぶりの高値をつける過程ながら、1年先インフレ見通しは2016年4月以来の高水準となる前月の2.8%から下方修正され2.7%だった。5~10年先インフレ見通しは前月まで3ヵ月連続で2.5%を経て2.4%と、過去最低をつけた2016年12月末の2.3%に近づいた。なお税制改革法案成立と歳出増を盛り込んだ予算案を受け、FOMCは3月分の経済・金利見通しで成長見通しを上方修正、インフレ見通しも小幅に引き上げた。

ミシガン大学消費者信頼感は14年ぶりの高水準、インフレ見通しも上昇の兆し。

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(作成:My Big Apple NY)

ミシガン大学の主席エコノミスト、リチャード・カーティン氏は、結果を受け「あらゆる年齢層、所得、その他区分に関わらず広い範囲で小幅低下し、過去2ヵ月分の上昇を巻き戻した」と指摘する。低下の背景として「トランプ政権の通商政策が与える潜在的な影響が懸念された」と説明。通商政策に関するコメントを自発的な寄せた回答者は全体の29%を占め、29%中の27%がネガティブな見方だった」という。通商政策に対しネガティブな見方を示した回答者のインフレ見通しは、通商政策を言及しなかった回答者を0.4%ポイント上回っており、利上げ見通しや成長鈍化懸念と合わせセンチメントの低下につながったようだ。ただカーティン氏は今回、2018年の個人消費見通しを「2.7%増」とし、従来の2.6%増から上方修正した。

(カバー写真:Jordan Barab/Flickr)

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