U.S. Companies Spend More To This Than Wage Increase.
税制改革法案が成立して直後、数多くの米企業が臨時ボーナス、賃金引き上げ、採用増加などを発表しました。4月18時点で、その数は500社を超えるといいます。
これだけなら景気の良い話のように聞こえますが、米企業は減税分をどこに振り向けているのでしょうか?投信調査会社トリムタブズが教えてくれます。
投資調査会社トリムタブズの推計では、米企業は1~3月期に3,050億ドルを株主還元策と現金での買収に充てました。
税引き前の給与支払い増加額はというと・・・1,310億ドル。前期からの給与支払いの伸びは、株主還元策と買収額の半分以下に過ぎなかったのです。やっぱり、米企業がやはり重視するのは投資家なんですね。仮にこれらの規模が5年間続けば、株主還元策と現金での買収額は6.1兆ドルに届く半面、給与支払増加額は2.6兆ドルにとどまります。
税制改革の実現をもってしても、過去のトレンドは変えられそうにありません。2013~17年での株主還元策と買収の規模は4.9兆ドルでしたが、同期の給与支払い増加額は2.3兆ドルと半分以下でした。
株主還元先の規模は、2018年以降も高水準を維持へ。
JPモルガンは2018年の株主還元策の規模につき8,000億ドルと予想、2017年の5,300億ドルを大幅に上回ると考えられています。株主還元策については他にもこうした試算が弾かれる一方、力強い設備投資を予想する意見はあまり聞こえてこないというのが現状なんですよね。
米連邦準備制度理事会(FRB)の面々は税制改革法案の成立が潜在成長率の押し上げにつながるか疑問視し、3月FOMC議事要旨でも「数人(a few)」しか見込んでいないことが判明しました。3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、税制改革の実現に2018~19会計年度の歳出増が重なり、2020年までの成長見通しこそ引き上げつつ、長期成長見通しを維持。トリムタブズの数字は、FOMCの予想を裏付けるかのようです。結局、税制改革法案は米企業による労働生産性を引き上げ努力を促しそうにありません。
(カバー写真:Mark Stephenson/Flickr)
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