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米3月小売売上高は自動車が主導し4ヵ月ぶり増加、所得増も下支え

by • April 17, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1706

Retail Sales Rebound After Decreasing 3-Month In A Row.

米3月小売売上高、米4月NAHB住宅市場指数をおさらいしていきます。

米3月小売売上高は前月比0.6%増と、市場予想の0.2%増を上回った。前月の0.1%減を含め3ヵ月連続で減少した後、4ヵ月ぶりに増加に転じている。米3月新車販売台数が税金還付や税制改革法案を通じた減税効果もあって大幅増となり、全体を押し上げた。自動車を除いた場合は0.2%増と市場予想と前月値と一致し、3ヵ月連続で増加している。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)は前月比0.4%増と、4ヵ月ぶりに増加に転じた。

小売売上高のコントロール、前年比はレンジ内。

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(作成:My Big Apple NY)

内訳をみると、主要13カテゴリー中で8項目がプラスとなり前月と変わらず。1~2月に豪雪を落ち込んだ自動車が北東部での積雪にもめげず、3ヵ月ぶりに増加している。引き続き非店舗が寄与したほか、家具や電気製品なども好調。その半面、前月に続きガソリン価格の値下げを背景にガソリン・スタンド、また積雪の余波からスポーツ用品をはじめ春物衣料の売上減速で建築・庭園が弱い。項目別の詳細は、以下の通り。

(プラス項目)
・自動車/部品→2.0%増>前月は1.3%減、6ヵ月平均は±0%
・ヘルスケア→1.4%増>前月は1.1%減、6ヵ月平均は±0%
・非店舗(オンライン含む)→0.8%増<前月は0.9%増、6ヵ月平均は0.9%増

・家具→0.7%増>前月は0.4%増、6ヵ月平均は0.4%増
・電気製品→0.5%増>前月1.0%減、6ヵ月平均は0.2%増
・外食→0.4%増=前月は0.4%増、6ヵ月平均は0.4%増

・一般小売→0.3%増>前月は0.4%減、6ヵ月平均は0.3%増
(*百貨店は0.3%減>前月は0.9%減、6ヵ月平均は0.2%減)
・食品/飲料→0.2%増=前月は0.2%増、6ヵ月平均は0.3%増

(マイナス項目)
・雑貨→0.3%減>前月は0.9%減、6ヵ月平均は0.2%減
・ガソリン・スタンド→0.3%減<前月は0.1%増、6ヵ月平均は0.9%増
・建築材/園芸→0.6%減<前月は2.0%増、6ヵ月平均は±0%

・服飾→0.4%増<前月は0.9%増、6ヵ月平均は0.4%増
・スポーツ用品/書籍/趣味→2.2%増>前月は1.5%減、6ヵ月平均は0.1%減

――3月は自動車が大幅増加に転じたほか、コントロール売上高も好調で、春の到来と共に個人投資の芽吹きを感じさせます。やはり1~3月期の落ち込みは、3月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で指摘されたように、季節性残差や積雪といった一時要因だった公算が大きい。

また、1~2月期の減少はハリケーン後の買い替え需要が高まった年末の反動から、1~2月期は減税分を貯蓄に振り向けど家計がバランスシートの調整に注力した可能性も捨てきれない。実際、貯蓄率は2017年12月に約10年ぶりの低水準となる2.5%をつけた後、2月に3.4%まで回復していました。同時に、税制改革法案の成立を受け所得税減税で可処分所得が増加し、貯蓄率の改善を促し、結果的に3月の小売売上高を促したとも考えられます。3月の小売売上高のコントロールは、2017年12月の前年比6.3%増から、2月に同4.2%増まで伸びを縮小させていました。

貯蓄率と実質所得の推移。

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(作成:My Big Apple NY)

3月の小売売上高で示された通りバランスシートの改善に伴う貯蓄率の改善のほか、税還付が個人消費を正常化させたのであれば、労働市場の拡大も続いており、個人消費は2017年のペースほどでなくとも堅調に推移しそうです。

▽米4月NAHB住宅市場指数、5ヵ月ぶりの水準へ低下

米4月NAHB住宅市場指数は69となり、市場予想と前月の70を下回った。5ヵ月ぶりの低水準。1999年7月以来の高水準を達成した1月の74から低下をたどる。税制改革法案が成立し所得税減税が実現するほか、労働市場も力強く拡大中だが、住宅建設業者のセンチメントは価格上昇、原材料や人材の不足が重石となり、やや明るさが薄れてきた。また、ハリケーン後の買い替え需要一巡が引き続き影響している可能性があり南部が前月を下回りか、平年を下回る気温を受け北東部や西部も前月から1ポイント低下した。

内訳をみると、一戸建て現況指数は前月まで2ヵ月連続で77を経て、今回は75と6ヵ月ぶりの低水準に並んだ。一戸建て見通し指数は77と前月の78以下に、5カ月ぶりの低いレベルに押し返された。客足の動向を表す見込み客指数は前月と変わらず51と、2017年11月以来の低水準となる。

NAHB住宅市場指数、4ヵ月ぶりの低水準。

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(作成:My Big Apple NYが作成)

発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のロバート・ディエス主席エコノミストは、結果に対し「労働市場の拡大、賃金の上昇、人口の増加といった好材料を手掛かりに一戸建て需要が高まる見通し」と予想した。その上で今回の低下は「平年を下回る気温など気候要因が大きい」と判断、新築住宅市場のゆるやかな拡大を見込む。

(カバー写真:Susan Sermoneta/Flickr)

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